コラム Column

金融と非金融の融合によるデジタル口座ユースケースの広がりと展望

●デジタル口座のユースケース研究「企業の決済DX」

先ほど例に出しましたPayPay、LINE Payや楽天ペイなどの事業者は、主に金融を専門に行う事業として捉えていますが、TISが注目をしているのは、その裾野が金融事業者から非金融事業者へと拡がっている点です。

デジタル口座の普及をきっかけにして、多くの事業者でデジタルトランスフォーメーションが拡がっています。デジタル口座普及の背景には、以下のようなことが考えられます。

●クラウド、APIによるシステムのSaaS化

金融ITは安心安全で行う事が当たり前とされ、クレジット決済を行うためにはセキュリティの高い専用のネットワークを使い消費者に利用されていました。デジタル口座からウォレットを使って支払いが行われる際はクラウド上にデジタル口座(サービス)が置かれ、それをAPIで接続する事で実現可能となっています。今後は銀行口座やオフラインが中心な店舗もクラウド化され、それらがAPIで接続されることで金融ITを素早く実事業の中に組み込んでいけると考えています。

●規制緩和

2010年から2020年まで、銀行法、資金決済法、割賦販売法、金融サービス仲介法と法律が変遷しています。2018年ごろまではインターネット化が進むにつれ、多くの事業者が登場したことから利用者保護の観点で規制を強化していました。一方2019年以降、利用者保護も体制が整ってきた背景もあり、リスクが少ない領域については、非金融事業者に開放する規制緩和の方向へと進んでいます。

とくに2020年、資金決済法では資金移動業の柔構造化ということで銀行が担っていた為替送金の領域が、割賦販売法では少額包括信用購入あっせん業の領域が規制緩和されました。このように少額なものや、特定の領域をターゲットにするもの、リスクの少ないものについては非金融事業者に開放することが大きな流れになっています。

●非金融事業者のデジタル口座導入の機運の高まり

このような背景もあり、非金融事業者のデジタル口座導入の機運が高まっています。
目的は、1.自社サービスに一気通貫のUXを作ること、2.集めたデータを活用する事で顧客への満足度を向上させる事でファン層を増やすこと、3.金融決済サービスを収益の柱にすることです。

デジタル口座事例「TOYOTA Wallet」

デジタル口座の事例として、トヨタファイナンスの『TOYOTA Wallet』を動画で紹介しました。便利な決済サービスで、移動の楽しさを追い求める形でサービス展開されている事例です。MaaS(Mobility as a Service)で、移動をデジタルトランスフォーメーションしていく動きも見られています。

TOYOTAWallet

『TOYOTA Wallet』では、大きな将来構想も描かれています。BtoC向けのサービスに加えて従業員向けのBtoEサービスを展開し、従業員向けのサービス向上に活用していくことが構想されています。

決済DXの特長

『TOYOTA Wallet』のような事例をTISでは「決済デジタルトランスフォーメーション(決済DX)」と呼んでいます。決済の機能をうまく自社のサービスに組み込んでデジタルトランスフォーメーションをしていこう(決済×自社サービス=DX)というもので、これには、3つの特徴があります。

●「アンバンドリング」

アンバンドリング

アンバンドリングとは、囲い込みによるチャネルの支配ではなく開放によって、チャネルの拡大を行うことです。

『TOYOTA Wallet』の事例では、会員IDは『TOYOTA Wallet』が担いますがお金の部分は三井住友カードの仕組みを使い、利用場所ではiDを利用し、NTTドコモのスキームを使っています。これらは先ほど説明した、APIでさまざまなサービスをつなぐことで実現しています。

●3つのステップ

3つのステップ

2つ目の特徴として、3つのステップがあります。
第1段階:オンライン・リアル両方で使えるハウスマネーのような考え方で本業のDXに金融を少し加える形です。IDを1つにし、そのIDに口座を紐づけることでさまざまなサービスの中で自らのマネーをユーザーに使ってもらいます。
第2段階:金融ビジネスを拡大させるためにオープンループ化を実施。
第3段階:外部のサービスへの拡大、金融収益機会の拡大、マーケティング・リスク管理のような形でデータを起点としたサービスの高度化。

●2タイプの実現方法

決済DXを実現する方法にはタイプA・Bの2つがあります。
タイプA:金融の事業者がシステム・ライセンスを提供し、非金融の事業者のDXを一緒に作っていくタイプ。
タイプB:非金融の事業者がデジタル口座を自ら管理し、自社のサービスをさらに拡張するタイプ。

2つの大きな違いは、タイプAはやはり金融機関のサービスを利用するため、安心安全であるという点が特長となりますが、他社サービスを利用するため自由度が若干低くなります。

タイプBはリスクを自ら負い、安心安全を自社で担保しなくてはならない難しさがある一方、極めて自由度が高く金融商品の組み合わせができる特徴があります。

TISは、決済DXに必要ITを網羅的に提供

決済DXに必要なITを網羅的にサービス提供するというコンセプトで、TISは必要なパーツを使いアンバンドリングに対応できるサービスを提供しています。全てSaaS型で提供するため、段階的に金融機能が向上でき、事業が小さいうちは大きなコストがかからないモデルになっています。

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