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Embedded Finance(エンベデベッド金融)の今と未来~なぜ注目されているのかその真相に迫る~

3.Embedded Financeの導入事例(ブランド)

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ここからは、具体的にEmbedded Financeを導入したブランドの事例について見ていきましょう。ここでも主に決済中心とした事例を紹介します。

3-1.Uber

配車アプリとしてグローバルにサービス展開する「Uber」では、事前にクレジットカードなどの設定を済ませておくことで、タクシー乗車利用時の支払手続きを不要にします。

これを可能にしているのが、同アプリへの決済機能の組み込みです。Uberでは、Paypalやその子会社であるBraintree、Apple Payに代表される「グローバルな決済ゲートウェイ」群をイネーブラーとしてそれぞれAPI連携させることで、迅速に決済機能を実装しました。

3-2.Shopify

オンラインストアプラットフォームの「Shopify」では、「Shopify Balance」と呼ばれる、Shopify上の銀行口座を開設する機能を提供しています。一般的にオンラインストアを運営する場合は、既に開設している銀行口座等を登録して連携する必要があるのですが、このShopify Balanceの実装によって、ユーザーとなるショップ運営者はわざわざそのために銀行口座を開設することなく、入金や支払といったショップとしての資金管理を行うことができるようになりました。

金融機能の連携は、ユーザー企業の工数削減はもちろん、エンドユーザーである消費者にもメリットがあります。通常ECサイト等で決済を行う場合、外部の決済サービスサイトに移行しアカウント情報を入力する必要があります。こうした手間は、消費者が商品をカートに入れても購買せずに離脱する「カゴ落ち」を招きます。一方Shopifyを活用したオンラインストアでは、サイト内で決済が完了するため、消費者の購買機会を逃しません。

これを可能にしているのが、既存の銀行とShopifyによるAPI連携です。間にStripeと呼ばれるオンライン決済SaaSのイネーブラーを介することで、Shopifyが口座という金融機能を提供できるようになったわけです。Shopifyは顧客基盤が堅固となるだけでなく、金融関連収益も得ています。

3-3.Grab

東南アジア8か国でサービス展開している配車アプリ「Grab」。2019年時点でアプリダウンロード数が1億5200万を越えており多くのユーザーが利用しています。

その急成長を支えるのが、同社が提供する、「GrabPay」と呼ばれるモバイル決済アプリです。GrabPayでは、主にECで使えるオンライン決済と、POS × QRコードで行うオフライン決済が組み合わされており、2018年7月に同社から発表された「GrabPlatform」上で、さまざまな事業と連携しています。

現在は配車に限らず、通勤や昼食、食材の配達から日々の買い物まで、主に東南アジアにおける日々の決済に欠かせないスーパーアプリとして機能しています。

3-4.メルカリ

日本でフリマアプリとして「メルカリ」はとても有名です。

同社が面白い点は、アプリ内でモノを売って稼いだお金を、そのままアプリ内でモノの購入に充当できるということです。つまり、不要なモノを売り、必要なものを買うという一連の流れを決済含め、この1つのアプリ内で完結できるということです。また、「決済」に加えて「与信」のサービスにも力を入れています。後払いが可能な「メルペイスマート払い」は翌月にまとめて清算する「一括払い」と月々に分けて支払う「定額払い」を展開し、幅広いユーザーに使いやすいプラットフォームを提供しているというのも成功している1つの要因かもしれません。

このように他にもさまざまな事例が世の中の多く存在していますが、金融事業をどこまで自社で対応し、どこからライセンスホルダーの力を借りるかという点もそれぞれの戦略に合わせて考えていく必要があります。

4.Embedded Financeに関する今後の動向

まとめimage

このように、Embedded Financeを取り込むことでさまざまな企業が幅広くサービスを展開することができるようになります。新しいサービスからデータを取得することができればそのデータを分析し、サービス改善や他サービスに発展させることもできます。

非金融事業者が金融の事業領域に参入することで、今までの常識が常識ではなくなることもあるかもしれません。

例えばスウェーデンのKlarnaやオーストラリアのAfterPayといったサービスでは、ユーザーが融資を申請して、リアルタイムに審査が実施され、審査に通ればすぐに融資を受けることができる仕組みも提供開始されています。これまで銀行の窓口に行って融資手続きを行わなければならなかったことを考えると、圧倒的なUX改善を実現していると言えるでしょう。もちろん、日本で展開をする場合は割賦販売法や犯罪収益移転防止法などの各種規制に考慮した展開をする必要があるわけですが、実現した暁には非常に有用な仕組みになることが想像されます。

このように、Embedded Financeがもたらすインパクトは、サービス提供者のみならずサービスの受け手である私たちにとっても、大きなものになることが分かります。ユーザーの想像力が拡張されれば、それだけ新しいイノベーションが生まれるきっかけにもなるので、Embedded Financeには大きな可能性が広がっていると言えるでしょう。

5.まとめ

Embedded Financeは金融業界のみならず、さまざまな業界を巻き込んだ大きなインパクトを与えることができます。自社サービスの中に金融機能を取り入れることでユーザーにとって便利で楽しいサービスを提供できる可能性が広がります。Embedded Financeに興味のある方は、是非TISまで気軽にご相談ください。

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