コラム Column

MaaSからスマートシティ化への取り組み~札幌型観光MaaSのレコメンドとデータ利活用~

3.札Naviとは

●札幌の特徴

「札Navi」のサービスエリアである札幌市は、年間約5mもの降雪がありながら190万人を超える人口を有する自然と都市が共存する世界に類を見ない都市です。札幌が好きな理由としては、街並みが分かりやすいことなどが挙げられており、定住意欲度が高く、病院数が多いという特徴があります。一方で、全国平均を下回る健康寿命、政令市比較で低位である市民所得の改善が課題になっています。2030年には札幌新幹線が開業予定であり、2030年冬季オリンピックの招致に向けて再開発が進んでいます。

●札Navi展開の背景と目的

「札Navi」は一般社団法人さっぽろイノベーションラボ「MaaS部会」が中心となって展開したWEBアプリで、TISはMaaS部会の部会長として本サービスの事務局運営を担当しました。本サービスを展開した背景は、札幌を訪れたことがある観光客に対して札幌市がアンケートを実施したアンケート結果から、公共交通機関の乗り継ぎが不便で分かりにくいという観光客が市内の移動に関して最も不満を持っている課題が一因です。
これらの課題を解決するため、ユーザーが求めている観光スポット情報と公共交通機関を使った最適な移動方法・旅程をレコメンドすることで、観光シーンにおける移動課題を解消、市内観光における円滑な移動を支援するサービスとして「札Navi」が開発されました。
さらに、最終目的地を案内するだけではなく、道中の立ち寄りスポット情報として、トイレ、おむつ交換所、公衆Wi-Fiなどの情報の追加・拡充も実施しました。

札Navi

●札Naviの現状アセット

「札Navi」は、利用者が簡単なインプット情報を入力すると、その方にあったコンテンツをレコメンドするシンプルな仕組みになっています。本サービスは観光客向けであり、アプリではダウンロードのハードルが高いため、ウェブブラウザ上でのサービス提供となりました。主なサービスは最終目的地のレコメンデーション、旅程作成、ユーザー管理機能、電子チケット・非対面決済の4つになります。

●札Naviの特徴

①観光周遊促進、リピーターの獲得
②各種チケットの提供、精算業務
③立ち寄りスポット機能の提供
④ウェルネスを軸とした情報検索:SDGs実現に貢献
⑤データ流通の促進、データ更新を前提とした継続的な取り組み

●札Navi画面イメージ

レコメンド機能

立ち寄りスポット

チケット購入

路面電車チケット利用方法

●札Naviの今後の活動

「札Navi」はこれまで観光客向けにサービス展開をしてきましたが、住民ユーザーの獲得を目指し、2022年7月から札幌市内300店舗以上で使用できるデジタル値引クーポン「ふりっぱーデジタルクーポンwith札ナビ」を提供予定です。

4. 今後の展開について

●観光MaaSから生活アプリへ(スマートシティの取り組み)

札幌型観光MaaSとしての取り組みから、生活アプリとして地元住民である生活者にとってなくてはならない存在になれるよう、価値提供を図っていきます。現時点で「交通」、「観光」の領域で活動を始めていますが、動的データベースも積極的に活用しながら新たな付加価値の創造を目指します。

●札Navi注力テーマ

この取り組みの中で最も注力しているテーマが、ウェルネスを軸としたレコメンド・行動変容です。費用や所要時間などの経済的視点だけでなく、健康や環境への貢献といったウェルネス視点での経路計画・目的地検索を「札Navi」に実装予定です。検索結果に移動手段による消費カロリー数やCo2排出量が表示されることで、行動パターンや交通ルートを変えるといった行動変容を促すことを目指します。

●札Naviにおけるデータ利活用

データ利活用の観点では、DATA-SMART CITY SAPPOROとの連携がキーになると考えています。地元企業と行政が一体となり、「サービスドリブン」でデータ利活用を展開し、「タウンマーケティング」施策を可視化することで、政策目的やゴールの明確化を図ります。

●行政版OMO(Online Merges with Offline)(*)

TISは「タウンマーケティング」の視点を持った、リアルとデジタルを融合させた「行政版OMO」の実践を提言しています。地域住民とのエンゲージメントを高め、今住んでいる方には住み続けてもらう価値提供を、ビジターの方には住むように訪れていただける体験価値を提供し、住民満足度、住民定着率の向上を目指します。住民とのエンゲージメント向上を図ることで、地域のブランド力向上と行政運営の効率化の実現が可能です。
*行政版OMO・・・オンラインとオフラインを統合していくマーケティングの手法を行政に向けて提供していくこと。

最終的には、サービス提供により蓄積されたデータを利活用することで、新たなサービスが持続的に創出され、雇用の維持・拡大に繋がるような地域経済の好循環サイクルを確立していきます。

最後に
TISの「MaaSプラットフォーム」に関して、講演で使用した詳しい資料をご用意しています。
本記事には書ききれなかった情報もありますので、
興味を持っていただけましたら、是非下のボタンからお問い合わせください。

※講演資料
DL資料

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