コラム Column

【ウェビナーレポート後編】決済DXで広がる新しいビジネスと顧客体験
~金融と非金融の融合~

●セッション3.給与デジタル払い解禁間近~これからの給与支払のカタチ

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講演者:高島 玲
TIS株式会社 モビリティサービス部 シニアプロデューサー
2005年TIS入社。2012年より、カード事業推進部、金融ソリューション営業部、ペイメントビジネス企画部を経て、2017年よりペイメントソリューション海外事業推進部長。2019年よりモビリティサービス部に在籍。2014年に「JISA Awards Winner」を受賞している。
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本セッションでは、最近、新聞報道等でも注目を集めている「給与デジタルマネー払い」について解説しました。

「給与デジタルマネー払い」とは

給与デジタル払いとは

「給与デジタルマネー払い」とは、現在、企業から労働者へ銀行口座を介して給与が渡されているのに対し、銀行口座を使わずに労働者の資金移動業者の口座に給与を直接チャージするものです。

給与デジタル払いの実現例
銀行口座を介した場合と比較した場合のメリットは報酬の受け取りがリアルタイムになってタイムラグがなくなること、簡単に口座が開設可能であること、
チャージをせずにそのまま買い物などに利用ができること、
資金移動業者の提供するポイントが付与されることがあげられます。

この制度が検討される背景は、外国人労働者の受け入れにおいて日本の銀行口座を開設する際、住民票が必要であったり、6か月間の滞在が必要などさまざまな課題があり、その解消に向けた検討が起点でした。そこから発展して副業などの働き方の多様化によるワークスタイルに合わせた給与の受け取り方や、政府のキャッシュレス推進施策の後押しと国民全体に広がりました。資金移動業者にとっても利便性の向上や、チャージコストの削減といった意味合いがあります。

多種多様なキャッシュレス決済が台頭する中で、給与デジタルマネー払いの対象となるのは、口座開設に本人確認が必要かつATMでの出金や送金が可能な資金移動業のデジタルマネーです。

●「給与デジタルマネー払い」における2つのハードル

給与デジタル払いの壁
給与デジタルマネー払いの実現に向けたハードルとして、まず「省令改正」です。省令改正後の拡大に向けた課題として「人事給与システムの課題」があります。

課題①省令改正

労働基準法で賃金は原則通貨で払う定めとなっており、例外として銀行振込が許されています。そのため、デジタルマネーで給与を支払うには、省令を改正する必要があるのです。改正については2019年ごろから検討が進められており、若干鈍化している面はみられるものの、制度設計案(骨子)が作成されて大枠が検討されています。今後はパブリックコメントで意見を募り、労働政策審議会労働条件分科会で決まった内容に合意が得られたら省令改正が施行されます。

銀行口座比較でのセキュリティ面の課題や資金保全などが懸念されており、厳格なルールが引かれると参入事業者が限られてくる可能性は高いですが、省令改正時期は本年度中と予測されています。

課題②人事給与システムの課題

省令改正が施行されても、給与デジタル払いの対応のためには人事給与システムの改修が必要となります。これにはコストをはじめ企業側の負荷が重くなるため、導入企業が限定されてしまい、結果として給与デジタル払いが拡大しないことが懸念されています。その一方で、人事給与システムベンダーは給与デジタル払いをビジネスチャンスとしては捉えておらず、対応にはさまざまな改修が必要となりますが、積極的にコストをかけて対応することは難しいのが現状です。TISは「給与デジタルマネーゲートウェイサービス」でこれらの課題を解決に取り組んでいます。

給与デジタルマネーゲートウェイサービス

●資金移動業からみた「給与デジタルマネー払い」の位置づけ

資金移動事業者はユーザーの利便性を上げるためにコンビニや銀行、クレジットカードなどさまざまなチャージの手段を提供していますが、チャージのコストが大きな負担となっています。給与デジタル払いにより、定期的にチャージが行われることで常に残高を維持できるため、チャージコストの削減が期待されています。「給与デジタルマネーゲートウェイサービス」ではチャージ部分のコスト削減はもちろん、今後は経費、保険金や融資、年金や給付金といったあらゆる企業・サービスから資金移動業者へのチャージチャネルへとゲートウェイを拡張して、銀行口座と同等のサービスを提供可能にします。
ゲートウェイの広がり

●今後のデジタルマネーの課題

現時点で、資金移動業者の口座は銀行口座に相当する機能を備えていないといえます。例えば、住宅ローンの支払いやクレジットカードの引き落としなどは利用することができませんが、今後、支払い機能の拡張が必要だとTISは考えています。

●まとめ・講演資料ダウンロード

セッション終了後、4名の講演者が再登壇し、視聴者からの質問に答えました。
多くの質問が寄せられ、盛況のうちに『決済DXで広がる新しいビジネスと顧客体験 ~金融と非金融の融合~』は幕を閉じました。
TISは、決済DXを推進して、これからも皆様の新ビジネス創造に貢献し、社会変革、社会課題解決に注力してよりよい社会作りに貢献していきます。

※講演資料
講演資料DL

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