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日本にとっての無人店舗とは

こんにちは。米木です。今回はAmazon Goを例に今後の日本の店舗の在り方(傾向)についてお話したいと思います

少子化の影響で、レストランやコンビニの店員採用が難しくなっているということをよくニュースなどで見かけます。コンビニの24時間運営の見直し、店舗のキャッシュレス化、IT化などさまざまな試みがなされています。セルフレジなどはスーバーや駅のコンビニなど至る所に設置されていて、使い慣れている利用者も多くいるようです。

●究極はAmazon Go

Amazon Goについては別の記事「スマートストアとこれからの顧客体験」でも少し触れていますが、Amazon Goが初めて登場したのが、2018年1月のことで、1号店は米国Amazonの本社内に開店しました。このニュースは衝撃をもって伝えられたことを今も覚えています。一番のインパクトは、お店の棚にある商品を手に取り、そのままバッグに入れてしまうという動画でした。まるで万引きをしているような映像には誰もが驚いたことでしょう。同時に「Amazon Goでどうやったら万引きが成功するか」を冗談交じりに議論した方もおられるのではないでしょうか。

Amazon Goでは店舗のあらゆる場所にカメラが設置されており、入店時にスマホのQRコードを改札機の様なゲートにかざします。その後、顧客の動向はカメラに監視され、商品を取るたびにシステムがカウントします。出店時に再びスマホをゲートにかざすと、事前に登録されているAmazon IDで決済が行われます。
「レジに並び決済を行う」という今までの流れを覆し、このような方法で決済まで完了してしまう究極の店舗がこのタイミングで世の中に出てきたというのが世界中を注目させた理由の一つだと思うのです。

●Amazon Goの難しさ

Amazon Goはとても魅力的な店舗ではありますが、実は100%無人ではありません。買い物時に戸惑う顧客のため、案内役の店員が待機しています。また商品が棚に対して正確に並んでいないと、システムが誤認してしまうため、店員がときどき商品の整頓を行っています。小さな店舗でも最低2人は必要なイメージです。

決済という部分での「無人」は成功ですが、顧客対応、商品陳列、商品追加などまだまだ検討すべき課題は山積みです。個人的には将来100%無人店舗をAmazon Goが実現してくれるのを楽しみにしていますが、もしかしたらAmazonの狙いはそこでは無いのかもしれません。米国では日本の様な人手不足状態になっているわけではないからです。もしかしたら、Amazon Goで確立した技術をAWSと共に他社に横展開するというようなことは狙いとしてあるかもしれませんね。(※1)
※1:2020年3月9日にJust work outが世の中に出ましたね!

●Amazon Goに隠された次の目的とは

昨年私もAmazon Goの店舗に行き、買い物体験をしてきました。実際体験をしましたが、驚きの体験というものはほとんどありませんでした。もちろん入出店時にゲートにスマホをかざすことは新鮮であり、レジに並ぶ必要が無く決済が完了できる点については便利さを感じました。

しかし、棚に並んでいる商品を手に取ることについては、今までと何も変わりません。自分のバックにそのまま商品を入れるという行動に関しては最初違和感がありましたが、お店のカゴが自分のバックに変わったという事だけです。

一店舗を実現する為の店舗設備費、技術費・人件費などを考えると、この実験のメリットはどこにあるのでしょうか。
私はAmazonにとってこの実証実験は次のステップに繋がる通り道に過ぎないのではないかと考えています。
Amazon Goの店舗では、顧客がどのような導線で店舗を回るのか、どんな商品を棚から手に取り、購入していくのかなど、今まで入手できなかった顧客一人ひとりの行動情報を入手・分析する事が可能になります。顧客一人ひとりに寄り添った快適な買い物体験を提供できるような、そんな店舗が登場する日も遠くないのかもしれません。

●日本でも動き出している無人店舗

Amazon Goが登場したことにより、日本においてもチャレンジしてみようと立ち上がった企業があります。日本は米国と違い、人手不足が社会問題になっており、市場ニーズもあるため自然な流れと言えるかもしれません。

2018年10月から12月にJR東日本スタートアップ(株)とサインポスト(株)が赤羽駅に無人決済店舗の実証実験を展開しました。2020年春には山手線に新設される高輪ゲートウェイ駅にも実験店舗「TOUCH TO GO」が展開されます。またコンビニ各社もさまざまな無人店舗、レジの実証実験を行っています。(株)セブン-イレブン・ジャパンと(株)NTTデータは2019年10月17日からレジ無し店舗の実証実験を行っており、まさに日本版Amazon Goと言ってもよいのではなでしょうか。今後その成果が期待されます。

記載させて頂いている上記の内容はいずれも実証実験の為、最終的に全国展開されるのかはまだわかりません。中国でいち早く導入された無人コンビニ店を私は上海で見ましたが、利用客は多いとは言えませんでした。無人店舗は商品の品揃え、決済手段の問題・やり方、設備費、人件費など課題が多く残っているように感じます。
日本の市場にとって100%無人にできなくとも業務の半分以上をシステムの力で補う事が可能になれば、日本の未来も少しは明るくなるのではないでしょうか。これからの動向にも注目したいと思います。

(過去の記事)
1.日本で最もキャッシュレスが進んでいる場所にあったキャッシュレスホール
2.GoodユーザーにはBetterエクスペリエンスを!(Money 20/20 USA 2019報告)
3.日本の非接触決済(現状と未来)
4.5Gで変わる決済の未来とは