近年、日本におけるキャッシュレス決済の普及は急速に進展し、2024年にはキャッシュレス決済比率が39.3%に達し過去最高を更新しました。QRコード決済や電子マネー、非接触型カード決済など、決済手段の多様化が進んでいます。加盟店にとっては、こうした変化に柔軟に対応できる環境を整えることが急務です。
本記事では、キャッシュレス決済を支える基盤である「決済代行業者」と「ペイメントゲートウェイ」の違いを整理し、それぞれの役割や加盟店にもたらすメリット、活用のポイントを解説します。
1 決済代行業者とペイメントゲートウェイの違い
2 決済代行業者とは
2-1 役割
2-2 機能
2-3 利用メリット
3 ペイメントゲートウェイとは
3-1 役割
3-2 機能
3-3 間接的にもたらされるメリット
4 決済代行業者とペイメントゲートウェイの活用方法
5 まとめ
1 決済代行業者とペイメントゲートウェイの違い
両者の大きな違いは「役割の範囲」にあります。決済代行業者(PSP)は、加盟店とカード会社・銀行・電子マネー事業者など複数のプレイヤーをつなぎ、決済処理や売上管理、入金の調整といった業務全体を代行します。一方でペイメントゲートウェイは、顧客・加盟店・決済代行業者の間でやり取りされる決済情報を暗号化し、安全かつ迅速に中継する技術基盤です。
ただし、実務においては、多くの決済代行業者がペイメントゲートウェイの機能を自社サービスに内包しています。そのため加盟店から見れば「決済代行業者と契約するだけでペイメントゲートウェイも利用できる」ケースが一般的です。
2 決済代行業者とは
ここでは、決済代行業者の役割、機能、利用メリット、活用事例を紹介します。
2-1 役割
決済代行業者は、加盟店に代わってクレジットカードや電子マネー、QRコード決済など多様な支払い方法をまとめて導入し、承認・売上処理から入金管理までを担います。加盟店が複数の決済事業者と個別に契約する必要はなく、一本化された窓口を通して幅広い決済を受け付けられるのが特徴です。また、不正利用の検出、チャージバック対応、法令遵守のサポートなど、リスク管理も担います。
2-2 機能
決済代行業者は、ペイメントゲートウェイを通じて暗号化されたデータを受け取り、カード発行会社に承認を依頼します。承認が下りれば売上処理を行い、代金を加盟店に送金します。このように、決済代行業者は入金サイクルの管理や返金対応まで含め、決済に関わる業務を一元的に担います。
2-3 利用メリット
加盟店は、多様化する決済手段を一括で導入できるため、顧客ニーズに柔軟に対応し、販売機会を拡大できます。また、複数の契約や入金管理を一本化できるため、運用コストを削減し、効率的な決済運営が可能になります。さらに、決済代行業者が提供するペイメントゲートウェイを利用することで、自社でPCI DSS準拠のシステムを構築する必要がなく、セキュアな環境を低コストで活用できます。
3 ペイメントゲートウェイとは
ここではペイメントゲートウェイの役割、機能、間接的なメリットを紹介します。
3-1 役割
ペイメントゲートウェイ(決済ゲートウェイ)は、顧客・加盟店・決済代行業者の間で決済情報を暗号化して中継し、安全性と迅速性を確保する仕組みです。加盟店が直接意識することは少ないものの、すべてのキャッシュレス取引の裏側で動作し、PCI DSSなどの国際基準に準拠した形で取引を守っています。
3-2 機能
ペイメントゲートウェイはまず、顧客が入力した支払情報を暗号化し、不正アクセスや盗難から保護します。その後、加盟店と決済代行業者を接続し、承認リクエストをカード会社に送信します。承認結果は再びペイメントゲートウェイを経由して加盟店に返され、顧客に通知されます。また、取引データを収集・分析して加盟店に提供し、売上傾向の把握や業務改善に活かせるようにします。さらに、不正検知アルゴリズムやCVVチェックなどにより、不審な取引を事前にブロックする役割も果たします。
3-3 間接的にもたらされるメリット
加盟店は「ペイメントゲートウェイを使っている」という意識を持たないことが多いですが、実際にはこの仕組みによって、PCI DSS準拠のセキュリティを自社で整備する必要がなく、安心してキャッシュレス決済を導入できます。また、取引処理の迅速化により顧客はスムーズな購買体験を得られ、顧客満足度やリピート率向上につながります。
4 決済代行業者とペイメントゲートウェイの活用方法
決済代行業者とペイメントゲートウェイは役割が異なるものの、実務上は密接に組み合わさっています。加盟店が意識的に選ぶのは決済代行業者であり、そのサービスの裏側にはペイメントゲートウェイが組み込まれているケースが一般的です。
幅広い決済手段の導入や、入金管理・不正対応を含めた総合的なサポートを求める場合は、決済代行業者を選ぶことが有効です。
5 まとめ
決済代行業者は、加盟店に代わって複数の決済サービスをまとめ、承認から入金までを一元管理する存在です。その裏側で動作するペイメントゲートウェイは、取引を安全かつ迅速に処理する基盤です。
加盟店は、日々の業務で「ペイメントゲートウェイ」という仕組みを意識する機会は少ないかもしれません。しかし、実際には決済代行業者のサービスの裏側でこの基盤が稼働し、安全でスムーズな決済を支えています。キャッシュレス化が加速する今、自社の決済環境をより良く整えるためには、こうした仕組みの役割を理解し、自店舗のニーズに合った決済サービスを選ぶことが重要です。
QR決済の導入を検討する際には、ぜひPAYCIERGEの「加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」をご活用ください。
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