コラム Column

WeChat Pay(ウィーチャットペイ)とは?導入メリット、手順、事例を紹介

WeChat Pay(ウィーチャットペイ)はQRコード決済ブランドのひとつで、中国で広く利用されています。日本国内でも対応する店舗が増えており、街なかでWeChat Payのマークを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、WeChat Payの特徴や店舗に導入するメリット、導入時の流れなどを詳しく紹介します。

目次
1 WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)とは
2 WeChat Payの特徴
  2-1 中国で幅広く普及している
  2-2 スマートフォンでアプリ決済ができる
3 WeChat Payが注目される背景
  3-1 中国ではキャッシュレス決済が主流
  3-2 中国人観光客の増加
4 中国において現金へのイメージが良くない理由
  4-1 中国では偽札が多く出回っている
  4-2 中国の紙幣は汚れていることがある
5 WeChat Payを導入することで得られるメリット
  5-1 中国人観光客を呼び込める
  5-2 言葉が通じなくても会計しやすい
  5-3 WeChatの公式アカウントでPRできる
6 WeChat Payの決済方法
  6-1 店舗の場合
  6-2 オンラインの場合
7 WeChat Payを導入する手順
8 WeChat Payの導入事例3選
  8-1 東京スカイツリータウン
  8-2 ココカラファイングループ
  8-3 大丸松坂屋
9 まとめ

1 WeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)とは

WeChat Payとは、中国で広く活用されているSNS「WeChat」に搭載されているQRコード決済サービスです。WeChatは中国で最も利用されており、WeChat Payも多くのユーザーに活用されています。そのため、中国国内だけでなく、インバウンド需要を見込んで日本でもWeChat Payを導入する店舗が増えています。

2 WeChat Payの特徴

ここでは、WeChat Payの2つの特徴について見ていきましょう。

2-1 中国で幅広く普及している

中国ではLINEが使用できないため、前述の通りメッセージアプリとしてWeChatが圧倒的に支持されています。

チャットや決済機能に加え、アプリ内での買い物や映画のチケット予約、タクシーの手配など、
日常のあらゆるシーンをサポートする多彩な機能があり、中国で生活する上で欠かせないアプリです。

2-2 スマートフォンでアプリ決済ができる

WeChat Payは、スマートフォンのアプリを使って決済を行うサービスです。決済手順については後ほど詳しく紹介しますが、店舗側がアプリに表示されたQRコードを読み取るか、ユーザーが店舗設置のQRコードをアプリで読み取ることで支払いが完了します。

3 WeChat Payが注目される背景

ここでは、WeChat Payが日本でも注目され、導入する店舗が増えている2つの背景について見ていきましょう。

3-1 中国ではキャッシュレス決済が主流

中国では、日本よりもキャッシュレス決済の普及が進んでいます。2021年のキャッシュレス決済比率を比較すると、日本が32.5%であるのに対して、中国は83.8%でした。特にWeChat PayやAlipayといったQRコード決済が広く利用されており、飲食店や小売店はもちろん、医療機関や家賃の支払いなど幅広い用途で使われています。
WeChat Payの利用は中国人にとって日常生活の一部となっていて、人民元から円への自動精算にも対応しており、
海外旅行中もWeChat Payで支払いをしたいというニーズは少なくありません。そのため、日本でもこのニーズに応えるために、多くの店舗でWeChat Payの導入が進んでいます。

参考:キャッシュレスロードマップ2023(一般社団法人キャッシュレス推進協議会)

3-2 中国人観光客の増加

コロナ禍で外国人観光客の数は落ち込んだものの、2023年頃から再び増加傾向にあります。2024年9月の訪日外国人数は287万人を超え、8ヶ月連続で同月過去最高を記録しました。

特に、中国からの観光客の消費行動は見逃せないポイントで、2024年7〜9月の訪日外国人旅行消費額は、中国が5,177億円と最も多くなっています。こうした背景から、日本国内の店舗でも中国人観光客が使い慣れた決済手段を導入することが求められており、WeChat Payはその代表です。

参考:訪日外国人旅行者数・出国日本人数(観光庁)

4 中国において現金へのイメージが良くない理由

前述の通り中国ではキャッシュレス決済が主流となっていますが、「現金へのイメージが良くない」という背景があります。ここでは、その理由について解説します。

4-1 中国では偽札が多く出回っている

中国では偽札の流通が社会問題となっており、現金使用時には偽札検知器で確認するのが一般的です。店頭でのお釣りに偽札が含まれている可能性もあり、現金取引には偽札が混入するリスクが常に伴います。

万が一偽札を受け取ってしまうと、本物の紙幣に交換することはできません。また、故意ではなかったとしても、偽札の所持や使用が発覚すると刑罰を受ける可能性もあります。現金使用のリスクが高いため、中国では現金へのイメージが悪化し、キャッシュレス決済が広く普及しているのです。

4-2 中国の紙幣は汚れていることがある

中国では紙幣をポケットに直接入れる人も多く、汚れや破損が目立つ紙幣も少なくありません。そのため、「汚れた紙幣に触りたくない」という理由からキャッシュレス決済を使用する人も多くいます。

日本では触るのをためらうほど汚れた紙幣を目にするケースは少ないですが、中国では不衛生な紙幣が多く流通しており、これもキャッシュレス決済の普及を後押しする要因となっています。

5 WeChat Payを導入することで得られるメリット

ここでは、WeChat Payを導入することで得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。

5-1 中国人観光客を呼び込める

3-1でも触れたように、中国人観光客の「旅行先でもWeChat Payを利用したい」というニーズは多いと考えられます。そのため、WeChat Payを導入するだけで他店との差別化になり、中国人観光客へのアピールになります。
中国人観光客は人数も消費額も多いため、特に中国人が多く訪れる観光地では、WeChat Payの導入によって売り上げの向上が見込めるでしょう。

5-2 言葉が通じなくても会計しやすい

WeChat PayはQRコードを読み取るだけで支払いができ、人民元から円への精算も可能です。そのため、最小限のやりとりで支払いが完了するというメリットもあります。
「中国人観光客を呼び込みたいと考えているものの、中国語が話せるスタッフがいない」とお悩みの店舗でもWeChat Payがあればスムーズに支払いの対応ができます。

5-3 WeChatの公式アカウントでPRできる

WeChat PayはメッセージングアプリのWeChatに備わっている決済サービスのため、WeChat Payの導入に合わせてWeChatの公式アカウントを開設できます。公式アカウントを通じてメッセージやクーポンを配信することで、店舗のPRに活用できる点もWeChat Payを導入するメリットのひとつです。
中国では訪日前にWeChatで情報を集める人も多いため、公式アカウントを活用したPRは中国人観光客の集客に大いに役立つでしょう。

6 WeChat Payの決済方法

WeChat Payは実店舗で利用する他、オンラインでの買い物にも利用できます。ここでは、WeChat Payの決済方法について紹介します。

6-1 店舗の場合

WeChat Payを使って店舗で支払いをする場合、「ユーザースキャン方式」と「ストアスキャン方式」の2つの方法があります。
ユーザースキャン方式は、店舗側が用意したQRコードをユーザーのWeChatアプリで読み取る方式です。ユーザー自身でQRコードを読み取り、決済金額を入力して支払いを行います。店舗側はQRコードリーダーなど専用の端末を用意する必要がなく、導入時の手間やコストを抑えることができます。
ストアスキャン方式は、ユーザーのWeChatアプリに表示されるQRコードを店舗側が読み取る方式です。QRコードを読み取るだけで決済でき、ユーザーによる金額の入力は必要ありません。QRコードリーダーを用意する必要がありますが、金額の手入力が不要なため、手間や入力ミスを防げるというメリットがあります。

6-2 オンラインの場合

オンラインで支払いを行う場合は、ECサイトの決済画面に表示されるQRコードをWeChatアプリで読み取ります。まずは、WeChatアプリを開き、画面右上に表示される「+」マークをタップします。「スキャンする」を選択するとQRコードの読み取りが可能です。
読み取ったQRコードが認証されると、支払いパスワードの入力画面に遷移します。WeChatPay登録時に設定した支払いパスワード(数字6桁)を入力して「同意」をタップすると、支払いは完了です。

7 WeChat Payを導入する手順

次は実際にWeChatPayを導入するための手順をご紹介します。日本でWeChat Payを導入する際は、直接WeChatPayと契約するのではなく、決済代行サービスを利用するのが一般的です。日本の多くの決済代行サービスがWeChat Payに対応しており、日本語で手続きできるため、スムーズに導入が進められます。
さらに、決済代行サービスを使えば、WeChat Pay以外にも他のQRコード決済・クレジットカード・電子マネーなど複数の決済方法を一括で導入できる点も大きなメリットです。

決済代行サービスを利用してWeChat Payを導入する際の流れは、以下のようになります。

  1. 決済代行サービスに申し込む
  2. 加盟店審査を受ける
  3. 審査に通過するとアカウントが発行される
  4. 決済システムの初期設定が完了したら利用開始

ストアスキャン方式やWeChat Pay以外の決済方法を導入する場合は、QRコードリーダーやキャッシュレス決済端末の導入も必要です。

8 WeChat Payの導入事例3選

最後に、日本の店舗でWeChat Payを導入した3つの事例をご紹介します。それぞれの導入理由や活用方法を紹介するので、参考にしてみてください。

8-1 東京スカイツリータウン

東京スカイツリータウンでは、2019年からWeChat Payを導入しています。外国人観光客が多く訪れる人気の観光地であり、特に中国からの観光客が増える春節の時期に間に合うようにWeChat Payを導入しました。また、WeChat Payと同様に中国国内で広く普及している「Alipay(アリペイ)」も併せて導入することで、さらに多様なニーズに対応し、利便性を向上させています。

8-2 ココカラファイングループ

ココカラファイングループは2017年にWeChat Payを導入し、現在では国内約2,000店舗で利用が可能です。ドラッグストアは中国人観光客に人気が高いため、WeChat Payの導入によってさらなる新規顧客やリピーターの獲得につながっています。

8-3 大丸松坂屋

大丸松坂屋は、2015年に日本の百貨店として初めてWeChat Payを導入しました。WeChat公式アカウントフォロー促進キャンペーンなど新規顧客獲得のための取り組みのほか、帰国後のWeChatを活用したクーポン配信や、WeChat Payでの決済額に応じたキャッシュバックキャンペーンも実施しており、リピーター向けのPR活動にも積極的に活用しています。

9 まとめ

中国では日本以上にキャッシュレス決済の普及が進んでおり、特にWeChat Payを含むQRコード決済が広く活用されています。日本でも中国人観光客が多く訪れる店舗ではWeChat Payの導入が進んでいるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
WeChat Payの導入には、複数のキャッシュレス決済サービスを一括導入できる決済代行サービスの利用がおすすめです。TISの「加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」なら国内外の主要QRコード決済ブランドに対応しており、中国でシェアの高いWeChat Pay・Alipay・UnionPayも導入可能です。運用面や費用面で最適な導入方法を提案しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


【コード決済関連記事はこちら】

●飲食店がPayPayに加盟するメリットとは?変更点や手数料、手順を紹介

●電子決済とは?決済方法や支払いの種類、導入するメリットや注意点を解説

●キャッシュレス決済とは?種類や導入するメリット・デメリットを解説

●Alipay(アリペイ)を日本の店舗に導入する方法を紹介!

●楽天ペイの導入にかかる費用やメリットを解説!

●【飲食店向け】メルペイの導入方法や費用について解説!

●飲食店にキャッシュレス決済を導入するメリットとは?

加盟店向けQR決済ゲートウェイサービスの詳細はこちら

※この記事が参考になった!面白かった! と思った方は是非「シェア」ボタンを押してください。