暗号資産の中でも注目を集めている「ステーブルコイン」は、価格の安定性を持つ通貨として、送金・決済への活用が期待されており、国内でも法整備が進められています。
本記事では、ステーブルコインの仕組みや用途、一般的な暗号資産や法定通貨との違い、それぞれのメリット・デメリットを解説します。また、国内外の市場動向についても触れ、ステーブルコインの今後の可能性を探ります。
1 ステーブルコインとは?基本的な仕組み
2 ステーブルコインの用途
2-1 暗号資産のリスクヘッジ手段
2-2 送金手段
2-3 実店舗・ECでの決済手段
3 ステーブルコインのメリット
3-1 価格変動のリスクが低い
3-2 スピーディ・低コストで送金できる
3-3 法定通貨の代替手段として導入しやすい
3-4 スマートコントラクトの仕組みを活用できる
4 ステーブルコインのデメリット・リスク
4-1 価格変動による利益を得にくい
4-2 価値の連動が維持できなくなることがある
4-3 法定通貨の価値変動に左右される
4-4 マネーロンダリング・テロ資金供与に使われる可能性がある
5 ステーブルコインの種類
5-1 法定通貨担保型
5-2 コモディティ型
5-3 暗号資産担保型(仮想通貨担保型)
5-4 無担保型
6 代表的なステーブルコインの銘柄一覧
6-1 ZPG(ジパングコイン)
6-2 JPYC
6-3 USDT(テザー)
6-4 XAUT(テザーゴールド)
6-5 USDC(USDコイン)
6-6 TUSD(TrueUSD)
6-7 DAI(ダイ)
6-8 EURC(ユーロコイン)
7 日本でステーブルコインが買える取引所一覧
7-1 bitFlyer(ビットフライヤー)
7-2 SBI VCトレード
7-3 Coincheck(コインチェック)
7-4 GMOコイン
8 ステーブルコインの市場動向
8-1 世界の大手IT企業がステーブルコインの導入を検討
8-2 改正資金決済法の施行
8-3 国内でも各社で決済・送金サービスの開発が進行
9 企業がステーブルコインに注目する重要性
10 ステーブルコインについてよくある疑問
10-1 中央銀行デジタル通貨との違いは?
10-2 法定通貨と比較したメリットは?
10-3 ステーブルコインの将来性は?
11 まとめ
1 ステーブルコインとは?基本的な仕組み
ステーブルコインとは、価格の変動を抑えて安定した価値を保つよう設計された暗号資産です。
多くのステーブルコインは、米ドルなどの法定通貨や、金など現物と価値を連動(ペッグ)させることで、価格の安定を実現しています。例えば、米ドルと連動するUSDT(テザー)は、1ドル=1USDTとなるよう連動させる仕組みを備えたステーブルコインです。
価格を連動させる仕組みはステーブルコインの種類によって異なります。例えば、法定通貨担保型のように、ステーブルコインの発行体が実際に法定通貨を保有することで安定性を担保するものもあります。
ただしこうした連動は完全に維持されるわけではなく、「ディペッグ」と呼ばれる価値の連動が維持できなくなる状態に陥ったステーブルコインの事例もあります。詳しくは本記事の「価値の連動が維持できなくなることがある」の項目をご参照ください。
ステーブルコインは、送金速度や手数料の低さといった暗号資産本来の利便性を維持しながら、価格変動リスクを抑える構造を持っています。そのため、決済・送金など実用的な活用が検討されています。
2 ステーブルコインの用途
ステーブルコインは一般的な暗号資産と異なり、価格の安定性を活かしてさまざまな実用的なシーンで利用されています。主な用途は、以下の3つです。
- 暗号資産のリスクヘッジ手段
- 送金手段
- 実店舗・ECでの決済手段
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 暗号資産のリスクヘッジ手段
ステーブルコインは、暗号資産の運用におけるリスクヘッジ(資産の退避先)の手段として活用されています。
たとえば市場が不安定な時期や取引を控えるタイミングで、一時的にステーブルコインへ資産を退避させることで、価値の減少を防ぐことができますす。
通常の法定通貨などに変換することによってもリスクヘッジは可能ですが、換金時にかかる手数料や時間的コストを考えると、暗号資産間での切り替えが容易なステーブルコインが有利です。
2-2 送金手段
ステーブルコインは銀行などの仲介を介さずに個人間で送金できる「P2P(ピアツーピア)送金手段」として注目されています。
通常の法定通貨で送金する場合、特に海外への送金では従来の仕組みでは中継銀行が複数介在し、手数料が高く、送金に時間もかかるという課題がありました。
ステーブルコインであれば、送金速度が速く、低コストで、かつ価格変動リスクが少ないというメリットがあります。
2-3 実店舗・ECでの決済手段
ステーブルコインは実店舗やECサイト(ネットショップ)において、法定通貨に代わる新たな決済手段としての活用が検討されています。
2025年7月時点では本格的な実用化には至っていませんが、国内でもステーブルコインを活用した決済サービスの開発が進んでいます。
また、2025年6月にはステーブルコインの普及に向けて資金決済法が改正されるなど法整備も進んでおり、法定通貨の代わりとしてステーブルコインが決済に使用される社会が実現しつつあるといえるでしょう。
3 ステーブルコインのメリット
ステーブルコインには、通常の暗号資産や法定通貨にはない独自のメリットがあります。
主な利点は以下の4つです。
- 価格が安定している
- 国際送金が速くて安い
- ブロックチェーンの利便性を活かせる
- 為替変動の影響を受けにくい
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
3-1 価格が安定している
ステーブルコイン最大の特徴は、価格が法定通貨などと連動し、安定していることです。
一般的な暗号資産は、市場の影響を受けやすく、価格が大きく変動することが多いため、実用性に欠ける面がありました。
一方、ステーブルコインは価格の変動幅が小さいため、決済や送金、資産の一時避難先として活用しやすいという利点があります。
3-2 国際送金が速くて安い
ステーブルコインは、銀行などの中継を介さず、個人間で直接送金できるため、国際送金にかかる時間と手数料を大幅に削減できます。
法定通貨を使った国際送金では、複数の銀行を経由し、数日かかるうえに手数料も高額になることが一般的です。
これに対し、ステーブルコインを使えば、ほぼ即時に送金でき、コストも大幅に抑えられるため、グローバルな資金移動手段として注目されています。
3-3 ブロックチェーンの利便性を活かせる
ステーブルコインは、ブロックチェーン技術の恩恵を受けながらも、価格安定性を実現できる点が魅力です。
ブロックチェーンの透明性・改ざん耐性・即時性などの特徴はそのままに、価値の大きな変動を回避できるため、実務利用へのハードルが低くなります。
この特性により、ステーブルコインは決済、送金、資産管理などのユースケースにおいて採用が広がっています。
3-4 為替変動の影響を受けにくい
法定通貨を直接使う場合は、円安・円高などの為替リスクが取引や保有資産に影響を与えることがあります。
一方、ステーブルコインは特定の通貨に連動して設計されているため、為替差による価値の変動を抑えることができます。
特にグローバルなビジネスを行う企業にとって、為替リスクを最小限に抑えつつ、スムーズな資金移動を可能にする手段として有効です。
4 ステーブルコインのデメリット・リスク
ステーブルコインは多くの利点を持っていますが、注意すべきデメリットやリスクも存在します。
主に次の4点が挙げられます。
- 価値の連動が維持できなくなることがある
- 発行元への信頼性が問われる
- 規制が不十分な場合がある
- ハッキングなどのリスクがある
それぞれ見ていきましょう。
4-1 価値の連動が維持できなくなることがある
ステーブルコインは法定通貨などに連動していますが、常にその価値を正確に維持できるとは限りません。
市場の急変や発行体の資産管理の不備などにより、「ディペッグ(価値の乖離)」が発生し、1ドル=1ステーブルコインという構図が崩れることがあります。
過去には、アルゴリズム型ステーブルコインで急激な価格下落が起きた例もあり、リスクを十分に理解しておく必要があります。
4-2 発行元への信頼性が問われる
ステーブルコインの多くは民間企業が発行しており、その資産裏付けや運用状況が十分に開示されていないケースもあります。
たとえば、保有資産が実際に存在するのか、どのような形で保全されているかなど、情報の不透明さが信頼性を損なう要因となり得ます。
発行体が倒産したり、不正運用を行ったりした場合には、保有していたステーブルコインの価値が失われる可能性もあります。
4-3 規制が不十分な場合がある
ステーブルコインは世界各国で注目を集めていますが、国や地域によっては、法律や規制の整備が不十分な状況です。
日本では資金決済法などの整備が進んでいますが、法的な位置づけや監督体制が明確でない国も多く、国際的な利用にあたっては注意が必要です。
規制が甘い環境では、違法取引や資金洗浄の手段として悪用されるリスクもあります。
4-4 ハッキングなどのリスクがある
ステーブルコインはブロックチェーン技術を活用しているため、技術的なセキュリティリスクにも注意が必要です。
たとえば、発行体やウォレット事業者がハッキングされることで、ユーザーの資産が流出する事例も報告されています。
また、誤送金や秘密鍵の管理ミスなど、人為的なトラブルによる損失も起こり得ます。
5 ステーブルコインの種類
ステーブルコインには、大きく分けて以下の4種類があります。
- 法定通貨担保型
- コモディティ型
- 暗号資産担保型(仮想通貨担保型)
- 無担保型
以下、それぞれの特徴・違いを詳しく見ていきましょう。
5-1 法定通貨担保型
法定通貨担保型は、米ドルなどの「法定通貨」を担保とするステーブルコインです。
法定通貨の価格に対して「1:1」の価値で連動(ペッグ)させる仕組みになっており、例えば米ドルを担保とするステーブルコインUSDT(テザー)は、1USDT=1ドルのレートを保つように設計されています。
法定通貨担保型のステーブルコインの多くは米ドルを担保としていますが、日本円やユーロを担保とするものもあります。具体例は本記事の「代表的なステーブルコインの銘柄一覧」をご参照ください。
5-2 コモディティ型
コモディティ型は、原油や金などのコモディティ投資で扱われる資産を担保とするステーブルコインです。
流通しているコモディティ型のステーブルコインには「金」を担保とするものが多く、具体例としてはZPG(ジパングコイン)やXAUT(テザーゴールド)などがあります。
5-3 暗号資産担保型(仮想通貨担保型)
暗号資産担保型は、暗号資産を担保とするステーブルコインです。
具体例としては日本国内の取引所でも取扱いの多いDAI(ダイ)が挙げられます。DAIは担保として暗号資産の「イーサリアム」を使用しており、価格は1ドル=1DAIを維持するように設計されています。
5-4 無担保型
無担保型は担保とする資産なしで、「アルゴリズム」によって自動的に供給量を調整し、価格を安定させるステーブルコインです。
具体例としてはUST(テラUSD)が挙げられますが、前述の通り米ドルとの連動を維持できなくなる「ディペッグ」の状態になり、大暴落したことで知られています。
担保がある他のステーブルコインと比較すると、無担保型は「安定性」のメリットが低いといえます。
6 代表的なステーブルコインの銘柄一覧
代表的なステーブルコインとしては以下の8つが挙げられます。
銘柄 | 種類 | 担保 |
---|---|---|
ZPG(ジパングコイン) | コモディティ型 | 金 |
JPYC | 法定通貨連動型 | 日本円 |
USDT(テザー) | 法定通貨連動型 | 米ドル |
XAUT(テザーゴールド) | コモディティ型 | 金 |
USDC(USDコイン) | 法定通貨連動型 | 米ドル |
TUSD(TrueUSD) | 法定通貨連動型 | 米ドル |
DAI(ダイ) | 暗号資産担保型 | イーサリアム |
EURC(ユーロコイン) | 法定通貨連動型 | ユーロ |
各銘柄の特徴について、以下に詳しく解説します。
6-1 ZPG(ジパングコイン)
種類 | コモディティ型 |
---|---|
担保 | 金 |
発行元 | 三井物産デジタルコモディティーズ |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
bitFlyer・SBI VCトレード |
ZPG(ジパングコイン)は、2022年2月にローンチされたコモディティ型のステーブルコインです。
日本で認定された初のコモディティ型ステーブルコインで、1gの金と1ZPGの価値が同じになるように設計されています。
ZPGを発行する三井物産デジタルコモディティーズでは、他にも銀を担保とする「ZPGAG」や、プラチナを担保とする「ZPGPT」も発行しています。
公式サイト:三井物産デジタルコモディティーズ
6-2 JPYC
種類 | 法定通貨連動型 |
---|---|
担保 | 日本円 |
発行元 | JPYC株式会社 |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
2025年5月30日で新規発行は終了(発行済のトークンは引き続き利用可) |
JPYCは、日本円と連動する法定通貨連動型のステーブルコインです。
ブロックチェーン上で構築されていますが、厳密には暗号資産ではなく、チャージ式の電子マネーなどと同様の「前払式支払手段」です。そのため現金・預金などと同様に、キャッシュフロー計算書で「資金」として計上できます。
JPYCはVisa加盟店で使える「Vプリカギフト」などに交換することで、日常の決済で使用できます。
6-3 USDT(テザー)
種類 | 法定通貨連動型 |
---|---|
担保 | 米ドル |
発行元 | Tether |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
なし |
USDT(テザー)は、香港を拠点とするTether社が2015年にローンチしたステーブルコインです。「世界初のステーブルコイン」として知られています。
2025年7月4日時点での時価総額は「約1586億ドル」で、世界トップクラスの取引量を誇るステーブルコインです。
USDTはイーサリアムなど複数のブロックチェーンによって構築されています。
公式サイト:USDT Transparency|Tether
6-4 XAUT(テザーゴールド)
種類 | コモディティ型 |
---|---|
担保 | 金 |
発行元 | Tether |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
なし |
XAUTはTG Commodities, SA de CVが提供するコモディティ型のステーブルコインです。金の延べ棒1トロイオンスの価格と1XAUTが連動するように設計されています。
金の現物取引は従来、営業時間に左右されるなどスピーディな取引が難しい側面がありましたが、XAUTを利用することで、24時間365日いつでも金の取引を行えます。
公式サイト:Tether Gold – The World’s Leading Gold Token
6-5 USDC(USDコイン)
種類 | 法定通貨連動型 |
---|---|
担保 | 米ドル |
発行元 | Circle |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
SBI VCトレード |
USDCは、Circle社が発行する米ドル連動のステーブルコインです。2025年6月26日時点での時価総額は「約615.6億ドル」で、USDTと並んで世界トップクラスを誇ります。
EUの暗号資産法「MiCA」に準拠しており、信頼性の高さで知られています。USDCを担保とするクレジットカードの発行など、さまざまな利用シーンが期待されているステーブルコインです。
公式サイト:USDC | グローバル金融を活性化|Circle
6-6 TUSD(TrueUSD)
種類 | 法定通貨連動型 |
---|---|
担保 | 米ドル |
発行元 | TrustToken |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
なし |
TUSDはTrustToken社によって発行されている米ドル連動のステーブルコインです。
透明性を高めるために第三者によるリアルタイム監査を導入した、最初のステーブルコインとして知られています。会計事務所による検証を導入するなど、透明性に力を入れていることが特徴です。
公式サイト:TUSD
6-7 DAI(ダイ)
種類 | 暗号資産担保型 |
---|---|
担保 | イーサリアム |
発行元 | MakerDAO |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
bitFlyer・SBI VCトレード・Coincheck・GMOコインなど |
DAI(ダイ)は、2017年にローンチされた暗号資産担保型のステーブルコインです。イーサリアムを担保とし、米ドルとの価格連動が保たれるように設計されています。
DAIは「MakerDAO」という分散型自立組織によって運営されているステーブルコインです。分散型自立組織とは、ブロックチェーン技術によって不特定多数が経営を行う組織のことで、従来の株式会社のように中央集権的な管理を必要としない組織形態を指しています。
公式サイト:MakerDAO | An Unbiased Global Financial System
6-8 EURC(ユーロコイン)
種類 | 法定通貨連動型 |
---|---|
担保 | ユーロ |
発行元 | Circle |
国内で取扱いのある取引所 (2025年7月時点) |
なし |
EURCは、USDCを発行するCircle社によるステーブルコインです。ユーロの価格と連動して、1ユーロ=1EURCのレートを保つように設計されています。
EURCもUSDCと同様にEUの暗号資産法「MiCA」に準拠しており、信頼性の高いステーブルコインとして知られています。
公式サイト:EURC | ユーロに裏付けられたステーブルコイン
7 日本でステーブルコインが買える取引所一覧
日本でステーブルコインを購入できる取引所は以下の通りです。
取引所の名称 | 取扱いのあるステーブルコイン |
---|---|
bitFlyer(ビットフライヤー) | DAI ZPG ZPGPT ZPGAG |
SBI VCトレード | DAI ZPG USDC |
Coincheck(コインチェック) | DAI |
GMOコイン | DAI |
各取引所の特徴を、以下に解説します。
7-1 bitFlyer(ビットフライヤー)
運営会社 | 株式会社 bitFlyer |
---|---|
取扱いのあるステーブルコイン | DAI ZPG ZPGPT ZPGAG |
公式サイトURL | https://bitflyer.com/ |
bitFlyerは、2016年から2024年にかけてのビットコイン取引量で9年連続1位を誇る、人気の高い暗号資産取引所です。ビットコイン・イーサリアムなど、人気の暗号資産を1円から購入できる手軽さに強みがあります。
取扱い銘柄の種類が豊富で、ステーブルコインについても、金を担保とする「ZPG」だけでなく、プラチナを担保とする「ZPGPT」や、銀を担保とする「ZPGAG」も扱っています。
7-2 SBI VCトレード
運営会社 | SBI VCトレード株式会社 |
---|---|
取扱いのあるステーブルコイン | DAI ZPG USDC |
公式サイトURL | https://www.sbivc.co.jp/ |
SBI VCトレードは、証券・銀行・保険などの金融サービスで知られるSBIグループの暗号資産取引所です。レバレッジ取引や積立暗号資産など、さまざまな取引方法を提供しています。
取扱い銘柄の種類が多く、2025年7月時点で「ZPG」を購入できる数少ない取引所の1つです。また2025年3月に日本で初めてUSDCの一般向け取扱いを開始したことでも知られています。
7-3 Coincheck(コインチェック)
運営会社 | コインチェック株式会社 |
---|---|
取扱いのあるステーブルコイン | DAI |
公式サイトURL | https://coincheck.com/ja/ |
Coincheckは、インターネット証券会社「マネックス証券」などで知られるマネックスグループの暗号資産取引所です。
アプリで気軽に取引できるサービスとして人気が高く、モバイルアプリのダウンロード数は、国内の暗号資産取引アプリNo.1※を誇っています。
※期間:2019年1月〜2023年12月
7-4 GMOコイン
運営会社 | GMOコイン株式会社 |
---|---|
取扱いのあるステーブルコイン | DAI |
公式サイトURL | https://coin.z.com/ |
GMOコインは、インターネット事業を広く展開し、インターネット証券・銀行も擁するGMOインターネットグループの暗号資産取引所です。
最低100円から気軽に暗号資産を購入できる手軽さから人気が高く、インターネット分野のグループ企業ならではの高度なセキュリティにも強みがあります。
8 ステーブルコインの市場動向
ステーブルコインは、市場でどのように普及しているのでしょうか。これまでの市場動向について、世界でステーブルコインが注目を集めたきっかけとなる出来事や、国内の法整備の動向などについて、以下の3点を紹介します。
- 世界の大手IT企業がステーブルコインの導入を検討
- 改正資金決済法の施行
- 国内でも各社で決済・送金サービスの開発が進行
それぞれ詳しく見ていきましょう。
8-1 世界の大手IT企業がステーブルコインの導入を検討
ステーブルコインが注目されるきっかけとなったのが、2019年にMeta社(当時はFacebook社)が発表したデジタル通貨構想「Libra(リブラ)」です。
Libraは銀行などを介さずに送金できるデジタル通貨として普及させる計画でしたが、金融当局からの反発を受け、発行には至りませんでした。その後、「Diem」と名称を改め計画が進められていましたが、2022年に計画は実質的に終了しています。
最終的にプロジェクトは中止されたものの、「法定通貨の代わりに使用できる暗号資産」が注目されるきっかけとして、世界中に大きな影響を与えました。
8-2 改正資金決済法の施行
国内では2023年6月に、ステーブルコインに対する規制を定めた「改正資金決済法」が施行され、ステーブルコインの取り扱いに関する法整備が進んでいます。
資金決済法は2025年6月にも改正が行われ、ステーブルコインが実際の決済・送金に使用される社会に向けた細かいルール調整が行われています。
このようにステーブルコインの取扱いについて法律で明確に定められることで、「国によって認められた決済・送金手段」として普及していくことが期待できるでしょう。
8-3 国内でも各社で決済・送金サービスの開発が進行
国内でも、ステーブルコインを決済・送金に使用するサービスの開発が進んでいます。
例えばブロックチェーン分野の事業を展開するdouble jump.tokyo株式会社は、弊社TIS株式会社と共同でステーブルコインを活用した決済サービスの開発を進めています。
参照:TIS、double jump.tokyoに出資し、新たな決済手段であるステーブルコイン決済の活用を推進 | ニュースリリース | 2024年度 | ニュース | TIS株式会社
2025年7月時点では、実際にステーブルコインを活用した送金・決済サービスの普及は進んでいません。とはいえ前述のように法整備が進んでいることから、ステーブルコインが日本円の代わりに決済・送金に使われることは非現実的な話ではないといえます。
9 企業がステーブルコインに注目する重要性
ここまで解説してきた通り、ステーブルコインは決済手段としての活用が想定されるため、顧客との決済が発生するあらゆるビジネスへの影響が考えられます。
またWeb3・NFT・スマートコントラクトとの連動による新たなサービスの創出など、多くのビジネスチャンスが想定される分野です。
市場の動向に乗り遅れることなく競争優位性を保つためにも、ステーブルコイン分野の最新動向を今後も常に注視していくことが大切です。
10 ステーブルコインについてよくある疑問
- 中央銀行デジタル通貨との違いは?
- 法定通貨と比較したメリットは?
- ステーブルコインの将来性は?
10-1 中央銀行デジタル通貨との違いは?
中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)とは、中央銀行が発行するデジタル通貨のことです。
ステーブルコインは民間企業が発行するものであり、企業によって法定通貨との連動性を維持する必要がありますが、中央銀行デジタル通貨は「法定通貨と全く同じ価値があるもの」として政府によって保証されています。
つまり法定通貨のデジタル版としての位置づけです。
10-2 法定通貨と比較したメリットは?
法定通貨と比較したステーブルコインの基本的なメリットは、暗号資産ならではのメリットを活用できることです。主に以下の2点が挙げられます。
- スピーディ・低コストで送金できる
- スマートコントラクトの仕組みを活用できる
ステーブルコインは、銀行などを通さないP2P(ピアツーピア)と呼ばれる送金ができるため、法定通貨よりもスピーディかつ低コストでの送金が可能です。
さらにブロックチェーン技術により契約・取引を自動化する「スマートコンストラクト」も、ステーブルコインでは実行できます。
通常の暗号資産にも上記のようなメリットはありますが、価格の変動が大きいというリスクが伴います。価格が安定するよう工夫されたステーブルコインなら、価格変動のリスクを抑えながら暗号資産のメリットを得ることが可能です。
10-3 ステーブルコインの将来性は?
ステーブルコインは、本記事の「改正資金決済法の施行」で解説した通り、国内においても法整備が進み、決済・送金の手段としての活用に向けた動きが活発化しています。
2025年6月には米国の連邦議会上院で、ステーブルコインについての規定を定める通称「ジーニアス法」が可決されるなど、世界的にも普及に向けた法整備が進んでいます。
このように国家レベルで普及に向けた動向が活発化していることから、今後もステーブルコインの将来性は高いといえるでしょう。
11 まとめ
ステーブルコインは、価格を安定させる仕組みを備えた暗号資産です。安定性の高さから法定通貨との代替も検討されていて、送金・決済の手段としての利用も検討されています。
送金・決済にまつわる事業を行う企業は、ステーブルコインの動向に今後も注目していくことが大切です。
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