
近年、国内外でWeb3を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。NFTやDeFiといった初期のユースケースに加え、2025年には日本円連動型ステーブルコインが本格的に注目され、企業がWeb3技術を実ビジネスへ取り込む動きが一段と加速しました。
かつては「Web3」という抽象的な概念が先行して語られていましたが、現在はより具体的なオンチェーン技術や実装レイヤーへと、議論の軸が移りつつあります。同時に、これまで事業化の障壁となってきた規制・税制面の改善も進み、企業がWeb3を活用するための環境が整い始めています。
つまり、Web3ビジネスに参入するための“現実的な準備”を始めるには、まさに今が最適なタイミングと言えるでしょう。そして、その準備の出発点となるのが、「ウォレット」です。
Web3ウォレットについては以前のコラムでも解説をしているので、こちらもご参照ください。
>これを読めばweb3ウォレットを理解できる!
しかし、企業がWeb3ビジネスを本格的に検討する段階に入ると、すぐに直面する現実があります。それは、オンチェーン技術の入口である「ウォレット」が、従来は個人利用を前提に設計されてきたという事実です。MetaMaskをはじめとする一般的なセルフカストディウォレットは、個人ユーザーにとっては十分な機能を備えていますが、企業が業務として扱うには、セキュリティ、運用、内部統制の面で多くの課題が残っています。
Web3ビジネスが“抽象的な未来の話”から“具体的な事業検討フェーズ”へと移行した今、企業が安心してオンチェーン技術を活用するためには、企業利用に耐えうるウォレット基盤が不可欠です。そして、この基盤をどう整えるかが、Web3ビジネスの成否を大きく左右します。

では、企業はこの課題をどのように解決すべきなのでしょうか。実は、国内外ではすでに「企業が安全かつ効率的にWeb3を扱うためのウォレット基盤」を整備する動きが進んでいます。その中でも、日本企業のニーズに合わせて設計され、すでに60社以上の導入実績があるのがNSuiteです。
本コラムでは、まず既存ウォレットが抱える課題を整理し、そのうえでNSuiteがどのようにそれらを解決し、企業のWeb3活用を現実的なものにしているのかを詳しく解説します。さらに、実際のユースケースや導入メリットを通じて、貴社がWeb3に踏み出す際に押さえておくべきポイントを明らかにします。
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1 既存ウォレットが企業利用において直面する「3つの壁」
2 NSuiteが提示する解決策:承認ワークフローとMPC技術の融合
2-1 NSuiteとは
2-2 組織構造に即した承認フロー
2-3 秘密鍵を分散管理するMPC技術
2-4 「利便性」と「セキュリティ」を両立
2-5 圧倒的なコストパフォーマンスと実務的な有用性
3 NSuiteが解決する6つのビジネスシーン
3-1 エンタープライズ×内部統制・ガバナンス
3-2 トークン発行・IEO運営
3-3 NFT発行・運用(B2C/B2B)
3-4 Web3開発基盤
3-5 ノード運用・ステーキング・レンディング
3-6 ゲーム・メタバース・マーケットプレイス
4 まとめ:Web3ビジネスを「現実」のものにするために
1 既存ウォレットが企業利用において直面する「3つの壁」
企業がMetaMaskなどのセルフカストディウォレットをビジネスで利用しようとする際、主に「ワークフローの断絶」「セキュリティリスク」「監査証跡の欠如」という3つの大きな壁に直面します。

01.ワークフローの断絶
第一に、個人向けウォレットはユーザー本人が直接操作することを前提としており、企業で求められる電子的な承認フローや権限管理と、実際のウォレット操作が連動していません。そのため、組織としての統制や監査に必要な仕組みを備えていない点が課題となります。
02.セキュリティリスク
第二に、単一の秘密鍵による運用は、組織的な鍵管理において権限管理の不備や紛失・盗難のリスクを常に孕んでいます。
03.監査証跡の欠如
そして第三に、いつ・誰が・なぜその取引を行ったのかという監査証跡が自動的に記録されないため、日本の厳しい内部統制基準を満たすことが困難です。
これら3つの壁を前に、企業がセルフカストディウォレットをそのまま業務利用するには限界があります。ここからは、NSuiteがどのようにしてこれらの課題を解消するのかを見ていきます。
2 NSuiteが提示する解決策:承認ワークフローとMPC技術の融合
2-1 NSuiteとは
NSuiteは、Web3事業に必要な「安全なウォレット管理」と「組織的な運用体制」をワンストップで実現するプラットフォームです。ステーブルコインや暗号資産の送金、NFTやトークンの発行、スマートコントラクトの管理など、複雑なWeb3業務を誰もが安心して扱えるようにします。
NSuiteは、先ほどの3つの壁を解決するために、「承認ワークフローシステム」と「MPC(マルチ・パーティ・コンピュテーション)技術」という2つのコア技術を組み合わせています。
2-2 組織構造に即した承認フロー
NSuiteのワークフローは、企業の組織構造(組織・チーム・メンバー)を反映した階層設計になっています。「申請者」「承認者」「実行者」という3段階のプロセスをデジタル上で完結させることで、開発や決済の現場フローと電子的なワークフローをシームレスに連携させます。これにより、物理デバイスの操作を排除し、フルリモート環境での運用も可能にしています。

2-3 秘密鍵を分散管理するMPC技術
セキュリティ面では、通常のウォレット管理においてリカバリーパスフレーズの適切な保管を前提としつつ、組織的な鍵管理においてはMPC技術による秘密鍵の分散管理を採用することで、権限管理の不備や秘密鍵の紛失・盗難といったリスクへの対応策を講じています。
MPCでは鍵が分散されているため、1つのデバイスが破損したり、1人の管理者が辞めてしまったとしても、資産は失われることはありません。これは日本企業の内部統制(J-SOX)やISMSとの親和性が高い仕組みです。
これにより、特定の管理者に依存しない高度なセキュリティを実現し、資産の盗難や誤操作のリスクを最小限に抑えています。

なお、NSuiteにはマルチシグウォレット(複数の秘密鍵で1つのウォレットを共同管理する仕組み)も備わっていますが、MPCはチェーンに依存せず複数チェーンで同じ運用ができる点や、複数の管理者が協力しない限り署名が成立しない“暗号的な仕組み”によって安全性を確保できる点で、より優れたアプローチと言えます。
2-4 「利便性」と「セキュリティ」を両立
一般的に、セキュリティを重視すれば業務効率が低下し、利便性を優先すればリスクが増大するという「二律背反」の関係があると言われます。しかし、NSuiteは直感的なUI/UXと既存業務フローへの統合、そして堅牢な技術基盤により、この「セキュリティのために利便性を犠牲にする」という常識を覆しています。
特筆すべきは、日本の上場企業に求められる厳格な要件を満たしている点です。NSuiteは日本を代表する上場企業にも多数採用されてます。こうした企業の数年にわたる継続利用の事例が実績として積み重なっており、確かな信頼性と導入効果が証明されています。この「理論だけでなく実運用での検証済み」という事実は、上場企業レベルの内部統制を求める企業にとって、極めて強力な安心材料となります。
2-5 圧倒的なコストパフォーマンスと実務的な有用性
企業が自前で高度なセキュリティ体制を構築し、専任のエンジニアを配置する場合、月額60万円〜100万円以上の人件費に加え、育成期間や退職リスクも考慮しなければなりません。
一方、NSuiteは月額18万円(税抜)という明確な価格設定で、即時に専門チームによるサポートとアップデートを享受できます。さらに、監査対応工数の大幅削減やセキュリティインシデントの予防といった「隠れたコスト」の削減効果も含めると、その経済的合理性は極めて高いと言えるでしょう。

3 NSuiteが解決する6つのビジネスシーン
3-1 エンタープライズ×内部統制・ガバナンス
経理や法務といったWeb3非専門部門が関与する組織において、信頼性の高い厳格な承認フローを構築できます。外部監査に耐えうるガバナンスを実現し、トランザクション履歴や権限の可視化を求める企業に適しています。
3-2 トークン発行・IEO運営
IEO(InitialExchangeOffering)に向けたトークン発行や、発行後の安全な保管・運用に活用されます。秘密鍵の分散管理により、高度なセキュリティが求められる社内オペレーション体制の構築を支援します。
3-3 NFT発行・運用(B2C/B2B)
非エンジニアでも操作可能なUIにより、NFTの大量発行や管理を容易にします。デジタルアートやゲームアイテムだけでなく、実物資産(RWA)と連動した証明書NFTの発行・運用にも対応しています。
3-4 Web3開発基盤
スマートコントラクトのデプロイ(展開)を承認フローに統合し、複数企業やチーム間での共同管理を可能にします。開発環境と本番環境を分離して管理できる点も特徴です。
3-5 ノード運用・ステーキング・レンディング
オンライン完結のウォレット管理でありながら、物理的隔離に頼らない高度なセキュリティでバリデーター運用やステーキング、レンディング業務を支えます。
3-6 ゲーム・メタバース・マーケットプレイス
大量のトランザクションが発生する事業において、ユーザーへの配布(Airdrop)や売上資産の管理を、スピードと安全性を両立させながら実行できます。

4 まとめ:Web3ビジネスを「現実」のものにするために
現在、ステーブルコインを活用した企業間決済の高度化や、国債・社債・不動産など既存金融資産(RWA)のトークン化が世界的に加速しています。
デジタル資産が企業活動の一部となりつつある今、企業レベルでの適切な管理体制の構築はもはや「選択」ではなく「必須」です。NSuiteは、現場が求めるスピードと柔軟性、管理部門が求める統制と可視性を単一のプラットフォームで両立し、企業のWeb3活用を現実的なものにします。まずは小規模なユースケースからでも、企業向けウォレットの導入が最も確実な第一歩です。
TISは、長年社会基盤を支えてきたシステムインテグレーションの知見と、doublejump.tokyo株式会社との強固なパートナーシップをもとに、企業のガバナンス要件を満たしながらデジタル資産の安全な運用を可能にする「NSuite」を提供しています。独自の承認ワークフローとMPC技術により、ステーブルコイン、NFT、暗号資産といった多岐にわたるデジタル資産管理のセキュリティと利便性を両立し、上場企業レベルの内部統制にも対応可能です。Web3ビジネスの実装に向けた管理基盤の構築や、セキュアなウォレット運用に関するご相談は、ぜひTISまでお問い合わせください。
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※NSuiteは、doublejump.tokyo株式会社が開発・提供するプロダクトです。