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Bank Payとは? 特徴やメリット、事例についてご紹介

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Bank Payとは、デビットカード決済「J-Debit」を推進する日本電子決済機構が提供しているキャッシュレス決済サービスです。デビットカード決済の仕組みをそのままスマートフォンに取り込んだもので、支払ったお金を銀行口座から即時引き落とせるシンプルな仕組みになっています。

Bank Payは自社Payとしても導入しやすく、大手企業の導入事例が増えています。消費者にとっても企業にとっても多くのメリットを備えたBank Payが、今にわかに注目を集めています。

ここではBank Payの基本的な特徴や企業にとっての導入メリット、実際の導入事例などを紹介します。

●Bank Payとは何か

ここ数年、盛り上がりを見せているキャッシュレス決済は、すでに多くの店舗で対応しTVCMで見かけるシーンも増えました。経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで高めることを目標に掲げており、多くの企業がキャッシュレス決済サービスを提供しています。

キャッシュレス決済と一口にいっても、その種類はさまざまです。従来から使われてきたクレジットカードのほか、非接触型決済、QRコード(※1)決済などがあります。

なかでも、最近特に目にするのがQRコードタイプのスマホ決済で「○○Pay」と呼ばれていることが多いです。利用者側はスマートフォン1つで支払いが完了でき、加盟店側は新しいシステムや端末を設置する必要がなく、QRコードのステッカーを設置するたけで始めることが可能になります。一方で、数多くの企業がQRコード決済サービスに参入しており、「○○Pay」が乱立していることは皆さんもよくご存知でしょう。○○Payにはそれぞれ独自のメリットがあり、現状は自分自身のライフスタイルにあわせて使い分けている方が多いのではないでしょうか。

そうした中、2019年10月からスタートしたのがスマホ決済「Bank Pay」です。

関連記事:乱立するQRコード決済。仕組みを理解し迅速に導入する方法とは?

(※1)QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

●Bank Payの特徴・メリットとは

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では、Bank Payを利用するメリットについて利用者側と加盟店側それぞれから見ていきます。

利用者側のメリット

1.お財布不要

Bank Payを利用する際、利用者は専用のアプリをダウンロードして利用します。そのアプリの中でクーポン、購買履歴、会員証、ポイントなどを管理することが可能になります。支払いももちろんアプリを利用します。つまりスマートフォンさえ持っていればお財布の中にさまざまなカードを入れる必要もなく、買い物を楽しむことができるようになるのです。

2.使いすぎ防止

Bank Payはその名の通り、Bank、つまり銀行と強く紐付いているスマホ決済です。従来の「○○Pay」はその多くがクレジットカードを登録し、引き落としはクレジットカードの支払日にまとめて銀行口座から精算されます。
一方で、Bank Payはクレジットカードを登録する必要がありません。登録するのは銀行口座です。よって事前にアプリ内にチャージしておく必要がなく、Bank Payで支払いを行うと、登録した銀行口座から即座にお金が引き落とされます。月末にまとめて支払うわけではなく、使ったら使ったタイミングで口座からお金が引かれるのです。よってお金の管理がしやすく、使いすぎ防止が期待できます。

3.安心安全なセキュリティ

サービスを提供するのが日本電子決済機構という点もポイントです。日本電子決済機構はNTTデータという大手IT企業が会長を務め、ゆうちょ銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行といったメガバンクが副会長を務める団体です。現在では取扱金融機関が33行になり、利用可能な加盟店は13万か所以上に拡大しました。また、セキュリティ強化の一環として、本人確認(eKYC(※2))機能が追加され、より安全に利用することが可能になっています。

₍参照元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000063223.html₎
※2:electronic Know Your Customerの略で本人確認書類や顔写真による本人確認手続きをオンラインで完了させる仕組みのこと。

Bank Payは加盟店にとっても大きなメリットをもたらします。まずは、前述した“消費者にとってのメリット”の裏返しです。クレジットカードを持っていない、あるいは持たない層を顧客として取り込めるのは他のスマホ決済にない特徴です。

加盟店側

1.ターゲットが広い

Bank Payは銀行口座を保有している層がターゲットです。銀行口座は日本国民の90%以上が持っているため、多くの方が使う可能性があります。クレジットは審査が必要で持てない方もいる一方、Bank Payは指定の銀行口座を持っている人であればだれでも簡単に利用することが可能です。

2. 初期導入費用が不要

マルチ端末を設置してさまざまな決済に対応させることも可能ですが、Bank Payのみの利用であれば新しいシステムや端末を設置する必要がなく、QRコードのステッカーを設置するたけで始めることができます。

3. 加盟店側の負担軽減

Bank Payでは3営業日後の入金のため、キャッシュフローの点でも魅力的です。現金を取り扱う必要がないので、おつりの心配や閉店後のレジ締などの業務が大幅に軽減できます。

4. 自社Payとしてさまざまな施策が可能に

決済手段が乱立している現在ですが、自社Payを導入し、運用していくことでユーザーの属性、購買履歴などからマーケティング活動に役立てることも可能です。アプリをアップデートするだけで新しい機能を適時追加することができます。

●Bank Payの導入事例

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ここではBank Payをすでに導入している企業をいくつかご紹介します。

UNIQLO

UNIQLO Payはユニクロの店舗でしか使えず、ポイントなどが付きません。このUNIQLO Payを提供する最大の目的は「お会計をスムーズに行うことが目的」のようです。ユニクロではお会計が長蛇の列になっていることはよくある光景で、これをこのアプリを使うことでお会計の時間を40%短縮(※3)することが可能になります。

ユニクロではRFIDタグを使い、商品をセルフレジに置くと一瞬で合計金額が表示されます。筆者も体験したことがありますが、そのスピードに驚かされた記憶があります。ユニクロアプリで会員証をスキャンし、UNIQLO Payを使うことで支払いを素早く終わらせることができます。お客様をお待たせする最大の課題が解決できるというものです。
(※1)参照元:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/feature/uniqlo-pay/store/

無印良品

無印良品を展開する株式会社良品計画もBank Payと連携し2020年11月30日より「MUJI passport Pay」を提供しています。

既存の公式アプリMUJI passportに決済機能として追加され、会員向けのポイント(マイル)プログラムも付随されています。ユーザーは登録したクレジットカードで無印良品にて買い物をするとマイルが自動付与されます。お店にいくだけで10マイルもらえるチェックイン機能や購入履歴を見ることはもちろん、レビューの投稿をすることでマイルを獲得できます。知れば知るほど、使えば使うほど、マイルも貯まり無印良品ユーザーのリピート化や顧客ロイヤリティの向上が見込めます。

TIS:健康活動サポートアプリ「ASTARI(アスタリ)」

最後にTISが提供する健康活動サポートアプリ「ASTARI(アスタリ)」にもBank Payが採用されているので簡単にご紹介します。ASTARIは、健康志向を持つユーザーと、そのユーザーをカスタマーとして持つ小売流通メーカーを始めとしたASTARI参画企業をつなげるサービスです。自社データに課題を持つ企業に対し、ASTARIデータを活用した分析および施策・立案をサポートしています。

ASTARIアプリのメイン機能はユーザーの歩数を測り、その歩数に合わせてマイルを付与します。その貯まったマイルでさまざまなプレゼントと交換できる仕組みです。そこにBank Payの機能を付与し、現在では一部の店舗で決済機能を使うことが可能です。

ASTARI参画企業は、ユーザーの許諾を得たさまざまなデータを分析することができます。これにより、趣味嗜好から想像する新たなペルソナ像の想定や購買予測・離反予測を実現する個々のユーザー合わせたone to oneマーケティングが可能になり、最適なタイミングでの自社の商品・サービスの提供が可能になります。

●まとめ

Bank Payは、銀行口座さえあれば誰でも使える点が特徴で、加盟店にとってもターゲット層の広さやキャッシュフローなどさまざまなメリットがある決済方法といえます。

すでに加盟店は全国に数多くあり、今後も急速に拡大していくことが予想されます。また、自社アプリに組み込める仕組みを活用して独自のサービスを提供する企業も増えています。

今後ますます盛り上がっていくと思われるキャッシュレス決済。Bank Payはその中でも注目すべき決済サービスといえるでしょう。

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※このコラムは20201年12月現在の情報をもとに記載しています。各サービスに関する内容は各事業者にお問合せ下さい。

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