コラム Column

IoT決済が彩る近未来

IOTの世界

こんにちは、米木です。今まで私のコラムでは決済に関わる最新の情報をお伝えしてきましたが、今回はIoT決済について考えたいと思います。
IoTはInternet Of Thingsの略で、すべてのモノがネットワークに接続し、データ交換することで、世の中をイノベーティブに変えていこうという動きのことです。すでにさまざまな実験やサービスが提供されており、目新しいものではありません。しかし、まだ進化の途中であり、これからもアイデア次第で想像を超えた新しいサービスや仕組みが登場してくることが予想されます。特にIoT決済についてはまだまだ世の中を便利にする決済サービスが今後登場してくることでしょう。

そもそもIoT決済とは何か。また、現在提供されているIoT決済の事例と、これから世の中に出てくることが予想されるサービスなどについて説明していきます。

1.IoT決済とは

IoT決済とは、「インターネットに接続しているさまざまなデバイスが決済のトリガーになる」ということです。スマートフォン、スマートウォッチなど小さなものから、自動車、建設機械、農機具、家電、医療器具、工場の装置のような大きなものなど、あらゆるものが含まれます。
具体的かつ、よく使われる例ではスマート冷蔵庫があります。冷蔵庫が食材のストックを管理し、不足してきた食材を検知した際、ネットで自動注文・決済を行うというものです。
冷蔵庫というデバイスが発注タイミングを検知して自動で決済を行うことから、デバイスが決済のトリガーになるというわけです。
最近のスマートなデバイスは、当たり前のようにネットに接続しており、更にさまざまなセンサーが付いていることから、センサーでキャッチした情報をもとに、リアルタイムで決済を行うことが可能になってきているのです。

2.IoT決済の事例

ここで現在既に提供されているIoT決済の事例をご紹介します。

①Amazon Dash Replenishment

まさにIoT決済事例としてご紹介できるのが、Amazon Dash Replenishmentです。日々利用している消費財の残量を計測し、少なくなってきたらAmazonに自動注文するサービスです。例えば浄水器のBritaの場合、浄水器本体がwi-fi接続機能と浄水カートリッジの状態を把握するセンサー機能を有していて、Amazon Dash Replenishmentに登録しておくと浄水カートリッジの交換時期にAmazonへ自動注文します。似たようなものに、フィリップスの電動歯ブラシの交換ブラシや、日立のドラム式洗濯機は洗剤と柔軟剤を自動発注することができます。
スマートマット
そして更に、私自身も購入しましたが、スマートマットという商品があります。(左写真ご参照)これは重量を測ることができる電動計り機です。例えばAmazonで購入したお茶のペットボトル24本をスマートマットの上に置いておき、日々消費する中で量が減ってくると、自動的に再注文してくれるというものです。

  
 
 
 

②ミシュランの新しい課金モデル

トラックタイヤ

これはBtoBの事例になります。タイヤ販売のミシュランがトラック用タイヤで従量課金を採用しました。タイヤは販売初期に全額支払うのが普通ですが、ミシュランはそれをタイヤの走行距離に応じて課金する方式としたのです。トラックの走行距離データを取得して、1km走行する毎にXX円課金するという具合です。デバイスが自動的に発注するという事例ではありませんが、デバイス(トラック)が検出したデータを使って課金するということでは、やはりデバイスが決済のトリガーになっているということが言えます。

3.これからのIoT決済

これからのIoT決済の未来を考えると便利で快適でワクワクするような生活が想像できます。全てをお伝えする事はできませんが、ここでは3つだけ記載することにします。

■自動車

自動車は今後IoT決済の主役になることが期待できます。昔はカーナビをネットに接続しようとすると、携帯電話とBluetoothまたはケーブルで接続する必要がありました。しかし、現在では自動車とネット接続は当たり前の時代になりました。それによって自動車に搭載されたさまざまなセンサーやAIと連携することが容易になり、多くの情報がリアルタイムで受け取る事ができるようになります。自動車の燃料不足、バッテリー充電状況、お昼時には近くのレストランのリコメンド情報、オイル交換をしてくださいというメッセージ通知など、運転者はボタンまたは音声で応答することで、お店への誘導、レストランの予約またはテイクアウトの注文などを自動車のデバイスを通して対応可能になります。それに伴い、決済も自動で行われるようになるでしょう。

■スマートホーム

スマートホームになると、家庭生活にも変化が生じます。「1.IoT決済とは」ですでにご紹介したスマート冷蔵庫ですが、2000年にLGが発売したDigital DIOSという冷蔵庫が皮切りになり、大手メーカーからその後続々と発売されたようです。(*1)
現時点では、食材の賞味期限の検知、冷蔵庫の食材からレシピをリコメンドする程度にとどまっていますが、中には食材の減りを自動検知する機能を持っている冷蔵庫も登場しています。ここまでくればあとは発注するだけなので、注文・決済機能の搭載は時間の問題かもしれません。
冷蔵庫内に限らず家庭の中のさまざまな消費財はストックが少なくなると自動的に発注がなされ、買い忘れがなくなるかもしれません。屋上に設置された太陽光発電パネルで発電した余剰電気をその時に一番高く購入してくれる電力会社に購入してもらい、購入代金を自動で受け取ることができるようになるなどが考えられます。

(*1) https://forbesjapan.com/articles/detail/10984

■ヘルスケア

病院へ行かなくても、腕につけたスマートウォッチのメディカル情報が病院に転送され、遠隔で診察を受けることができるようになり、処方箋は自動的に薬局に送信され、薬剤師の説明をリモートで受けた後、ドローンが薬を自宅に配送します。これらの医療に関わる決済はすべて自動で行われることになるでしょう。

ここに例としてあげたIoT決済の予想は、あくまで今考えられる範囲のものでしかありません。アイデア次第ではもっとユニークで、イノベーティブなサービス、ビジネスモデルが生み出されることになると信じています。想像しただけでワクワクするような未来が頭に浮かんできませんか?
人の生活には必ず決済が伴います。IoT決済の活躍場面は今後ますます広がっていくのではないでしょうか。

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