コラム Column

デビット (仕組み・決済処理の流れ)‐決済博士の気になるコラム-第11回

決済博士バナー

デビット(仕組み 決済処理の流れ)

キャッシー
キャッシー

はーかせ!

決済博士
決済博士

わっ。急になんじゃ、年寄を驚かせないでくれよ


キャッシー
キャッシー

ちょっと聞きたい事があって

決済博士
決済博士

な、なんじゃ?キャッシーの聞きたい事はいつも…

キャッシー
キャッシー

何よぉ。その言い方! 今日はちゃんとしたこと。この前クレジットの仕組みをYou Tube向けに録画していたと思うんだけど、他の仕組みについても知りたいなぁと思って。博士のYou Tube調べてみたんだけど新しいものアップされなかったんだよね。次っていつ?何をUPする予定?例えばデビットの仕組みとか、予定はある?

決済博士
決済博士


キャッシー
キャッシー

博士?

決済博士
決済博士

はて、キャッシー、実はどこかでわしの事見ておったな。ちょうど今、動画を取り終わって編集していた所だったよ。し・か・も、デビットの仕組みをな

キャッシー
キャッシー

すごい!偶然!ナイスタイミング! じゃあ、さっそく私がチェックしてあげる

決済博士
決済博士

チェックって。。。仕組みを知らないくせに。。何を…

キャッシー
キャッシー

何か言った?

決済博士
決済博士

いや、何も…

キャッシー
キャッシー

じゃあ再生するね

(再生ボタンを押す)

決済博士
決済博士

前回の動画ではクレジットの仕組みについてお伝えした(第7回_クレジットの仕組み(仕組み 決済処理の流れ))ので、今回はデビット決済の基本的な仕組みについて、以前紹介したクレジット決済と比較しながら説明していこうと思う。
まずはクレジットの仕組みと同様に、デビットについても消費者の動きを中心に説明を行っていく。

決済博士
決済博士

デビットカードは国際ブランドのついていない日本国内専用のJ-Debitというサービスもあるが、最近キャッシュレス決済のひとつとして注目されている国際ブランドデビットがある。今回は最初にこの国際ブランドデビットの処理の流れを説明しようと思う。
ただし、デビットの場合は国際ブランド(JCB、VISA、Mastercard、AMEX等)のマークがついたデビットカードに着目して説明するため、この1~4の通り、最初に国際ブランドの働きについて説明を行い、そのあとにデビット決済処理の流れをお話しする。
1.国際ブランドの働きについて
2.デビットカードの申込みからカードが届くまで
3.商品購入時のデビット決済
4.国際ブランドにおける精算

決済博士
決済博士

ちなみに、クレジットとは異なり馴染みの薄いデビットカードの定義についておさらいしよう。
JCB公式ページには「デビットカードとは、カードでの支払いと同時にご自身の銀行口座から引き落としがされる仕組みのカードです。銀行口座から現金を引き出さずに支払いができる利便性や、銀行口座の残高以上にお金を使いすぎる心配がない安心感などから人気が出てきています。」と記載されている。 

※JCB公式ページより引用 (https://www.jcb.jp/products/jcbdebit/article1/)

決済博士
決済博士

クレジットはカードでの支払い金額は、後日消費者の口座から引き落とされるが、デビットカードは、カード支払と同時に消費者の口座から引き落としが行われる。
また、クレジットカードの発行はクレジットカード会社が行うと前回説明したが、それに対してデビットカードは銀行の口座保有者に対して銀行が発行するカードであることをしっかり押さえておく必要があるので忘れないように

1. 国際ブランドの働きについて

決済博士
決済博士

カード決済の世界において、国際ブランドと聞いて馴染みがあるのは、JCB、VISA、Mastercard、アメリカンエクスプレス(AMEX)、ダイナースクラブなどだと思うが、ここでは決済処理の流れを理解するために、知っておいて欲しい国際ブランドの働きについて説明する。
国際ブランドのマークはデビットカードだけでなく、クレジットカードやプリペイドカードにもついているので、デビットカードの専売特許ではない。
国際ブランド、例えばVISAの場合、銀行が口座保有者に発行するデビットカードにはVISAのマークがつく。またこのカードはVISAのマークがレジまわりに表示されている店舗(VISA加盟店)で利用できることを意味しいている。このルールはVISA以外の国際ブランドでも全く同じ

キャッシー
キャッシー

マークがあれば使えるってことは知ってる知ってる

国際ブランドの動き

決済博士
決済博士

上の図で順を追って説明すると国際ブランドであるVISAは①の通りカード会社や銀行とライセンス契約を締結している。次は②の部分で、VISAとライセンス契約を結んだカード会社は、自社の契約加盟店にVISAのマークを貼ることができるようになる。
また更に、③の部分ではVISAと契約を結んだ銀行、カード会社は、発行するカードにVISAのマークを付ける。この仕組みがあるため、④でVISAカードを持った消費者は世界中のVISA加盟店で決済を行うことができるようになる。
このスキームで加盟店契約を行うカード会社のことをアクワイアラー(加盟店管理会社)、カードを発行する銀行、カード会社をイシュア(カード発行会社)というので覚えておくように。
国際ブランドは世界中に決済のための通信ネットワークを張り巡らせており、リアルタイム決済を実現するグローバルネットワーク事業者としての役割を担っている。また、イシュアは、消費者から代金を回収し、アクワイアラーに支払う必要があり、そのアクワイアラーは加盟店に代金を支払っている仕組みだ。イシュアとアクワイアラーの精算の仲立ちをするのも国際ブランドの重要な働きのひとつだといえるぞ

キャッシー
キャッシー

VISAとかMasterCardとか…単に「カード会社」だと思っていたけど、実は「ネットワークを提供している会社」なのね!なんだか色々な所で細かいやり取りが実際は発生しているのね

2.デビットカードの申し込みからカードが届くまで

決済博士
決済博士

ここからはデビットカード決済を中心に説明しよう。最初に消費者によるデビットカードの申込みから、カードが発券され、消費者の手元にとどくまでをこの図にそって説明するぞ。実は大きな流れは、クレジットカードと変わらないのだが、ひとつひとつ見ていくと、クレジットとの違いが見えてくるんだ

デビットカードの申込みからカード発行まで

決済博士
決済博士

消費者がデビットカードを入手するためには、デビットカードを発行している銀行の普通口座を保有している必要がある。もし消費者が銀行口座を保有していない場合、まず銀行口座を作る必要がある。この後の説明では、既に銀行口座を保有している消費者がデビットカードを申し込むところから始めるぞ

決済博士
決済博士

①カードの申込み
消費者はデビットカードを発行している銀行のWebサイトから必要事項を入力して、デビットカードの申込みを行う。
②本人確認
デビットカードの申込みを行うと、銀行の担当者は、申込み者が間違いなく本人かどうかなどを確認する。クレジットカードの場合は入会審査を行うと前回説明したが、デビットカードはクレジットと違い、消費者自身の口座に入金している金額以上利用することはできない。そのため、クレジットカード会社が加盟店に立て替え払いをし、後で消費者から回収できなくなるリスクが銀行のデビットカードでは原則発生しないので審査は必要ない。その代わりに本人の身元はしっかり確認するぞ。
③カード発券データ作成
銀行の業務担当者による本人確認が終わると、デビットカードシステムに申込み者を登録する。その後、デビットカードシステムからカードを発券するためのデータが作成され、銀行から印刷会社に送信される。
④カード発券
印刷会社は、銀行から受信したカード発券データをもとに、デビットカードを発券する。ここでは、プラスチックカードの券面の印刷から、磁気ストライプやICチップへのデータの書込みまで全てを行っている。
⑤カード送付
発券されたカードは印刷会社または、銀行によって台紙に貼り付けられ、各種印刷物と一緒に封筒に入れられて簡易書留や本人限定受取郵便等で消費者に送付される流れになっている

キャッシー
キャッシー

カードが手元に届くまでに色々な工程を経ているのね

3.商品購入時のデビット決済

決済博士
決済博士

さて、デビットカードがようやく消費者の元に届くまでを説明した。今度は実際手元に届いたデビットカードを使って、消費者が自身のカードと同じ国際ブランドマークのついた加盟店で商品の購入をしてから、銀行の口座から購買金額が即時に引き落とされる流れを説明していくぞ

商品購入時のデビット決済図

決済博士
決済博士

①商品購入
消費者がデビットカードで商品を購入するときは、カードについている国際ブランドのマークと同じマークが店頭に表示されている加盟店で利用できる。今では主流の国際ブランドカード(JCB,VISA,Masterなど)であればほとんどのお店で使えるようになってきた。加盟店は街中のお店以外に、交通事業者、旅行事業者などさまざまなサービス事業者で利用することもできる。ただし、気を付けなくてはいけないことはクレジットと違い、業種によってデビットカードが使えない場合があるという事

キャッシー
キャッシー

国際ブランドのマークが表示されてても、クレジットカードは使えるのにデビットカードだと使えない時があるってこと?初めて知った!

決済博士
決済博士

例えば車のガソリンスタンドなどは典型的な例だ。理由としてデビットは決済と同時に口座から引き落とされることに関係している。ガソリンの場合、給油後にならないと何リッター給油したかわからない。銀行口座の残高よりも給油後に確定した金額のほうが多いと引き落とせなくなってしまう事が起こりうる。だからガソリンスタンドの場合、デビットカードの利用が拒否されることが多くなっている。ドリンクの自動販売機でデビットが使えないことも似たような理由だな。ドリンクは安いので、後払いの仕組みとなっており、決済と同時にオーソリを行わないので、即座に口座引き落としを行うことができないというのが理由だ!

キャッシー
キャッシー

なるほどぉ~。後払いを前提としている場所では使えない場合があるのね~。面白い

決済博士
決済博士

国際ブランドのデビットをお店で提示すると、店舗スタッフより、「クレジットですね」とか「何回払いですか」と聞かれることがあるが店舗ではカードを見ただけでは、クレジットとデビットの違いはほとんどの場合わからない。使う際は、国際ブランドカードであることと、1回払いであることを伝えれば問題なく利用できる。

決済博士
決済博士

②オーソリ/売上、③口座引き落とし
加盟店の決済端末は、読み取ったデビットカードのアクワイアラー(加盟店管理)会社を判断して、指定された送信先にオーソリを送信している。オーソリはオーソリゼーションの略で、今回の取引金額を消費者の銀行口座から引き落とす処理を行うんだ。
そのルートはまず、加盟店の決済端末からアクワイアラーに行くと、アクワイアラーはそれを国際ブランドに送信する。すると国際ブランドは、そのデビットカードのイシュア銀行を判断して、イシュア銀行に利用を示す電文を送信。イシュア銀行は、カードの本人口座より取引金額を引き落とす。その後取引承認を応答することにより、加盟店にて決済完了ということで、商品を消費者に渡すことができるんだ。
また、オーソリだけで取引が確定しているわけではなく、あとで商品が返品されることもあるし、何らかの理由で金額が変わることもある。加盟店は最終的な取引データの明細(売上データ)を、後日アクワイアラーに送信し、アクワイアラーから国際ブランド経由でイシュア銀行に送信さる。イシュアはオーソリの取引金額と売上データの金額を比較し、差異があった場合は、その差額を消費者の口座に反映ししている。デビットカードを利用すると、時々口座で差額調整が行われるのはこのため

キャッシー
キャッシー

オーソリの取引金額と売上データの金額を全部比較するって・・・・。凄い大変な作業ね

4.国際ブランドスキームにおける精算

決済博士
決済博士

すでに説明したことだが、消費者が加盟店でデビットカード決済を行った後、加盟店から売上データがアクワイアラー、国際ブランドを経由し、イシュア銀行に渡ることで、取引が確定する。その後の精算について、図で説明するぞ


国際ブランドスキームにおける清算図
決済博士
決済博士

①の部分ではデビットカード決済の場合は決済と同時に消費者の口座から購買代金が引き落とされる。すると②でイシュア銀行は、消費者の口座から引き落とした購買代金を国際ブランドに支払う。次に③で国際ブランドはイシュア銀行から支払われた購買代金をアクワイアラーに渡す。そして④でアクワイアラーは最終的に加盟店に購買代金を支払う。このようにイシュア銀行、国際ブランド、アクワイアラーはそれぞれ契約上規定された手数料率で計算された手数料を精算と同時に受け取ることができる仕組みとなっているんだ

決済博士
決済博士

以上がデビットカードの仕組み、決済の流れとなっている。
最後までご視聴頂きありがとう。
この動画についてご質問、ご意見がある方は是非コメント欄まで。
そして動画を見てイイネと思った方は是非イイネボダンも忘れずに。
それでは次回の動画まで・・・ちゃお!

キャッシー
キャッシー

・・・ちゃおって・・・・・もう少し表現方法変えた方が良いと思うけど

決済博士
決済博士

なんじゃい。いつもそんな所ばっかり指摘しおって。肝心な動画についてはどうだったんじゃ?少しはデビットの仕組みが理解できたんじゃろうな

キャッシー
キャッシー

うん。とっても分かりやすかったと思うよ。やっぱりデビットはデビットで良い所もあるよね。リアルタイムで自分が使った金額が銀行から引き落とされるって、ある意味使いすぎないし、安心かもね。ところで、博士のYou Tube登録人数って今どのくらいになった?1万人は目指すって言ってたと思うけど。。。どれどれ…

(人数を調べるキャッシー)

キャッシー
キャッシー

・・・・・え!?

登場人物紹介

決済博士

与那嶺 淳(あだ名:決済博士)

大学では長年にわたり商学部の教授を務め、
昨今話題のDX技術や新しい決済の仕組みをずいぶん早くから講義の中で解説しており
学生には”決済博士”として慕われていたが昨年退職。
悠々自適な生活を送りつつも隣に住むキャッシーを気にかけている。

 

キャッシー

木山 祥子 (あだ名:キャッシー )

サークルやバイトに毎日忙しい元気印の大学生。
レジのアルバイトでいろいろな支払い方法があることを知り、
最近お金や決済に興味を持ち始めた。

 

 

※この記事が参考になった!面白かった! と思った方は是非「シェア」ボタンを押してください。