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複数のQRコード決済サービスを一括導入する方法

QRコード決済の利用が拡大する中、顧客ニーズへの対応や集客向上のために、複数のQRコード決済に対応することが重要になってきています。しかし、複数のQRコード決済サービスを導入するとなると、環境整備や運用の負担が増えるのではないかと不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、QRコード決済を導入する際にチェックすべきポイント、複数のQRコード決済を一括で導入するメリット・デメリット、おすすめのマルチ決済サービスについて解説します。自社に適したQRコード決済を導入する際の参考にしてください。

1 QRコード決済サービス導入の際にチェックするべきポイント

複数のQRコード決済サービスを導入する際は、自社に最適なサービスを選ぶことが大切です。サービスを選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 導入コストとランニングコスト
  • 利用者数とユーザー層
  • 入金サイクル
  • サポート体制
  • セキュリティ対策
  • キャンペーンの実施状況
  • 各ポイントを詳しく解説します。

    1-1 コスト

    QRコード決済サービスの導入には、初期費用と手数料が発生します。コストの内訳をリサーチした上で、予算を組むと良いでしょう。主なコストの内訳は以下の通りです。

    項目 費用目安 説明
    初期費用 無料~数万円程度 導入方法による差あり。
    ユーザースキャン方式は専用端末や工事不要で、初期費用が無料の場合もあり、コストを抑えられる。
    ストアスキャン方式では端末やPOS連動の費用が発生する傾向がある。
    決済手数料 2%~3% 売上金額の数%が手数料として発生。
    利益に直結するため、安価な手数料の事業者選びが重要。
    振込手数料 0円~500円程度/回 売上の振込に手数料がかかる場合がある。
    事業者によって無料になるケースもある。(例:PayPayではPayPay銀行、楽天ペイでは楽天銀行への振込が無料)
    通信費 4,000円~/月 プロバイダに対するWi-Fi回線や光回線の利用料が発生(他の業務との兼用)小規模事業者や店舗は月数千円程度。
    大規模事業者や法人専用回線利用では1万円~数万円以上。

    1-2 市場シェアとユーザー層

    市場シェアの高いQRコード決済サービスを導入することで、顧客との接点を増やし、集客効果を高めることができます。
    MMD研究所が2024年3月に実施した調査によると、スマートフォンを所有している22,797人を対象に現在利用しているQRコード決済の利用率は、以下の通りです(複数回答可)。

  • 1位:PayPay(49.5%)
  • 2位:楽天ペイ(25.9%)
  • 3位:d払い(21.2%)
  • 4位:au PAY(16.2%)
  • 5位:ファミペイ(7.9%)
  • 6位:メルペイ(7.6%)
  • 7位:LINE Pay(6.5%)
  • 8位:AEON Pay(3.5%)
  • 9位:Amazon Pay(2.6%)
  • 10位:ゆうちょ Pay(1.3%)
  • 出典:MMD研究所「QRコード決済のシェアは「PayPay」、総合満足度は「楽天ペイ」QRコード決済メイン利用は上位4サービスで93.2%を占める」

    複数のQRコード決済サービスを導入する際は、シェアの高いサービスから優先的に選ぶと効果的です。
    しかし、自社の顧客層に偏りがある場合、導入するQRコード決済サービスがその顧客層に適しているかを慎重に見極める必要があります。例えば、中国人観光客が多いのであればAlipayやWeChat Payがおすすめです。また、20~30代の女性客が多い場合は、メルペイが効果的とされています。また、海外展開している場合は、対象地域でシェアの高いQRコード決済を選ぶことが重要です。
    いずれにしても、自社の顧客層とQRコード決済サービスのユーザー層がマッチすると、集客や売上の成果につながりやすくなるでしょう。

    1-3 入金サイクル

    QRコード決済では、売上金が即座に入金されるわけではなく、事業者ごとに異なる入金サイクルが存在します。一般的な入金サイクルは、以下の通りです。

  • 月1回の場合:当月末締め、翌月末入金
  • 月2回の場合:15日締めで当月末入金、月末締めで翌月15日入金
  • 自社の仕入れや支払いのタイミングに合った入金サイクルを提供するQRコード決済サービスを選ぶことで、キャッシュフローが円滑になります。
    資金を早めに確保する必要がある場合は、早期入金サービスの有無とその利用にかかるコストも確認しておくと良いでしょう。例えば、PayPayの「早期振込サービス(都度)」を利用すると、振込依頼を行った翌営業日に入金されます。都度振込利用料は0.38%で、振込手数料はPayPay銀行の場合20円、その他の銀行の場合200円です(2024年11月時点)。同様のサービスは楽天ペイやau PAYなどでも提供されています。
    早期振込サービスを活用することで、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの短縮につながり、資金繰りが安定するでしょう。

    1-4 サポート体制

    トラブルが発生した際に備え、サポート体制が充実しているサービスを選びましょう。24時間365日のサポート窓口があれば、決済エラーやツールの不具合にも迅速に対処でき、安心して利用できます。

    1-5 セキュリティ対策

    QRコード決済は、情報が暗号化されて送信されるため、高いセキュリティが保たれています。しかし、特にユーザースキャン方式では注意が必要です。紙に印刷した静的QRコードはすり替えのリスクがあるため、動的QRコードの導入がおすすめです。
    動的QRコードは、決済ごとに生成され、トラブル防止に効果的です。

    1-6 キャンペーンの実施状況

    キャンペーンを積極的に実施しているQRコード決済サービスを選ぶことで、集客効果が期待できます。キャンペーンの内容は、ポイントバックや割引サービスなどが一般的です。こうしたキャンペーンが実施されると、加盟店は販促効果の恩恵を受けられます。
    キャンペーンをきっかけに来店した顧客がリピーターになる効果も期待できます。例えば、LINEヤフーのアンケート調査(※)によると、「PayPayお買い得市」のキャンペーンによる対象店舗でのリピート効果が確認されています。
    67.6%の利用者が「PayPayお買い得市が終わった後も、利用した対象店で買い物しようと思った」と回答。48.7%の利用者が「PayPayお買い得市に参加する前より対象店を利用する頻度が増えた」と回答し、48.7%の利用者が「PayPayお買い得市に参加する前より対象店で買い物する金額が増えた」と回答しました。
    これらのデータから、キャンペーンを積極的に実施しているQRコード決済サービスを導入することで、集客効果や売上増加の期待ができます。しかし、QRコード決済の普及した現在では、初期の頃に比べてキャンペーンの頻度や規模が減少傾向にあります。そのため、チェックポイントとしての重要度は以前よりもやや下がっています。

    出典:LINEヤフー for Business「終了後も利用店でのユーザー購入意向が7割! 「PayPayお買い得市」の効果」

    2 複数のQRコード決済を一括で導入するメリット・デメリット

    複数のQRコード決済を一括で導入する場合、個別に契約するよりも、「マルチ決済サービス」を利用するのが効率的です。
    マルチ決済サービスとは、決済代行会社が提供する、複数のキャッシュレス決済手段を一括で導入・管理できる仕組みです。
    このサービスを利用すると、1台のマルチ決済端末で、クレジットカード、QRコード決済、電子マネーなど、さまざまな支払い方法に対応できます。
    具体的なサービス紹介に入る前に、まずはマルチ決済サービスのメリット・デメリットを解説します。

    2-1 メリット

    マルチ決済サービスを利用するメリットは以下の通りです。

  • 業務効率化:複数の決済手段を一元管理でき、管理業務が簡単になる
  • 顧客ニーズへの対応:幅広い決済手段を提供することで、顧客の利便性を高められる
  • 入金管理の一元化:売上金が一括で入金されるため、会計処理が簡単になる
  • 省スペース化:決済端末が1台になることで、レジ周りがすっきりする
  • 導入コストの削減:複数の専用端末を購入する必要がなく、初期費用を節約できる
  • マルチ決済サービスは、幅広い顧客ニーズに対応したい事業者や、効率的なレジ運用を目指す店舗に適しています。

    2-2 デメリット

    便利なマルチ決済サービスですが、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

  • 端末代の発生:専用の決済端末が必要な場合、初期費用が高くなることがある
  • 追加手数料:決済代行会社を利用することで、サービスに応じた手数料が発生する
  • 技術的なトラブル:システム不具合が発生すると、すべての決済が停止し、復旧に時間がかかるリスクがある
  • 端末代や手数料は、サービスによって幅があります。事業規模や業態に応じて、自社に合ったマルチ決済サービスを選ぶと良いでしょう。

    3 おすすめのマルチ決済サービス5選

    ここでは、おすすめのマルチ決済サービスを5社紹介します。それぞれ対応するQRコード決済サービスや特徴が異なるため、自社に合ったサービス選びにお役立てください。

    3-1 Airペイ QR

    Airペイ QRは、リクルートが提供するマルチ決済サービスです。Airペイ QRはコストを抑えながら、主要なQRコード決済を一括で導入できる点が魅力です。
    初期費用や月額固定費は一切かかりません。iPadやiPhoneがあれば、アプリをインストールして決済端末として利用可能です。さらに、Airペイ QRに対応したレシートプリンターを用意すれば、レシート印刷をスムーズに行えます。
    そのためAirペイ QRは、飲食店や小売店、イベント会場など、幅広い業種で利用されています。ただし、Android端末を利用している場合、iOS端末を新たに用意する必要がある点に注意が必要です。

    初期費用 無料
    月額利用料 無料
    決済手数料 Coin+:1.08%(税込)、Coin+以外3.24%(税込)
    入金サイクル お問い合わせ
    対応しているQRコード決済サービス ・【日本】d払い、PayPay、au PAY、楽天ペイ、Jcoin、Coin+
    ・【中国】Alipay、WeChat Pay(微信支付)、UnionPay(銀聯)
    ・【他アジア】Smart Code

    3-2 CloudPay

    CloudPayは、株式会社デジタルガレージが提供しているマルチ決済サービスです。クレジットカード決済や電子マネー決済は必要なく、主要なQRコード決済を一括で導入したい事業者に向いています。
    専用端末が不要で、ユーザースキャン方式を採用することで初期コストを抑えられます。初期費用・月額利用料が無料である点も魅力です。
    注意しておきたいのは、利用シェアトップのPayPayおよびPayPayが連携しているAlipayに非対応である点です。そのため、中国からの観光客へ対応が必要な場合は、CloudPayではなく、Alipayやクレジットカード決済にも対応している「CloudPay Neo」など他のサービスを検討する必要があります。

    初期費用 無料
    月額利用料 無料
    決済手数料 3.24%(税込)
    入金サイクル 15日締め末日払いと、末日締め15日払いの月2回
    対応しているQRコード決済サービス ・【日本】d払い、LINE Pay、au PAY、メルペイ、Jcoin、楽天ペイ
    ・【中国】Alipay、WeChat Pay(微信支付)
    ・【他アジア】なし

    3-3 TakeMe Pay

    TakeMe Pay スタンドは、TakeMe株式会社が提供しているマルチ決済サービスです。QRコード決済やクレジットカード決済など、世界中の100種類以上の決済ブランドを一括導入できる点が特徴です。
    多くの決済手段に対応する場合、売上管理が複雑になりがちですが、TakeMe Payを導入すると専用の一元管理ツールを利用できるようになります。これにより、決済サービスごとの精算業務が不要となり効率的です。また、管理ツールはクラウドベースで提供されるため、複数の事業所を一元管理することも可能です。
    ただし、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードによるタッチ決済には対応していません。これらを併用する場合は、別途準備が必要です。したがって、TakeMe Payは高級レストランやアパレルショップ、家具店など、クレジットカードやQRコード決済が主流な店舗や、観光客が多く訪れる店舗などに適したサービスといえます。

    初期費用 無料
    月額利用料 無料
    決済手数料 3.3%~(要相談の場合あり)
    入金サイクル 月末締めの翌月末払い
    ※入金日が銀行休業日の場合、前営業日に振込
    対応しているQRコード決済サービス ・【日本】d払い、LINE Pay、au PAY、メルペイ、Jcoin、楽天ペイ、d払い
    ・【中国】Alipay、WeChat Pay(微信支付)
    ・【他アジア】GrobPay,GCash,FPX,BNIなど
    ※詳細はCloudPayのホームページをご確認ください。

    3-4 STORES(ストアーズ)決済(旧Coiney)

    STORES決済は、QRコード決済、クレジットカード決済、電子マネー決済のすべてに対応したマルチ決済サービスです。主要な決済手段を幅広くカバーしているため、さまざまな顧客ニーズに対応したい事業者に適しています。
    さらにSTORES決済は、実店舗でのレジ決済だけでなく、ネットショップでの決済を一元的に管理できるツールを提供しています。そのため、オムニチャネルでの接点拡大を目指す店舗にも最適です。
    2024年12月からは、中小企業向けにレジ・決済端末が無料で導入でき、クレジットカード決済が1.98%~となるプランが開始される予定です。コストを抑えながらマルチ決済に対応したい事業者にとって、STORES決済は魅力的な選択肢となるでしょう。

    初期費用 無料
    月額利用料 ・中小支援プラン:3,300円(税込)
    ・その他のプラン:無料
    決済手数料 3.24%
    入金サイクル 設定により、入金サイクルは異なります。
    対応しているQRコード決済サービス ・【日本】PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、メルペイ、ファミペイ、銀行Pay
    ・【中国】WeChat Pay(微信支付)
    ・【他アジア】Smart Code

    3-5 加盟店向けQRコード決済ゲートウェイサービス

    TIS株式会社は日本をはじめ中国やアジアなど、グローバルなQRコード決済サービスに対応した「加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」を提供します。
    このサービスは、主に大規模な商業施設や多店舗展開を行う事業者向けに、運用面や費用面を考慮した最適なソリューションを提供しています。加盟店契約先や決済端末は、事業者のニーズに応じて柔軟に選択できます。
    また、複合商業施設のテナント管理業務を効率化できるのも、TISの強みです。複合商業施設では、多くのテナントが存在するため、QRコード決済の導入に際して契約の同意や技術的な課題、コスト調整などの手間が生じます。TISのPAYCIERGEでは、独自機能によってテナントごとの審査業務を簡略化し、売上 情報の管理をシンプルにするソリューションを提供しています。

    初期費用 0円~
    ※詳しくはお問合せください
    月額利用料 無料
    決済手数料 お問い合わせ※加盟店契約先により異なる
    入金サイクル お問い合わせ※加盟店契約先により異なる
    対応しているQRコード決済サービス ・【日本】PayPay、LINE Pay、au PAY、楽天ペイ、メルペイ、Jcoin、Smart Code、銀行Pay、Alipay、AEON Pay
    ・【中国】Alipay、WeChat Pay(微信支付)、UnionPay(銀聯)
    ・【他アジア】Grab Pay、TrueMoney

    4 マルチ決済サービスの注意点

    マルチ決済サービスを導入するには、専用の決済端末を購入またはリースするための初期費用が発生することがあります。これに加え、決済代行会社に支払う決済手数料がかかるほか、サービスによっては月額手数料が必要となるケースもあります。
    そのため、場合によっては個別に契約した方がコストを抑えられる可能性があります。まずは1~2種類のQRコード決済サービスを導入し、QRコード決済が自店舗の運用に適しているか確認した上で、マルチ決済サービスの導入検討する方法もおすすめです。
    また、一部のサービスには最低利用期間が設けられており、途中解約すると料金が発生する場合があります。契約前に、月額費用や解約条件を十分に確認しておくことが重要です。

    5 まとめ

    複数のQRコード決済を導入する際には、自社の客層や目的に合ったサービスを選ぶことが重要です。また、数多くのQRコード決済サービスを一括導入する際は、マルチ決済サービスを利用することで、幅広い顧客ニーズに対応しながら、決済業務や売上管理の効率化が期待できます。
    本記事で紹介したTISの「加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」は、特に大規模な商業施設や多店舗展開の事業者の方におすすめです。主要な決済手段を一括で導入できるため、複雑な運用を簡素化しコスト削減にもつながります。
    複数のQRコード決済サービスを一括導入したい際には、ぜひご相談ください。

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