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欧州の決済市場の徹底解剖

欧州ではデビットカードやクレジットカードが早くから普及していることから、「キャッシュレス先進国」のイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。しかし一言に欧州といっても、実際には国ごとに違いがあります。生活の中で国境をまたぐ機会が多く、単一通貨「ユーロ」が存在するといった特徴を踏まえながら、キャッシュレス事情を紹介します。

●イギリス

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EUから離脱する「ブレグジット」が話題のイギリスでは、2017年にキャッシュレス(デビットカード)の取扱高が現金を上回りました。欧州内の多くの国と同様、銀行口座にひも付いたデビットカードが普及しており、加盟店手数料の低さも相まって、急速にキャッシュレス化が進んでいます。

 

 

 

ロンドンでは交通カードとして「Oyster(オイスター) card」が導入されており、NFC Type-A/Bを利用した非接触決済も利用できます。

※ロンドン地下鉄の自動改札。黄色いリーダーにOyster cardやスマートフォンをかざして通過

そのため、iPhoneのApple Payに日本で発行されたMastercardなどのクレジットカードを登録しておけば、切符を買うことなく地下鉄やロンドンの代名詞の赤い2階建てのバスに乗ることができます。

交通機関以外にも、スーパーマーケットやドラッグストア、レストランやパブ、小規模な商店まで、NFC決済は広く普及しています。首都ロンドンだけでなく、マンチェスターやエディンバラといった地方都市でもキャッシュレス化が進んでいます。

 

通貨は、イギリスではユーロではなくポンドが使われており、さらに、スコットランドや北アイルランドでは、独自のポンド紙幣が流通しています。この独自の紙幣に関してはイギリス国外に持ち出しても基本的には両替ができない為、旅行に行った際の決済はなるべく現地通貨ではなくキャッシュレスで行う事をお勧めします。

※スコットランドの銀行が発行したポンド紙幣。イギリス国外では通用しない

その他、端末をいくつかご紹介します。

1.磁気スワイプ、ICチップ、NFCの三面待ちに対応しており、欧州各地でよく見かける決済端末です。

2.TESCOのセルフレジ。イギリスの主要なスーパーマーケットはNFC決済に対応しています。

 

 

3.マンチェスターのライトレール(都市旅客鉄道)。改札はなく、NFC決済で乗車前と乗車後にタッチをして精算します。

●ドイツ

経済大国として知られるドイツでは、若者を中心にモバイルバンクやデビットカードに普及の兆しがあるものの、現金決済には匿名性や自由がある事が評価されており、日本よりもキャッシュレス比率が低くなっています。

現金決済の多いドイツには多数のATMが。老朽化したベルリン・テーゲル空港にも真新しい端末が設置されています。

ドイツ国内でも、主要なスーパーマーケットや商店、レストランや有料トイレにおいて、キャッシュレス対応が進んでいます。しかしよく観察してみると、地元の人は現金払いが多く、カードでの払いをするのは旅行者ばかり、という場面も珍しくありません。

 

ドイツのドラッグストア「ROSSMANN」のレジ。キャッシュレスに対応しているが、現金で支払う人も多い

欧州各地に普及するマクドナルドのセルフオーダー端末。現金ユーザ―が多いドイツでも現金は使えない

 

 

 

 

 

 

 

ドイツでもデビットカードの普及は進んでおり、切符の券売機は「Maestro」やドイツの「Girocard」に対応しています。ただし空港や中央駅以外では、手数料の高さからか、「クレジットカード不可」としている券売機を見かけます。

ハノーバーの地下鉄券売機。現金とGirocardに対応しているが、クレジットカードは使えない

ドイツの鉄道には改札がなく、交通ICカードもありません。各都市では紙の切符が使われていますが、ベルリンではスマホアプリで市内交通のチケットを買えるようになりました。車内検札の際にはアプリのQRコードを見せる仕組みになっています。