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注目のマイナポイント。店舗へのメリットは?

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2020年9月から国として取り組んでいる「マイナポイント」が始まって既に3ヵ月が経っています。

マイナポイントとはマイナンバーカードを使って手続き等を行い、その後自分が選んだキャッシュレス決済サービスでチャージや決済をすることで最大5,000円分のポイントを獲得できるポイント還元制度です。消費者のメリットはわかりやすいのですが、店舗にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。また、マイナポイント事業の対象店舗になるためには何をすればいいのでしょうか。

ここではマイナポイントの基本的な知識をご紹介します。

●マイナポイント事業とは? 施策の背景と目的

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マイナポイント事業とは冒頭でも記載している通り、国が推し進めるポイント還元事業です。2020年9月からスタートしており、2021年3月末で終了予定となっています。マイナポイントを付与するキャッシュレス決済を選んで申請すると、そのキャッシュレス決済でチャージや買い物した際にマイナポイントが還元される仕組みで、申請の際にはマイナンバーカードが必要になります。

ポイント還元率は決済金額の25%と非常に高く、ポイントの上限金額は1人5,000円。つまり、期間内に20,000円分の買い物をすると上限までポイントがもらえる仕組みになっています。

国がマイナポイント事業を行う目的は主に3つです。1つ目は、マイナンバーカードの普及促進です。2015年から始まったマイナンバー制度ですが、思うように普及が進んでいませんそこで、申請にマイナンバーカードが必要なポイント還元制度を実施することで、マイナンバーカードの取得を促そうというわけです。 (※参照元:普及率2020年7月時点で17.5%。2020年10月時で20%と約2.5%増加。総務省ホームページ)

2つ目はキャッシュレス決済の普及促進です。現在、国はキャッシュレス決済の普及を目指しており、2019年10月からキャッシュレス・ポイント還元事業を行ってきました。2020年6月11日時点でのキャッシュレス・ポイント還元事業の加盟店登録数は約115万店となりました。 (参照元:経済産業省「ポイント還元事業における登録加盟店の地域分布及び店舗の種類別の登録状況と利用状況」)
この施策が2020年6月で終了したことを受け、キャッシュレス決済の利用を後押しする新たな施策として打ち出されました。

そして3つ目ですが、最大の目的ともいえるのが消費の活性化です。2019年10月に消費税が増税され、2020年は新型コロナウイルスの感染が拡大するなど、各種要因による消費の冷え込みが懸念されています。マイナポイントの付与によって消費を促し、日本経済に好影響を与える効果が期待されています。

●マイナポイント付与対象となるキャッシュレス決済の各サービス

 

図3

消費者がマイナポイントを利用するためには、まず使いたいキャッシュレス決済サービスを1つだけ選び、マイナンバーカードを使って予約・申し込みを行います。その後、選んだ決済サービスでチャージ、または買い物をすると利用金額の25%のポイントが付与されるという流れです。

一方で、店舗側としてやるべきことはほとんどありません。マイナポイントの付与は国とキャッシュレス決済事業者と消費者の間で行われるため、対象店舗になるための申請などは不要です。

ただし、当たり前ですがキャッシュレス決済に対応していなければ顧客はマイナポイントの還元を受け取る事ができません。顧客に積極的に選ばれ、お金を使ってもらうためには、キャッシュレス決済への対応が必要不可欠になっています。
対象となるキャッシュレスサービスには大きく5つの種類に分けられます

QRコード決済

PayPayや楽天ペイ、メルペイ、d払い、LINE Payといった、いわゆる「◯◯Pay」を「QRコード決済」と呼びます。現在、もっとも盛り上がっているジャンルだといえるでしょう。

多くのQRコード決済がマイナポイントに対応しており、さらに各社が独自のお得なキャンペーンを追加する形で展開しています。店舗にとっても専用の読み取り機などが不要で導入の手間がかからないため、マイナポイント事業に参加するならまずおさえておきたいキャッシュレス決済手段といえます。

◎乱立するQRコード決済。仕組みを理解し迅速に導入する方法とは? ◎急成長中のQRコード決済市場!各サービスを徹底比較(主要QRコード決済サービスを徹底比較。シェア率や手数料は?)

電子マネー

代表的な電子マネーには、Suica、PASMOのような交通系ICカードや、WAON、楽天Edyのように企業が発行するカードがあります。 支払いにかかる時間はキャッシュレス決済のなかでも最速で、多くの消費者が利用しています。できれば導入しておきたいキャッシュレス決済手段です。
ただし、新規に導入する際はカードを読み取るための専用リーダーが必要になるなど、設備投資に費用がかかります。

クレジットカード

もっとも利用者が多く、昔から使われている「クレジットカード」です。三井住友カードやりそなカード、楽天カードなど多くのクレジットカード会社がマイナポイントに対応しているため、マイナポイントの付与対象に選ぶ人も多いと思われます。店舗としては導入しておくべきキャッシュレス決済手段といえます。 ただし、こちらも電子マネー同様、読み取るためのリーダー設備を導入する必要がある点には注意しましょう。

プリペイドカード

プリペイドカードは、事前にお金をチャージ・入金し、商品やサービスを購入します。 図書カードやQUOカードのように、カード自体に利用金額が決まっている「使い切り」タイプと、カードにチャージしたお金の範囲内で使用する「チャージ」タイプの2種類に分けられます。

デビットカード

デビットカードとは、カードの支払いと同時に、自身の銀行から引き落とされるキャッシュレス決済です。後払いのクレジットカードに比べ、利用限度額=口座残高になるため、使いすぎを防止できるともいわれています。

このように利用できる決済サービスは多種多様ですが、マイナポイントを利用できるのは1人につき1種類の決済サービスと限られています。またマイナポイントに合わせて独自で施策を行っているサービスもあるので、登録する前にどれが一番自分に合っているのか・お得なのか等、考えてから登録する事をお勧めします。

●マイナポイントによる加盟店側のメリットとデメリット、まず導入すべきキャッシュレス決済とは

 

図3

マイナポイントの予算は約2,000憶円超と言われており、キャッシュレス決済で買い物をした消費者に付与されます。消費者がいくら買い物をしても、店舗がマイナポイントをもらえるわけではありません。

店舗のメリットは、「マイナポイントがほしい消費者が店舗で買い物をすることで売上増が見込め、更にはその還元されたポイントで再度購入して頂く可能性が高くなる」ということです。マイナポイントがもらえるのはキャッシュレス決済のみなので、マイナポイントが欲しい消費者は当然、キャッシュレス決済が使える店舗を選んで買い物をします。

また、マイナポイントがもらえるキャッシュレス決済は一人につき1つしか選べませんから、店舗としてはたくさんのキャッシュレス決済手段を導入するほど多くの消費者に選んでもらえる可能性が高くなります。

すべてのキャッシュレス決済を導入できるに越したことはありませんが、前項で述べたように電子マネーやクレジットカードは専用の読み取り機を導入する初期費用がかかります。そのため、まずはQRコード決済から導入してマイナポイントの効果を試してみるのがおすすめです。

◎キャッシュレス化した店舗のメリットとは?最新動向を含め徹底解説!(前編) ◎キャッシュレス化した店舗のメリットとは?最新動向を含め徹底解説!(後編)

●マイナポイントの現状と課題

政府の肝いりでスタートしたマイナポイントですが、現状では必ずしもうまくいっているとはいえません。政府はマイナポイントの予算として「利用者4,000万人分」を見込んでいますが、8月30日の時点での申し込み人数は377万人と、10分の1にも満たない数字(参照元:※総務省「2020年9月1日 会見発言記事」)に留まっています。

マイナポイント施策がうまくいっていない理由の1つは、マイナポイントの申し込みに必要なマイナンバーカード自体が普及していないことです。また、マイナンバーカードを使った手続き方法も全ての人が簡単にできる仕組みではなく、申請の途中で諦めてしまう人も少なくないようです。今後、マイナンバーカードを持つメリットが大きくなり、それに伴う施策の登録等も安全性を保ちつつ簡易的になれば、より活性化していくはずです。

●海外でのマイナンバーカードの利用事例

図3

マイナンバーカードと近い趣旨の取り組みは日本以外の各国でも行われています。たとえば世界有数のIT先進国として注目されているエストニアでは、行政手続きの99%をデジタル上で完了させる事ができます。(残りの1%結婚・離婚・不動産の売却だけはデジタル上で手続きができません。)この99%をデジタルで行う為にはeIDカード(日本でいうマイナンバーカード)が必要になります。
エストニア人であればこのカードを持つ事は義務化されおり、たとえば身分証明書や保険証、買い物でのポイントカードまですべてeIDカードに集約されているのです。特に店舗ビジネスを行っている事業者にとって、ポイントカードがeIDカードに紐付いている点は消費の活性化を促進できる意味でも大きいといえます。
エストニアについては別のコラムでもう少し詳しくお話しをする予定なので楽しみにしていてください。
また、デンマークやスウェーデンのような北欧の国々でもマイナンバー制度が普及しています。行政や民間の様々なサービスがマイナンバーで管理されており、国民は手続きの効率化などのメリットを享受しています。

現時点ではマイナンバーの普及が遅れている日本ですが、先行して成功している国々からヒントを得ることで、大きな飛躍が期待できるのではないでしょうか。

●まとめ

日本におけるマイナポイント事業は現時点では大成功しているとは言い難い状況です。しかし、高い還元率を誇るマイナポイントのメリットが周知されれば、今後一気に盛り上がる可能性は十分にあります。また、期待ほど伸びていないとはいえ、すでに377万人超の利用者がいる事実は見逃せません。

今後さらに増加していくであろうマイナポイントの利用者を逃さないためにも、しっかりと準備を整えておきたいところです。

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