コラム Column

タッチ決済が及ぼす交通機関利用の変化とは?

タッチ決済

皆さんは、普段の生活において、さまざまな決済手段の中から自分に合った形で決済をしていると思います。その決済手段の1つとして「タッチ決済」というものがあります。今では多くの方がこのタッチ決済を利用しているのではないでしょうか。
タッチ決済とは言葉の通り、クレジットカードやスマホを決済端末にタッチするだけで決済が完了します。Apple Pay、iD払い、QUICPayなどもタッチ決済に分類されます。更にここ数年でVisaのタッチ決済が色々な場所で利用されるようになっており、市場に面白い変化をもたらしています。よって、本日はこの点に注目しながらお話していきたいと思います。

駅の改札やバスに乗車する時の決済方法は?

日本の駅の改札やバスに乗車する際、多くの人が利用している決済手段といえば、ご存じの通りSuicaやPASMOなどの交通系非接触ICカード(つまりソニーのFelica)がほとんどでした。今では現金で切符を買っている人をあまり見かけなくなり、更には現金での購入が必須だった普通回数乗車券も販売を終了すると2022年4月26日にJR東日本は発表しています。現金からSuicaやPASMOへ決済手段が移り変わって既に20年以上が経とうとしていますが、新たな決済手段として今VISAのタッチ決済が注目されています。

VISAのタッチ決済とは

VISAのタッチ決済とは言葉の通り、Visaカードをタッチするたけで決済が完了するものです。最近のネットニュースでVISAのタッチ決済を交通事業者が導入したという記事をたびたび見かけるようになり、筆者自身で調査を行いました。

visaのタッチ決済調査一覧

検索結果から見逃した記事はあるかもしれませんが、17件ほどの記事を見つけることができました。VISAのタッチ決済を日本で最初に導入した交通機関は1年以上前であるため、一覧表には含んでいませんが、京都丹後鉄道で2020年11月になります。その後、盛んに導入され始めたのが2021年10月からのようです。
調査を行ってわかったことは、実証実験として期間限定で導入されたものが多く、そのほとんどはVISAのタッチ決済でした。JCBのタッチ決済併用が1件ありましたが、Mastercardのタッチ決済事例は見つかりませんでした。

FeliCaとNFCの違い

バスでの決済図

FelicaとNFCの違いを説明する前に、もう少しタッチ決済についてお話したいと思います。冒頭でタッチ決済には色々な種類があるとお伝えしました。交通系でいえばSuicaやPASMOなどがあり、スーパーではnanacoやwaon、QUICPay、iD払いが目立つようになりました。これらは全てFelicaに対応しています。
一方VISAのタッチ決済はNFC Type-A/Bに対応しています。それぞれどのような違いがあるのか簡単にご説明します。

FeliCaはソニーが開発し、JR東日本がSuicaに採用した非接触ICカードです。非常に処理が高速で、東京のラッシュ時の改札を乗客がスムーズに通過できる性能を持っています。しかし日本独自の仕様であるため、海外ではほとんど使用されていません。Suicaの後、日本全国の交通機関の多くがFeliCaの乗車券を採用し、日本のデファクトスタンダードと言えるくらい普及しました。

それに対して、VISAのタッチ決済は、NFC Type-A/Bに対応しています。VISA、Mastercard、JCBなどの国際ブランドは非接触ICカードとして、NFC Type-A/Bを採用しました。処理速度はFeliCaに劣りますが、国際標準であることが強みです。

関連コラム

日本の非接触決済を徹底解説!現状の課題と今後の行く末とは
 newwindow

日本の非接触決済を徹底解説!現状の課題と今後の行く末とはのバナー
 
 
 
 

上記のコラムの中にFelicaとNFCの比較表を載せていますが、FelicaとNFCの一番大きな違いは処理速度です。特に出社ラッシュ・帰宅ラッシュが発生する日本ではこのFelicaの技術はとても重宝されてきました。

VISAのタッチ決済普及の背景とは

何故、VISAのタッチ決済が普及してきたのかについて考えてみたいと思います。
理由の1つには世界的なコロナ禍による非接触決済の要求が人々の中にあったのではないでしょうか。お買い物の際に現金を使う人が減り、いわゆるキャッシュレス化が加速したのです。
このキャッシュレス化のタイミングでVISAがタッチ決済の普及に力をいれ、交通機関だけでなく、全国のVISA加盟店においても利用できるよう活動をしていることが考えられます。

また、日本でVISAのタッチ決済を導入した交通機関が、大都市圏より地方都市が中心であることからもわかる通り、輸送量の少ない地方ではコストを大きくかけられないということがあります。その点FeliCaよりもNFC対応のVISAのタッチ決済の方が、国際標準であるため、チップや機器が安くなっていると考えられます。

更に海外の方が日本に来て、鉄道やバスに乗る際、新たに切符を買わずに、持ってきたVISAカードやApple Pay, Google Payをかざすだけで利用可能となります。海外から旅行者を呼び込みたい地方にとっては、大きなメリットであると思います。

これからの交通機関で決済手段は何が主流になる?

まず、大都市圏、地方において、VISA決済タッチ対応の改札やバスの料金支払機が増えることは間違いありません。海外からの旅行者利便性のため、大都市においても、VISAのタッチ決済(国際ブランドタッチ決済)専用改札ゲートができることでしょう。しかし、大都市の場合、ラッシュ時の混雑に対応するため、FeliCa対応改札が無くなるとは考えにくく、SuicaやPASMOはこれからも使われていくと思われます。(今後働き方改革の影響などで分散型社会になり、ラッシュ時などがなくなれば、状況は変わるかもしれません。)
地方においては、コストが安いVISAタッチ決済が主流になることも考えられます。いずれにしても、日本の交通機関においては、FeliCaのSuicaやPASMOとNFCのVISAタッチ決済(国際ブランドタッチ決済)は併用されていくものと考えています。

少し先まで思いをはせると、交通機関において既に実証実験が行われている顔認証などの生体認証に取って代わることになるのではないでしょうか。未来はまだまだ未知の世界で想像が膨らみます。どのような決済手段になれば、あなたの生活はもっと便利で楽しくなると思いますか?

※この記事が参考になった!面白かった! と思った方は是非「シェア」ボタンを押してください。