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Embedded Finance(エンベデベッド金融)の今と未来~なぜ注目されているのかその真相に迫る~

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FinTech(フィンテック)とは金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせてできた造語です。米国ではFinTechという言葉自体、2000年代前から使われており、日本でも昨今多く目にするようになりました。最近ではFinTech企業の躍進や規制緩和(銀行法、資金決算法、割賦販売法など)により、金融事業者だけではなく、非金融事業者に対しても金融製品を取り込んだ幅広いビジネスチャンスを手にすることが可能になってきています。その中で注目されているのが「Embedded Finance(エンベデベッド金融)」と呼ばれる取り組みです。

Embeddedとは、日本語で「埋め込まれた」を意味します。具体的にどのような概念で、どんなメリットが存在し、どれほどのインパクトを社会にもたらすものなのでしょうか。本記事では、具体的な事例と併せて解説していきます。

1.Embedded Finance(エンベデッド金融)とは

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Embedded Financeとは、日本語で「埋込型金融、プラグイン金融」と訳され、主に非金融事業者が自社サービスに金融機能を組み込んで提供することを示します。

分かりやすい「決済」を例にとって説明すると、決済自体サービスの主役になることはありません。しかし、ほとんどのサービスに決済はつきものです。例えば何かのECサービスを運営する場合、単純に商品一覧を掲載するだけでは取引をシームレスに行えるとはいえません。最後にユーザーが欲しい商品を購入し、決済(支払い手続き)を完了することで初めてECサービスとしてユーザーフレンドリーに機能しているといえるのです。
更に決済にはクレジット決済以外にもさまざまな方法があり、決済機能を自社で開発しようとすると、膨大な時間とコスト、技術などに詳しい有識者などが必要になり、簡単に進めることはできません。しかし、昨今のテクノロジーの進化によって、簡単にサービスへと組み込むことができるようになりました。

このように、従来金融領域でサービス展開していないプレイヤー(非金融事業者)が、ユーザーへの提供サービスの一環として金融機能を組み込んで提供することを、Embedded Financeと言います。これにより今までの事業領域よりも幅広い分野で商品やサービスの提供が可能になります。

2.Embedded Financeが注目される理由とその利点

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次に、Embedded Financeが注目されている理由とその利点について、それぞれお伝えします。

2-1.Embedded Finance注目の理由:APIエコノミー

Embedded Financeを実現する上で欠かせない技術が「API」です。APIとは「Application Programming Interface」の略で、ソフトウェア同士をつなげる技術のことを示します。

世の中にはさまざまなITサービスがありますが、多くのサービスは「外部サービスを効率的に活用」し、構築しています。たとえば地図表示を考えてみると、地図データをゼロから作り上げようとした場合、まさに膨大なコストと時間が必要となります。一方で、たとえばGoogleが提供するGoogleマップはAPIを公開しているので、Googleマップの情報をそのまま自社サービスへと連携して活用できます。

レストラン予約アプリなどで店舗のアクセス情報を表示すると、そのままGoogleマップと連携した地図が表示された、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。これはまさに、API連携による機能だと言えます。

このようなAPI連携は、1社だけがAPI公開をしているだけではなかなか有機的に機能しませんが、100社…1000社と増えていくことで、より機能開発の選択肢が広がることになります。後述するUberなどは、まさにAPI連携を前提としたAPIエコノミーによって実現したサービスだと言えるでしょう。

このようなAPIエコノミーの拡大が金融領域にも波及していき、結果としてEmbedded Financeを後押ししている状況だと言えます。

2-2.Embedded Financeの利点

Embedded Financeの利点を考える上で、まずは以下3つのプレイヤーについて理解する必要があります。

●ライセンスホルダー(License Holder):金融機能の提供ライセンスをもつ存在
●ブランド(Brand):顧客接点をもつ存在
●イネーブラー(Enabler):ライセンスホルダーとブランドの間に入ってシステム的な連結をする存在

ライセンスホルダーとは、いわゆる従来型の金融機関を示します。金融庁より免許・許可・登録等を受けている業者として、金融機能の提供を行っています。一方でブランドとは、非金融サービス提供者として多くの顧客との接点をもつ存在です。そしてイネーブラーは、その両者をつなぐ存在となります。

ライセンスホルダーにとっては、Embedded Financeが実現することによって、自社金融サービスをAPI経由で提供できる顧客窓口が増える可能性が高まります。

一方でブランドにとっては、金融機能をサービスに組み込むことで顧客満足度が高まり、自社サービスへのリテンション率も向上することが期待されます。

もちろん、そのような連携が多ければ多いほど、イネーブラーとしても嬉しいわけです。

このように、プレイヤーそれぞれのメリットが大きく、かつAPIエコノミーのようなエコシステムが拡張しているからこそ、Embedded Financeは大きく注目されていると言えます。