コラム Column

GoodユーザーにはBetterエクスペリエンスを!(Money 20/20 USA 2019報告)

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こんにちは。米木です。コラムでは2回目の登場になります。第1回目のコラムはこちら
「日本で最もキャッシュレスが進んでいる場所にあったキャッシュレスホール」 newwindow

さて今回は米国ラスベガスで行われたMoney 20/20(twenty-twenty) 2019に参加してきましたので、それについてレポートをお届けしたいと思います。

日本においてこんなに「キャッシュレス」、「ペイメント」などの言葉が注目された時代は過去にありませんでした。2019年流行語大賞にも「○○Pay」、「軽減税率」などがノミネートされました。このような中で世界のペイメント業界は一体どこに注目しているのか。この点についてお話していきます。

●Money 20/20はペイメントの一大イベント

ここ最近、国内外のテック系の金融、流通の展示会やイベントの中心テーマからペイメント関連の取り扱いが少なくなっている気がしています。どちらかと言えば関心が高まっているAIやブロックチェーン、モバイルを活用した業務のエンハンスなどが活況のようです。

しかし、2019年10月27から30日までラスベガスで行われたMoney 20/20はペイメントが大きく取り上げられた一大イベントでした。実際には決済以外にもバンキング、Fintech、金融サービスなどを扱った世界でも有数のイベントで、日本からも多数の人が参加されているようでした。Money 20/20は米国以外に欧州、アジア、中国でも行われています。

●決済はフリクションを生んでいる

セッションや各社のブースをまわる際、決済に関して「世界の関心はどこにあるのだろうか」という問題意識をもって参加してみた所、いくつかのキーワードがあることに気付きました。
それは「フリクションレス」「ユーザーエクスペリエンス」という言葉です。これらのキーワードは、取り分け新しいキーワードではないでしょう。しかし、これらが日本を含めた世界の決済サービスにおける大きな課題となっているのは間違いありません。
 決済というのは、街中のお店やインターネット決済において、消費者にとってはわずらわしく且つ面倒なものです。店舗側にとっても、決済のための設備や人件費、手数料などコストと手間が掛かってしまう。つまり決済はフリクション(摩擦)を生んでいるのです。

●フリクションレスとリスクは表裏一体

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決済において手間や煩わしさがあるということは、消費者が実店舗やインターネット上で支払が完了する前に離脱してしまうということが少なからず起こっている事を示唆しています。
これは店舗にとっても、イシュアである銀行やカード会社にとっても収益に直結する重大な問題です。以前から日本でもスーパー、コンビニなどでサインレス決済(※1)がありました。Money 20/20のセッションでも取り上げられていましたが、AmazonがEC上でワンクリック決済(※2)を始めてから、米国ではEC決済でワンクリックがスタンダードになりつつあると、言われています。

 

※1:決済をする際、サインや暗証番号の入力無しに決済ができる事
※2:AmazonのEC上で決済をする際、「1-Click」のボタンを1度押すだけで決済が完了してしまう事

ところが極端にフリクションレスにすると今度は不正利用のリスクが出てきます。
ゼロフリクション(フリクション無し)かつ不正利用も防ぐことができるというのが理想です。しかし、完璧を望むのは今のところ無理があるとすれば、フリクションレスとリスク防止のバランスをうまく保てるような手段を見つける必要があるのです。

●進化した生体認証ソリューション

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決済において重要かつフリクションになるのは、「本人認証」と「取引の拒否」だということがパネルディスカッションの中でも盛んに取り上げられていました。ここでは「本人認証」にフォーカスを当てたいと思います。
そこでMoney 20/20で紹介されていたのが、パッシブ認証です。つまり消費者が買い物行為をしている間、できる限りの本人認証をしてしまおうというものです。そのためのソリューションも多数展示されていました。それはまさに進化した動的生態認証ソリューションです。パッシブ認証とAIを組み合わせて、リスクベース認証を行うことにより、良い消費者はフリクションレスでパスし、疑わしい消費者については(手間はかかりますが)、しっかりと本人認証をすることでリスクを防ぎます。リスクベース認証は閾値を調整することで店舗の特製や取引金額に合わせて設定することができます。
目指すは「Goodユーザーには、Betterエクスペリエンスを!」ということですね。
この目標に向かって求められる決済ソリューションを今後TISではご提案していきたいと考えています。
また次のブログでお会いしましょう!

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