コラム Column

パーソナライズされた最上級の接客体験を実現する

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登壇者紹介

百貨店やショッピングセンターに代表される大型小売店では、「実店舗」と「ECサイト」という、販売チャネルの二極化が進行している。さらにスマホ決済の急速な普及も加わり、デジタルマーケティング基盤の構築に苦慮しているケースも少なくない。

販売チャネルや決済手段を問わず、あらゆる購買情報を把握し、顧客へパーソナライズされた付加価値を提供するには、どのような仕組みが求められているのか? 

デジタルマーケティングと決済領域のスペシャリスト達に、ベストソリューションへの道筋を聞く。

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オフライン/オンラインを問わず個人と紐付く購買情報を取得するには

■大型小売店のデジタルマーケティングの課題をどう見ますか?

岡部:

百貨店や、家具・日用雑貨など大型専門店でよく見られるのが、個人を特定しての購買情報を取得することができないという課題です。たとえば、ECサイトではWeb会員のIDで購買データを取得・管理できていても、リアル店舗では情報を得る仕組みが設けられていないといった、オンラインとオフラインが分断しているケース。

「誰が何を買ったか」が分からない限り、パーソナライズしたマーケティングは実施できず、顧客体験を変えるまでには至らないと考えます。

■提携クレジットカードや共通ポイントは解決策となりますか?

岡部:

百貨店・ショッピングセンターが発行している提携クレジットカードは、カード決済された購買情報について、個人と紐付け可能です。しかし、提携クレジットカードを保有しておらず、現金払いを含め他の決済手段で購入した人については、情報をまったく把握できないのが実情です。

苅田:

共通ポイント(Tポイント、dポイントなど)についてですが、個々の購買情報は共通ポイント事業者側が保有しており、導入企業がいつでも自由にマーケティングに活用できるわけではありません。共通ポイントは広告と同様のプロモーション手段であり、お店に来てもらうモチベーションを高めるツールだと割り切って考えたほうがよいと思います。

■では、購買情報を個人と紐付けるために有効な手段は?

岡部:

自社店舗だけで使える、ハウスポイントを導入することが最適解だと考えます。導入のハードルは決して低くありませんが、オフラインでもオンラインでも、かつ決済手段を問わず、個人と紐付いた購買情報を取得するための最終目標と言えるでしょう。

実際に、TISに相談をいただいた、ある大型小売店のお客様は、共通ポイントの対応に注力するのではなく、新たな自社専用のハウスポイントを始める計画を進めています。

苅田:

これからハウスポイントを導入する際、プラスティック製のカードではなく、“○○ウォレット”のような自社スマートフォンのアプリが前提になるでしょう。レジで商品を購入する際は、ハウスポイントのアプリで会員IDを掲示し、次にキャッシュレス決済アプリ(クレジット、交通系など)を起動して代金を支払う、といった流れになります。

菅原:

現状、レジで支払いをする際、スマートフォン上で複数のアプリを切り替えて掲示する必要がありますが、将来的には、ハウスポイントのアプリが裏側でキャッシュレス決済と連携することで、単一のアプリで完結できるような仕組みがないと、悪い顧客体験を与えるかもしれません。ただ、今の時点でも、財布にしまった複数のカードを探して取り出すより、スマートフォンでアプリを切り替える手順の方が、ずっとスマートなのではないでしょうか。

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デジタルマーケティングで実現する最上級の接客体験とは


■大型小売店がデジタルマーケティングで目指すゴールは?

岡部:

ECが当たり前になった今、消費者が大型小売店で商品を買う“意味付け”が必要ですが、その代表的なものが、パーソナライズされた接客体験の提供です。上質な接客サービスを実現し、そのお店のファンを増やしていくことがマーケターの目標になると思います。

菅原:

購買情報や個人の属性などデジタル情報をミックスし、リアル店舗での接客に反映してくためのキーとなるのが、「Tealium」(ティーリアム)です。Tealiumは、「Universal Data Hub」(ユニバーサルデータハブ)というリアルタイム顧客オーケストレーションソリューションで店舗への来店や購入、あるいはECサイトでの検索・購買といったアクションのデータを統合し、パーソナライズされた顧客体験を創出することに貢献します。

 

■「Tealium」で接客体験はどう変わりますか?

菅原:

リアル店舗とデジタルをつなげる取り組みとしては、店舗来店の情報をモバイルアプリ経由で取得し、それをパーソナライズされた接客サービスにつなげていく形態があります。例えば来店者の情報を接客担当のタブレット端末へ連携し、過去の購買、趣味嗜好を確認できるようにすれば、顧客毎にパーソナライズされた接客が可能です。

チェックイン操作に対してポイントやクーポンを付与し、それを即時にメッセージ送信で知らせ、購買のモチベーションを高める施策も有効でしょう。「Tealium」は、メール・LINE・ウォレット型アプリなど、その顧客が最も使い慣れたチャネルへメッセージを送信できる点も強みです。

■“商品購入”をトリガーとした「Tealium」の活用例は?

菅原:

ある商品を購入した時点で、その商品に関するWebやメールでのレコメンドをリアルタイムに最適化することができます。ネット広告でよく見られるのが、商品を購入した人に対し、長期間にわたって購買済みの情報ばかりをレコメンドするような例。こうした無駄なアクションを止めることで、顧客側に不快感を感じさせることもありません。

特にB2Cのマーケティングにおいて顧客にとって心地よいタイミングで最適な情報の提供と制御ができることは重要です。そのため、リアルタイム性が求められてきます。

顧客の趣味嗜好や行動のリアルタイムな変化に応じて、「今そのとき」必要なメッセージを届ける・不要なメッセージを止める、といったことが良質な顧客体験につながります。

 

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QRコード決済の購買情報をデジタルマーケティングに活用するには


QRコード決済に対する大型小売店の関心は?

苅田:

デジタルマーケティングの基盤構築と並んで、QRコード決済対応は、大型小売店が高い関心を寄せているテーマです。TISでは複数のQRコード決済に対応させるソリューション「PAYCIERGE(ペイシェルジュ) 加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」を提供していますが、2019年に入って引き合いが急増しています。

QRコード決済の事業者は、高い還元率のキャンペーンをたびたび実施しており、「QRコード決済で買い物ができるかどうか」が、一般消費者がお店を選ぶ際の判断基準の一つになっています。

岡部:

ただ、大型小売店がQRコード決済に対応するにあたって、気をつける必要があるのは、QRコード決済に対応しただけでは、個人と紐付く購買情報は取得できない点です。これを解決するのが、先ほどお話したハウスポイントの仕組みということになります。

ハウスポイントの会員がQRコード決済する際は、まずスマートフォンでQRコード決済アプリを起動して画面を店員へ掲示。次に、ハウスポイントのアプリに切り替えて会員コードの画面を見せる、といった流れになります。このように、ハウスポイントの基盤があれば、新しい決済手段が出てきても、大がかりなシステムの改修を必要とせず、個人に紐付く購買情報が得られるメリットがあります。

 

■百貨店のような大型小売店がQRコード決済に対応する意義は?

岡部:

QRコード決済のキャンペーンをお得に使いたい、という層が存在することは事実ですが、単にこの層を取り込んで売上を伸ばすことだけが目標ではないと考えます。

百貨店でQRコード決済を利用する人は、比較的少額な購買層と考えられますが、こうした層の行動分析が、あらゆる顧客をロイヤルカスタマーに引き上げていく施策のヒントにつながっていくはずです。

オンライン‐オフラインの流れ図

 

今回、ハウスポイント、TealiumQRコード決済というキーワードから、大型小売店にとって理想的なデジタルマーケティング基盤についてご説明しました。マーケターにとって重要なのは、すべての顧客のカスタマージャーニーをきちんと把握し、そのお店のファンを増やすマーケティングのアクションを打ち続けること。TISは、「デジタルマーケティング決済」のさまざまなソリューションを通じて、マーケターの方をお手伝いしていきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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加盟店向けQR決済ゲートウェイサービスは、国内外のWalletサービスのQR決済システムを迅速かつ低コストで構築できるサービスです。中国のFintech(フィンテック)企業CardInfoLink(CIL)と資本・業務提携し、実績のあるQR決済ソリューションを日本・中国・東南アジアで展開。顧客ブランドの競争力向上、マルチブランド対応による加盟店囲い込み、システム改修・保守のコストダウン等に貢献します。