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決済をデジタル化の入り口に 楽しく便利な街づくりに貢献したい

2021年3月22日「行政のデジタル化」というMOOK本に記事広告を掲載しました。

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日本を代表するシステムインテグレーターとして社会インフラの整備に貢献する TISインテックグループ。
キャッシュレス決済の領域に強みを持つTISは、 地方創生に本腰を入れ始めた。
2019年6月に開設した福島県会津若松市のオフィスを拠点に、 決済を起点にした住民中心社会を具現化しようとしている。
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住民を中心とした設計が特徴のID決済

 スマートシティ構想が進む福島県会津若松市。官民連携を象徴するICTオフィスビルAiCT(アイクト)にTISは居を構える。住民の情報(ID)と決済機能を一体化させることで、新しいキャッシュレス社会を創造している最中だ。
 「デジタル化の入り口」だとキャッシュレスの意義を語るTISのDXビジネスユニット、DX営業企画ユニットDXR&D部の主査、小林慶介氏。「人と人、人と地域をつなげ、楽しく便利な地域づくりに貢献し、地方創生に寄与すること。支払いを起点に、デジタル化によるアイデアを考えると住民サービスの可能性は格段に広がるはずです」
 TISが提唱するID決済は、住民を基本にした設計が特徴だ。従来のキャッシュレス決済はクレジットカードであれQRコードであれ、それぞれの決済事業者が個々にユーザー管理を行うのが基本。これを個人のIDで認証する仕組みにすることで、個人は複数の決済手段のアカウントを同時に管理でき、決済の情報を基に様々なサービスを利用できるようになる。これをスマホのアプリに実装した地域ウォレットが『会津財布』だ。「地域に決済情報を残すことに賛同いただける決済事業者と連携することで、キャッシュレスによる便利な地域サービスを住民の方に提供することができます」(小林氏)
 こうした仕組みを可能にした背景には、会津若松市が手がける「会津若松+(プラス)」の存在がある。住民一人ひとりにパーソナライズされたポータルサイトに紐づく「住民ID」を、APIによって決済サービスとつなぐことでID決済のプラットフォームが実現できた。市民が「生活が便利になるのであれば」とデータの提供に前向きであることも手伝い『会津財布』の普及が期待される。
 地域ウォレット『会津財布』を有効に活用する上で、地域の医療機関と連携した実証実験を内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)として行った。「地元の竹田綜合病院で診察を終えた方が、『会津財布』のQRコード決済で支払いをしましたが、利用者はスムーズなキャッシュレス決済を体感し、地域にとっては誰が、どういった支払いをしたのかのデータを残すことができました」(小林氏)。今後、医療情報と連携すれば、会計や処方による薬の受け取りも待たずしてワンストップな受診が叶う。さらには、交通や小売、物流など異なる領域との連携で、例えば、診察が終了すればタクシーが自動的に患者を自宅まで送り届け、決済も済んでいるサービスも実現できる。ソサエティ5.0は間近な世界だ。

喜びを実感できる社会を実現したい

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 地方創生にとって大切なのは、「三方よしの仕組み」と語るのは同社デジタル社会サービス企画ユニット、デジタル社会サービス企画部会津サービスクリエーションセンターのセンター長、岡山純也氏。 newwindow 「人口減少社会において持続ある地域づくりに企業として貢献したい。会津若松をきっかけに、便利でお得な体験を住民の方に広げていきたいです」
 実現のカギは店舗の手数料負担の軽減や人の行動変容を促す「トークンエコノミー」だ。同社はID決済にブロックチェーン技術を用いた価値交換の仕組みを組み込んだトークンエコノミープラットフォームを構築し、これを活用した事例が観光デジタルクーポンの発行だ。会津若松の観光資源になっている日本酒や地元の食をアピールする「極上のはしご酒」は、利用者が『会津財布』から購入したデジタルクーポンを指定の飲食店でタップするだけで、利用者から店にクーポンが移転する仕組み。紙のクーポンと異なり、データによる効果測定がすぐにでき、新たな施策に結びつけやすい。
 

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「トークンエコノミーは行政へも有効に活用できると考えています。例えば、ボランティアによるポイント付与や、将来的には使途を限定した給付金による生活支援なども可能です。行政手続きや自助・共助の仕組みを決済を通じて一体で扱うことで、人々の行動変容を促したり、生活サービスがシームレスにつながってきます。また、地域に蓄積したデータを分析しフィードバックできることで、住民にとってうれしい行政施策や民間サービスを生み出せます」(小林氏)
 生活シーンにおいてサービス利用者が喜びを実感することが、地域社会でデジタル化が定着するのに欠かせないと岡山氏は加える。「自分たちのまちをどうしていくのか、という視点とICTの仕組みの両輪がスマートシティの実現に不可欠だと経験を通じて実感しました。これからの街づくりについて議論しながら一緒に導入を進めていくような機会を増やしていきたいと考えています」

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