顧客の新規獲得が難しくなっている昨今、企業の売り上げの向上・安定化のために重要な施策として「ロイヤルカスタマー戦略」が注目されています。
本記事では、ロイヤルカスタマー戦略の基本概念や活用される指標・ツール、成功のポイント、実際の企業の取り組み事例まで、詳しく解説します。自社のマーケティングやCRMに活かせるヒントとして、ぜひご参照ください。
1 ロイヤルカスタマー戦略とは
1-1 ロイヤルカスタマーの定義と一般顧客・優良顧客との違い
1-2 なぜ今ロイヤルカスタマー戦略が注目されているのか
1-3 ロイヤルカスタマーが企業にもたらす具体的なメリット
1-3-1 売り上げの安定化への貢献
1-3-2 自主的な情報発信
1-3-3 フィードバックの提供
2 顧客ロイヤリティを測定する指標
2-1 NPS®(顧客推奨度)
2-2 LTV(顧客生涯価値)
2-3 RFM(購入日・購入頻度・購入総額)
2-4 Churn Rate(解約率)
2-5 顧客満足度(CS)
3 ロイヤルカスタマー戦略によく使用されるツール
3-1 CRM
3-2 MA
3-3 CEM
3-4 SFA
4 ロイヤルカスタマー育成のための実践ステップ
4-1 自社の顧客ロイヤリティを計測する
4-2 ロイヤルカスタマーの選定基準・定義の明確化
4-3 カスタマージャーニーの設計
4-4 施策の実行・効果検証
5 業界別ロイヤルカスタマー戦略の成功事例
5-1 小売・EC業界のリピート購入率向上事例
5-2 サブスクリプションモデルでロイヤリティを高めた企業例
5-3 実店舗とオンラインの融合による顧客体験価値向上
6 ロイヤルカスタマー戦略を成功させるポイント
6-1 継続的な顧客とのコミュニケーション・接点づくり
6-2 定期的な情報発信
6-3 特別感を味わってもらうサービスの提供
6-4 カスタマーサクセスの仕組み化によるサポート
6-5 データに基づく継続的な改善プロセス
7 よくある質問
7-1 「ロイヤルカスタマー」とはどういう意味ですか?
7-2 優良顧客とロイヤルカスタマーの違いは何ですか?
8 まとめ
1 ロイヤルカスタマー戦略とは
ロイヤルカスタマー戦略とは、自社の商品・サービスなどに対して高いロイヤリティ(忠誠心)を持つ「ロイヤルカスタマー」を増やし、売り上げの安定化と継続的なビジネス成長を目指す戦略のことです。
ロイヤルカスタマー戦略の基本を確認するために、まずは「ロイヤルカスタマー」の定義や、注目される理由、導入メリットなどを説明します。
1-1 ロイヤルカスタマーの定義と一般顧客・優良顧客との違い
「ロイヤルカスタマー」とは、単に自社の商品・サービスを継続利用しているだけでなく、ブランドに対して強い愛着と忠誠心を持つ顧客を指します。
- 一般顧客:商品・サービスを一定期間利用している顧客。ロイヤリティは高くない。
- 優良顧客:購買頻度や金額が高いが、必ずしも感情的なつながりがあるわけではない。
- ロイヤルカスタマー:高頻度で継続利用し、かつブランドに対して強い愛着と忠誠心を持っている顧客。
優良顧客の中には、「解約が面倒だから」「他に選択肢がないから」といった消極的な理由で継続している場合もあります。一方、ロイヤルカスタマーは「このブランドが好き」「共感している」といったポジティブな動機で関係を続けるため、長期的な価値をもたらす存在です。
1-2 なぜ今ロイヤルカスタマー戦略が注目されているのか
ロイヤルカスタマー戦略が注目されている理由としては、新規顧客の獲得が難しくなっていることが挙げられます。
インターネット・SNSの普及により商品・サービスの比較検討が容易になっており、「選ばれること」の難しさが高まっています。一度選ばれたとしても、料金やサービス内容が優れた競合があれば、簡単に乗り換えられてしまう時代です。
このような市場の中で、安定して売り上げを生み出していくには、価格・機能などの単純な比較競争とは離れて、顧客との「強固な結びつき」を育成していく必要があります。
顧客のロイヤリティを高め、他社への乗り換えが起きにくい顧客層を形成していく戦略として、ロイヤルカスタマー戦略が注目されています。
1-3 ロイヤルカスタマーが企業にもたらす具体的なメリット
ロイヤルカスタマー戦略を実行するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
1-3-1 売り上げの安定化への貢献
ロイヤルカスタマーは自社への忠誠心・愛着が強く、簡単には他社に乗り換えないという特徴があります。そのため長期継続で利用する顧客として、売り上げの安定に貢献する存在です。
1-3-2 自主的な情報発信
ロイヤルカスタマーは自社の商品・サービスを友人にすすめたり、SNS上に投稿したりといった情報発信を積極的に行う存在でもあります。このようなユーザーによる口コミ情報は、企業が発信する宣伝よりも信頼されやすいことがメリットです。広告費がかからないといった特徴もあり、売り上げの安定・向上につながる重要な要素だといえます。
1-3-3 フィードバックの提供
ロイヤルカスタマーは、自社の商品・サービスに愛着を持って長く使っているユーザーならではの貴重なフィードバックを提供してくれる存在でもあります。
こうした理由から、多くの企業が「ロイヤルカスタマーをいかに育てるか」を重要な経営課題として位置付けています。
2 顧客ロイヤリティを測定する指標
「ロイヤリティが高い顧客」を見極めるには、定量的な分析が欠かせません。企業によって定義はさまざまですが、以下の5つの指標は、ロイヤルカスタマーの特定や育成において広く活用されています。
- NPS®(顧客推奨度)
- LTV(顧客生涯価値)
- RFM(購入日・購入頻度・購入総額)
- Churn Rate(解約率)
- 顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)
これらの指標は単独で使用することもありますが、複数を組み合わせることで、より解像度を上げることが可能です。以下、各指標の詳細を見ていきましょう。
2-1 NPS®(顧客推奨度)
NPS®とは「ネットプロモータースコア:Net Promoter Score」の略で、自社の商品・サービスを他の人に「推奨」したい気持ちが強いユーザーがどの程度いるかを示す指標です。「顧客推奨度」とも呼ばれます。
NPS®は、米国のコンサルティングファーム「ベイン・アンド・カンパニー」によって2003年に開発された指標です。
NPS®を計測する方法は「アンケート」です。「この商品・サービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という設問に対して10段階で回答を依頼します。「0~6」と回答した人を批判者、「7~8」を中立者、「9~10」を推奨者としてセグメント分けし、以下の計算式で計算することでNPS®を求めることが可能です。
NPS® = 推奨者の割合(%) – 批判者の割合(%)
例えば、推奨者の割合が60%、批判者の割合が40%なら、NPS®は「20」です。NPS®の数値が高いほどロイヤリティが高いユーザーが多いことを意味し、マイナスになる場合は推奨者よりも批判者の方が多いことを意味します。
そのため、スコアが高いほど、ロイヤルカスタマーが多く、ポジティブな口コミが期待できる状態であると判断できます。
2-2 LTV(顧客生涯価値)
LTVは、「ライフ・タイム・バリュー:Life Time Value」の略で、自社との取引開始から終了するまでに、顧客がどれほどの利益(価値)をもたらすかを示す指標です。日本語では「顧客生涯価値」と呼びます。
自社の商品・サービスを繰り返し利用する「リピーター」や、サブスクリプションサービスを長期間継続するユーザーは、それだけ多くの利益(価値)を自社にもたらすため、LTVが高くなります。
LTVが高いユーザーほどロイヤリティが高い可能性がありますが、単に「乗り換えるのが面倒」など、ネガティブな理由で取引を継続しているケースも考えられるため、数字には現れない定性的な要素も検討することが大切です。
自社の商品・サービスへの愛着・忠誠心が理由でLTVが高いユーザーをいかに増やすかが、ロイヤルカスタマー戦略において目指すべき基本的な目標の1つです。
LTVにはいくつかの計算式があり、代表的なものとしては以下の2つが挙げられます。
- LTV = 平均購入単価 ÷ チャーンレート(解約率)
- LTV = 平均購入単価 × 収益率 × 平均購入頻度 × 平均継続期間
2-3 RFM(購入日・購入頻度・購入総額)
RFMは「最終購入日:Recency」「購入頻度:Frequency」「購入総額:Monetary」の3つの軸で顧客のロイヤリティを分析する手法です。
例えば「最終購入日」が新しく、「購入頻度」が高く、「購入総額」が多いユーザーはロイヤリティが高いと考えられます。逆に「最終購入日」が古く、「購入頻度」が低く、「購入総額」が少ないユーザーはロイヤリティが低く、他のサービスに乗り換えられる可能性が高い層として分類できます。
このように3つの軸でユーザーを分類することで、それぞれに適した施策を実行でき、ロイヤルカスタマー戦略を効率的に進めていくことが可能になります。
RFM分析を行う際には、「最終購入日が30日以内のユーザーをスコア5とする」などの基準を設定してスコアリングを行い、ユーザーを分類していきます。
エクセルなどの表計算ソフトを使ってスコアリングすることも可能ですが、CRMなどのツールを使うと効率的です。詳しくは本記事の「ロイヤルカスタマー戦略によく使用されるツール」をご参照ください。
2-4 Churn Rate(解約率)
Churn Rate(チャーンレート)は、「解約率」のことで、一定期間に解約した顧客の割合を示す指標です。サブスクリプション型サービスや会員制ビジネスでは特に重要な指標です。
Churn Rateが高いほど解約するユーザーが多く、自社の商品・サービスへのロイヤリティが低いことを意味します。顧客のロイヤリティを高め、商品・サービスの継続利用を増やすことで、Churn Rateが低い状態を維持できます。
Churn Ratの代表的な計算式は以下です。
Churn Rate = (計測期間中に解約した顧客数 ÷ 計測期間の開始時の顧客数)×100
2-5 顧客満足度(CS)
顧客満足度は、商品・サービスを利用した顧客の満足度を示す指標です。「Customer Satisfaction」の頭文字を取って「CS」と呼ばれることもあります。
顧客満足度は商品・サービスを利用した際に感じる「一時的」な感想であるのに対し、ロイヤリティは「継続的」な愛着・忠誠心である点が異なります。
顧客満足度が高いほど、自社の商品・サービスの質が良い状態にあることを意味しますが、「不満がない=ロイヤリティが高い」に直結するとは限りません。とはいえ新たなロイヤルカスタマーを獲得・育成していくためには、顧客満足度の高さは必須の要素です。
顧客満足度は、「商品・サービスに満足していますか?」などのアンケートを実施することで計測できます。
3 ロイヤルカスタマー戦略によく使用されるツール
ロイヤルカスタマー戦略を成功させるには、顧客の行動履歴や属性情報を可視化・分析し、それに基づいた施策を実行することが重要です。顧客の行動履歴などを測定し、データベース化して一元管理する「ツール」の存在が不可欠です。代表的なツールには、以下の4つがあります。
- CRM
- MA
- CEM
- SFA
各ツールの特徴や違いを以下に解説します。
3-1 CRM
CRMツールには、既存顧客の氏名・年齢などの基本情報や、購入履歴、問い合わせ履歴など、顧客にまつわる情報を一元管理する機能があります。
CRMツールに顧客データを蓄積することで、LTV・Churn Rateなどの指標の計測が可能になり、RFMなどの分析も効率的に行うことができます。
3-2 MA
MAとは「Marketing Automation:マーケティングオートメーション」の略です。
MAツールを使うことで、メルマガ・ステップメールの配信や、SNS運用といったマーケティング施策を自動化できます。
多くのMAツールは前述のCRM機能の一部を兼ね備えていています。またCRMツールとデータ連携できるMAツールも多く、MAとCRMを併用して運用するのが一般的です。
MAとCRMを連携させることで、「特定の商品を購入したユーザーだけに限定メールを送る」など、CRMに蓄積されたデータを活かしてパーソナライズ されたマーケティング施策が可能になります。
3-3 CEM
CEMは「Customer Experience Management:カスタマーエクスペリエンス・マネジメント」の略で、日本語では「顧客経験管理」と呼ばれます。
顧客が商品・サービスを利用する過程でどのような経験をするのかを計画して顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)を向上させ、ロイヤルカスタマーを増やしていく取り組みがCEMです。
CEMは前述の「CRM」を発展させた新しい概念で、単なるデータ管理にとどまらず、顧客中心のブランド体験を構築することを目的としています。
3-4 SFA
SFAは「Sales Force Automation:セールスフォース・オートメーション」の略で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれます。
主に営業担当者の業務を効率化する機能があり、見込み顧客のデータを管理し、商談の進捗ステータス管理や、営業チーム間の情報共有などが可能です。
特にBtoBビジネスにおいてはSFAを導入することで、営業活動を効率化でき、見込み顧客をロイヤルカスタマーへと育成する業務を計画的に進めることができます。
CRM・MAの機能を兼ね備えたSFAもありますが、ツールごとに「BtoB向け」「BtoC向け」など用途の違いがあるため、よく確認して選びましょう。
4 ロイヤルカスタマー育成のための実践ステップ
ロイヤルカスタマーを育成するには、顧客を深く理解し、適切なタイミングで効果的なアプローチを行う必要があります。基本的なステップは以下の4つです。
- 自社の顧客ロイヤリティを計測する
- ロイヤルカスタマーの選定基準・定義の明確化
- カスタマージャーニーの設計
- 施策の実行・効果検証
各ステップの詳細を以下に解説します。
4-1 自社の顧客ロイヤリティを計測する
まずは現状を把握するため、自社の顧客ロイヤリティを計測する必要があります。
前述のNPS®・LTVなどの各種指標を計測し、自社の顧客ロイヤリティがどの程度か、レポートなどの形で可視化しましょう。
現状を把握することで、目標値や施策などを決めやすくなります。
4-2 ロイヤルカスタマーの選定基準・定義の明確化
まずはロイヤルカスタマーの「選定基準・定義」を明確にするステップです。
前述のNPS®・LTVなどの指標を計測し、どのレベルの顧客をロイヤルカスタマーとするか、具体的な数値などの基準を決定します。
ロイヤルカスタマーの基準は業界・業種によっても異なります。NPS®・LTVなどの各指標について、自社の属する業界の平均値などと比較しながら、数値的な目安を設定しましょう。
4-3 カスタマージャーニーの設計
次に「カスタマージャーニー」を設計しましょう。
カスタマージャーニーとは、顧客が自社の商品やサービスを「認知」し、「比較・検討」、「購入・利用」、「再購入・推奨」へと至る一連の行動や心理の流れを指します。
一般顧客をロイヤルカスタマーにするまでの過程を計画する上で基本となる道筋を示すものです。
これを「カスタマージャーニーマップ」として可視化することで、顧客目線での商品・サービス改善を検討しやすくなり、ロイヤルカスタマーを増やすための具体的な施策を計画できます。
「カスタマージャーニーマップ」は以下のように可視化するのが一般的です。
フェーズ | 認知 | 興味・検討 | 購入・導入 | 利用 | 継続・推奨 |
---|---|---|---|---|---|
顧客の行動 | SNSや広告でサービスを知る | Webサイトやレビューを読む | 初回購入・登録する | サービスを日常的に使う | 他人に勧める、SNSで投稿する |
顧客の感情 | 「なんか良さそう」 | 「他とどう違う?使いやすいかな」 | 「始めてみよう」 | 「便利!使いやすい」 | 「すごく良い!おすすめしたい」 |
課題・不安 | 本当に自分に合うのか? | 価格や競合との違いが分かりにくい | 登録が面倒、失敗したくない | 使い方が難しいと感じる | 飽きてしまう、特典がないと離れる可能性 |
タッチポイント | Web広告、SNS投稿、紹介記事 | LP、比較記事、チャット対応 | 登録ページ、クーポン、FAQ | メール通知、UI/UX、カスタマーサポート | メルマガ、アンケート、紹介制度、ポイント特典 |
施策例 | 認知拡大広告、SNSキャンペーン | 無料体験案内、比較ページ強化 | ワンクリック登録、特典付与 | UX改善、定期利用リマインド | ロイヤル限定特典、紹介インセンティブ、NPS調査 |
カスタマージャーニーマップを作成することで、ロイヤルカスタマーを育成していく流れを視覚的に把握できます。
4-4 施策の実行・効果検証
最後に、実際にロイヤルカスタマー戦略のための施策を実行に移し、効果検証を行います。
施策を行う際には、効果検証を行うことが大切です。そのためにはCRMやMAなどのツールを使って、データ計測・集計ができるようにしておく必要があります。
ツールを使ってロイヤルカスタマーの増減を計測し、目標の達成度などを見ながら、施策に問題がないか効果分析を行っていくことが大切です。
5 業界別ロイヤルカスタマー戦略の成功事例
ロイヤルカスタマー戦略の成功事例として、業界別に以下の3社をご紹介します。
5-1 小売・EC業界のリピート購入率向上事例
株式会社ファンケル
ファンケル流CRMに学ぶCookieレス時代のデータ活用 継続購入を促すコミュニケーションの秘訣|ECzine
5-2 サブスクリプションモデルでロイヤリティを高めた企業例
オイシックス・ラ・大地株式会社
ミールキット絶好調 KPI管理でLTV向上のオイシックス・ラ・大地|日経クロストレンド
5-3 実店舗とオンラインの融合による顧客体験価値向上
株式会社ビームスホールディングス
ECと実店舗をかけ合わせ、お客様と徹底的に向き合える組織とは? BEAMSがたどり着いた答えと挑戦|MarkeZine
6 ロイヤルカスタマー戦略を成功させるポイント
ロイヤルカスタマー戦略を成功させるためには、以下の5つのポイントを意識することが大切です。
- 継続的な顧客とのコミュニケーション・接点づくり
- 定期的な情報発信
- 特別感を味わってもらうサービスの提供
- カスタマーサクセスの仕組み化によるサポート
- データに基づく継続的な改善プロセス
それぞれ以下に詳しく解説します。
6-1 継続的な顧客とのコミュニケーション・接点づくり
ロイヤルカスタマー戦略では、継続的に顧客とコミュニケーションできるような「接点づくり」が大切です。
そもそも接点が少なければ、自社に対する愛着・忠誠心を醸成してロイヤリティを高めることは難しくなります。顧客との接点を増やすことで、「丁寧な対応をしてもらった」など良い体験を提供できる機会が増え、強い関係性を醸成していくことができます。
SNSやチャットボット・モバイルアプリなど、顧客とコミュニケーションできるチャネルを増やし、できるだけ多くの接点をつくるようにしましょう。
6-2 定期的な情報発信
さらに企業側から定期的に情報発信を行っていくことも、ロイヤルカスタマー戦略の大切な要素です。
前述の「コミュニケーションできるチャネルを増やす」だけでは、顧客側からのコンタクトを待つという点で「受け身」の施策にとどまります。顧客のロイヤリティを高めるには、情報発信を行っていくことで企業側からも顧客にアプローチしていく「情報発信」の施策も行うことが不可欠といえます。
メルマガ・SNS・ホームページ・モバイルアプリなど、情報発信ができるチャネルを活用して、自社の魅力を高めるような情報を発信していきましょう。
顧客のロイヤリティ向上につながる情報発信を行うためには、単に商品・サービスを宣伝するだけにとどまらず、顧客にとって魅力のあるコンテンツを発信していくことが大切です。
6-3 特別感を味わってもらうサービスの提供
顧客に「特別感」を味わってもらうことは、ロイヤルカスタマー戦略の成功に不可欠です。
例えばリピーターや優良顧客に対して限定の特典を提供する「ロイヤリティプログラム」を設定することで、特別感を味わってもらうことができます。
提供できる特典としては以下のような例が挙げられます。
- 利用状況に応じて会員ランクがアップし、ポイント付与率が高くなる
- 動画・メルマガなどの限定コンテンツを提供する
- 利用を続けるほど自分の好みに合わせてサービスがパーソナライズされる
このようなプログラムによってロイヤリティの高い顧客が特別感を味わえる仕組みを提供することで、自社のロイヤルカスタマーを育成・維持していくことができます。
6-4 カスタマーサクセスの仕組み化によるサポート
ロイヤルカスタマー戦略を最高させるには、「カスタマーサクセス」を意識することも大切です。
カスタマーサクセスとは、顧客が商品・サービスを利用することで「成功体験」を得られるように能動的にサポートすることです。問い合わせが来るのを受動的に待つ「カスタマーサポート」と違い、顧客の成功のために企業側から能動的に併走支援を行うことをカスタマーサクセスといいます。
カスタマーサクセスの取り組みとしては以下のようなサービスが挙げられます。
- サービス導入支援
- 研修・セミナーの実施
- 定期ミーティング・訪問によるサポート
カスタマーサクセスの提供には多くの人的リソースを要するため、仕組み化して効率的に提供することが大切です。例えば「タッチモデル」と呼ばれる仕組みを導入して顧客の重要度をランク分けし、優先度が高い顧客に対して手厚い支援を提供することで、効率的に運用できます。
6-5 データに基づく継続的な改善プロセス
ロイヤルカスタマー戦略の開始後は、効果測定を行ってデータを集計し、必要に応じて改善していくプロセスを繰り返すことが大切です。
市場の変化が激しい近年では、少し前まで効果的だったマーケティング施策も、すぐに時代遅れになってしまうことがあります。定期的にNPS®やLTVなどのデータを集計・分析し、ロイヤルカスタマー戦略の進捗状況について振り返りを行いましょう。
必要に応じて軌道修正を行うことで、最新の動向に遅れを取らずに、安定して成果を生み出す施策を打ち出していくことができます。
7 よくある質問
7-1 「ロイヤルカスタマー」とはどういう意味ですか?
ロイヤルカスタマーとは、自社の商品・サービス・ブランドに対する愛着や忠誠心(ロイヤリティ)が高い顧客層のことです。ロイヤルカスタマーは「売り上げの安定化」に貢献するだけでなく「友人などに商品・サービスをすすめる」「適切なフィードバックを提供する」といった形で、能動的に自社と関わる姿勢を持っています。
7-2 優良顧客とロイヤルカスタマーの違いは何ですか?
優良顧客とは、売り上げに対する貢献度が高いという点で「優良」な顧客全般を指します。ロイヤルカスタマーも優良顧客に含まれますが、優良顧客の中には「解約が面倒」「代わりのサービスがないから」といったネガティブな理由で利用しているロイヤリティの低い顧客も含まれます。
8 まとめ
ロイヤルカスタマー戦略は、企業の売り上げを安定・向上させるために重要な施策の1つです。
ロイヤルカスタマーは売り上げの安定や、自主的な情報発信、フィードバックの提供など企業にとって多くのメリットをもたらします。ロイヤルカスタマーを育成・維持していくことは、新規顧客の獲得が難しくなっている近年において企業が生き残っていくために不可欠といえます。
ロイヤルカスタマー戦略を成功させるには、顧客データを高精度で収集・分析できるシステムの構築が不可欠です。データ分析のシステム構築・改善をご検討の際には、TISにご相談ください。TISでは、スマホアプリによって顧客の行動を可視化するサービス「キャクシル」など、顧客データ分析のシステム構築を支援する幅広いサービスをご提供しています。ロイヤルカスタマー戦略の推進やデータ分析にまつわるご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
行動可視化サービス「キャクシル」についての詳しい資料はこちらからダウンロード頂けます。
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