コラム Column

自社のファンを作るUX(ユーザーエクスペリエンス)とは?

ux

講演資料DL

1.会員(ファン)アプリの”新しい流れ”と”視点”

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは製品やサービスを通して得られるユーザーの体験のことです。UXは、単に使いやすい、わかりやすいだけはなく、ユーザーの行動を導き、ユーザーがやりたいことを「楽しく・心地よく」実現することを目指した概念です。スマートフォンの普及とキャッシュレスの加速により企業や店舗の顧客戦略も変わってきています。これからの顧客戦略キーワードは、「UXの向上」ではないでしょうか。

今までユーザーと店舗の間のやりとりは、その場面ごとで区切られた体験の連続でした。例えば「店頭での会員認証」、「サービス利用」、「決済」、「インセンティブ(ポイント/クーポン)獲得」というさまざまな体験は、会員証やチケット、現金やクレジットカード、メールを通して個別に行われてきました。

しかし現在、そうした体験の起点がスマートフォンアプリに集約され始めたことで、多くの企業や店舗がユーザーを囲い込むために会員アプリを活用するようになりました。つまり、その会員アプリがどれだけ便利で、どんなメリットを提供できるかということが、ユーザーの獲得と囲い込みに大きく影響してくるのです。

では、便利でメリットのあるアプリにするためはどうしたらいいのでしょうか?
それはアプリのUXを向上させることに他なりません。ユーザーにとってお財布から会員証を取り出して提示し、支払いのためにクレジットカードを出して、ポイントを貰うためにスマートフォンでアプリを立ち上げたりする…というようなことは手間でしかありません。この一連の流れをアプリ上でシームレスに行うことができれば、その手間が省け、ユーザーにとってUXが向上したと言えます。

■商品購入のバリュージャーニー

バリュージャーニー

2.シームレスなユーザー体験の実現(会員IDと決済IDの統合)

UXを向上させるために大切なことが2つあります。1つ目がUXを向上させるサービス設計で2つ目が、そうしたサービス設計を実現させる技術力の2つです。
ユーザーは、まず「買い物をする」「イベントに参加する」といった動機があって、アプリをダウンロードします。ポイントを貯めるためにアプリを使う人もいるでしょう。そのため会員アプリのサービス設計で大切なポイントは、ユーザーの動機を満たす体験がスムーズに行えることです。

もし会員アプリで会員IDと決済IDが紐付いていれば、ユーザーが店舗で買い物をする際、QRコードを提示するだけで「会員証の確認」、「支払い」、「ポイント付与」が一気に済みます。このことは、ユーザーにとても便利だと感じてもらえるはずです。スポーツ観戦であれば、これに「予約」や「電子チケット発券」などが加わってきます。会員アプリのUXの向上には、こうした「提供されるモノの特性に合わせたサービス設計」が必要です。

サービス設計で気を付けなければいけないのは、UXにおいて決済はあくまで手段だということです。企業や店舗はアプリに決済を組み込むことをゴールと考えがちですが、そうではありません。決済は、ユーザーにとって”店舗で〇〇を買う”、”スポーツを観戦する”といった体験をスムーズに行うための要素に過ぎないのです。重要なことは、それらを「楽しく・心地よく」体験できるかどうかです。TISなら豊富なDXの経験に裏付けられた高い「提案力」で、アプリのUXを大きく向上させるサービス設計を提案することができます。

優れたサービス設計は、ユーザーに便利さをもたらすだけではありません。例えば、あなたが人気店を経営していたとします。会員証、決済手段、ポイントカードが紐付いていなければ、会計に時間を要することとなり、レジが混雑してしまうかもしれません。その結果、並ぶのが嫌なユーザーや時間がないユーザーは、購入することを諦めてしまうかもしれません。しかし会員IDと決済IDが紐付いていれば、ユーザーにストレスを感じさせる混雑は緩和され、商機を逃さないようにします。決済後、瞬時に店舗へ購買データが入ってくため、ユーザーの気持ちが店舗に向いている間に新しいアプローチや施策をユーザーひとりひとりに対し打つことが可能です。また、レジのオペレーションがシンプルになるので、店舗スタッフの負担も大きく軽減されます。

■会員アプリへの独自決済導入のメリット

メリット

3.TISの『DX SDK』で実現できること

優れたサービス設計があっても、その実現には高い「技術力」が必要です。優れたサービスに応じたサービス構築も当然ですが、決済機能を自社の会員アプリに組み込む場合、そこには高いハードルがあります。アプリ開発会社や店舗にとって、「自社店舗名の決済する仕組み」と「銀行システムに準ずるほどの高いセキュリティ環境」を自分たちで構築することは、難しいというお声をよく伺います。

TISでは『DX SDK(*1)』の仕組みを提供しており、これを組み込んでおくだけでさまざまなサービス設計に対して機能を構築することが可能です。たとえばクレジットカードや銀行口座を紐付け、アプリ上で決済を行えるようにすることが可能です。決済だけに留まらず、スマートキー配信や顧客のファン体験を提供し、常に使って頂けるアプリにすることを目的としています。コンサルタントという立場からも参画し、エンドユーザーが喜ぶ機能をお客様と共に提供(共創)していく。これも我々にとって重要としていることです。
(*1)SDK:Software Development Kit(ソフトウェア開発キット)

■『DX SDK』によるサービス提供イメージ

SDK一覧

もうひとつ、アプリ上での決済で重要なことは、取引情報が安全に守られ、どんな時もシステムが停止しないことです。『DX SDK』でつなげられたアプリ決済システムは、決済の安全性を担保する高度な「セキュリティ」と、システムを安全に稼働させる高い「可用性」を兼ね備えており、安心して利用することが可能です。そこには数多くの金融システムを手がけてきたTISならではの高い技術とノウハウが十分に活かされています。

4.会員アプリを利用したこれからのマーケティング(データ利活用)

ここ数年、企業による「会員アプリの決済を利用した顧客の囲い込み」への取り組みは拡大しています。会員アプリを利用した独自決済は、ユニクロや無印良品、三井不動産など、業種を問わず各社が導入しており、今後もますます拡がっていくことでしょう。ユーザーが常に持ち歩くスマートフォンからは、アプリを通し、さまざまなユーザーの行動や消費動向が得られます。そして、集められた情報は、新たなアプローチや施策、新商品やサービスなどに活かされます。多くの顧客を抱える大企業は、会員アプリを「デジタルタッチポイントとして活用する」ことが重要であると考えているのです。

■会員アプリを起点としたデジタルタッチポイントのイメージ

SDKアプリ

前述の通りTISの『DX SDK』を組み込むだけでUX向上の施策を実現することが可能になります。現時点では「銀行口座紐づけ決済」「クレジットカード紐づけ決済」「スマートキー配信」の3つの機能を提供していますが、さらに機能を拡張し、さまざまな企業や店舗に、新しいユーザー体験を提案していきたいと考えています。

新しい体験としてわかりやすいのは「スマートキー配信」でしょう。ホテルを例に挙げれば、物理的な「鍵」を廃止し、レセプションを通らずに部屋に入れ、チェックアウトや精算を好きな時に好きな場所で行えるようになります。これもシームレスなUXの好例だと思います。レセプションに行って、クレジットカードを出して、説明を受ける。この時間のストレスを減らすことで、ユーザーの満足度は上がっていきます。こうした新しいサービスを提案し、必要な機能を『DX SDK』で紐付けていくことが私たちの事業の本質です。

5.まとめ

ユーザーに自社のサービスの利用を促すためには、会員アプリのUXを向上させ、顧客満足度を高めることが重要になります。しかし、”UXの向上”は、ただアプリの機能を増やせば実現できるというものではありません。会員アプリを利用して自社のファンを作り、それを拡大させていくためには、ユーザーのマインドや消費行動を理解した施策が必要です。
私たちTISは、決済ビジネスとシステム構築で培われた豊富なノウハウをベースに「会員アプリによる施策のご提案」から携わり、「会員アプリを通して自社のファンを作るUX」を企業様と共に創る「共創ビジネス」を目指しています。そして、より魅力的な会員アプリとなるように、機能を提供した後も継続的に企業様をサポートしていきたいと考えています。

6月にイベントを実施予定のため、また情報公開できるようになりましたらお知らせします。

SDKもっと詳しく知りたいという方は以下よりご確認頂けます。是非ご活用下さい。
講演資料DL

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