前回のまとめ
彼氏とのケンカの話をきっかけに、クレジットカードの歴史について
決済博士の話を聞くことになったキャッシー。
クレジットカード誕生の逸話、日本での始まりについて学んだ。
③決済の歴史(キャッシュレス決済の多様化:クレジット、プリペイド、デビット、QR決済など多様化へ)
キャッシーのバイト先

QRコード決済ですね、ではこちらにQRコードをお願いします。…はい、ありがとうございました! 次にお並びの方どうぞー!

がんばってるじゃないか、感心感心

あ、博士! いらっしゃい。元気に接客しないと楽しくないからね

いい心がけだな

でも、最近は決済方法が増えてレジの対応が大変なの

自分から決済の話をするなんて、これまたいい心がけじゃないか。どれ、何かわからないことがあれば相談に乗るぞ

しまった、やっぱりここでも話すの…

今はレジも空いてるし、次の客が来るまでは大丈夫だろう

そりゃそうなんだけど…

で、決済の何が大変なんだって?

私もそうなんだけど、新しいバイトの子に決済方法の違いをうまく教えられなくって

なるほど。ではまず、キャッシュレス決済をざっくり3つに分類して覚えよう

あっ、そういうわかりやすいのは嬉しいかもー

キャッシュレス決済は、支払いのタイミングで3つに分けられるんだ

1つ目は交通系ICカードやクオカードなど、総称してプリペイドと呼ばれている「前払い」、2つ目は銀行から引き落とされるデビットカードの「即時払い」、3つ目はこの前話したクレジットカードを代表とする「後払い」だな

「〇〇ペイ」とかのQRコード決済は?

よくぞ気づいた! QRコード決済は提供する会社のサービスによって、その3つのうちのどれかに分けられるんじゃ

へぇ〜。デビットカードってあんまり聞かないけど便利なの?

さっき話したように、支払いのときに自分の銀行口座から直接引き落とされる仕組みになっているから、口座に入っている金額の範囲で利用することができるんじゃ

物を買うのと同じタイミングで引き落とされるから現金を使う感覚に近く、利用する前に支払いが必要なプリペイドや、支払日までお金を借りているようなクレジットは嫌だという人たちに人気があるな

なるほど~。デビットカードは日本でも使われているの?

日本でも年々利用額は増えているが、実際はデビットカードよりもクレジットカードの方が利用件数は遥かに高い。逆に海外だとデビットカードの利用件数がクレジットカードの利用件数を越えている国が多いんじゃ。ただ、件数が多くても単価が低いので、全体の利用額はクレジットカードより少ないというデータもあるな

なぜ海外ではデビットカードの利用件数の方が多いのかという話だが、デビットカードは銀行口座から「即時」に引き落とされるから、クレジットカードのような審査はなく、簡単に持つことができるという点が大きい。また、アメリカではデビットカードは一括払い、クレジットカードは基本的にリボ払いに固定されているんじゃ

リボ払い?

リボ払いとは「リボルビング支払い」のことで、毎月の支払いが一定の金額に固定され、利用残高に対してカード会社が定めた手数料を支払っていく必要がある。毎月一定額の引き落としだから計算はしやすいが、使い過ぎたり、手数料が発生することからリボ払いは避けたいと思う人も多い。だから海外では即時一括払いのデビットカードの方が普及している国が多いんじゃ

なるほど。その人に合った方法で支払いを選べるのはいいね。デビットなんてバイトする前は聞いたことすらなかったよ

まだ話は続くぞ。デビットはヨーロッパで個人の商取引に小切手が使われるようになり、それがきっかけで普及したと言われている。小切手に必要な発行手数料や郵送コストの負担を解消できる新しい決済手段だったのじゃ

そうなんだ。日本にはいつからあるの?

1999年だ。意外と最近だろう?

私とほぼ同い年ね!

もっと「年下」もいるぞ。たとえば「ピッ」とかざすペンギンでおなじみの「Suica」は、初の交通系ICカードとして2001年に登場した。翌年から大手コンビニが同じ技術を使った決済を次々と導入したことで、さらに広まっていったんだ

年下って思うとなんかかわいいね。「QR決済ちゃん」は何歳くらい?

日本で使われ始めたのは2015年頃だから、5〜6歳だな

あら、まだお子様♡

ただ、QRコード自体は1994年に日本で作られた技術なんだ

QRコード決済は、大規模なキャンペーンや海外からのインバウンド対策の影響もあって、ここ1〜2年で急速に使われるようになってきた。ともあれ、ここまでキャッシュレス決済が多様化しているのは、日々の暮らしがより便利になっていることの裏付けとも言えるな

なんでも選択肢がある方がいいもんねぇ。あっ、お客さんだ。博士またね!

博士ー、こないだは面白い話ありがとう!

おお、少しはお役に立てたかな?

うん。さっそくバイトの新人さんに教えていたら、店長が見てて「エライ」って、お店の新作スイーツくれたの〜!

たまには決済の話もいいだろ?(キリッ)

あっ、そういえば博士がパンケーキごちそうしてくれる約束は?

ウッ、よく覚えてたな…

博士は太っちゃうから、コーヒーだけだったよね!

覚えていてほしくなかったところまで覚えてたのね(笑)
登場人物紹介
与那嶺 淳(あだ名:決済博士)
大学では長年にわたり商学部の教授を務め、
昨今話題のDX技術や新しい決済の仕組みをずいぶん早くから講義の中で解説しており
学生には”決済博士”として慕われていたが昨年退職。
悠々自適な生活を送りつつも隣に住むキャッシーを気にかけている。
木山 祥子 (あだ名:キャッシー )
サークルやバイトに毎日忙しい元気印の大学生。
レジのアルバイトでいろいろな支払い方法があることを知り、
最近お金や決済に興味を持ち始めた。
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