2019年10月より消費税が10%になりました。と、同時に政府による「ポイント還元事業」がスタート。還元事業の対象店舗にて、お買い物をした際にキャッシュレス決済を用いて支払いをすると、ポイント還元が受けられるというものです。
今回の記事では、キャッシュレス決済の中でも最近特に注目を集めている「QRコード決済」について、各決済サービスの違いやシェア率、ポイント還元キャンペーンなどを紹介します。
1.QRコード決済市場と普及背景について
2.主要QRコード決済サービスの特徴とシェア率
3.店舗のQRコード決済導入のメリット、気になる手数料は?
4.消費税増税に伴った消費者への還元キャンペーンは?
5.まとめ
1.QRコード決済市場と普及背景について
キャッシュレス決済、QRコード決済とは、2016年より中国で急速に普及した決済の方法です。日本でもQRコード決済は急速に普及しており、決済市場で見ると2019年は6億円ほど、2023年には8兆円に上る見込みです。4年でここまでQRコード決済市場の成長が見込まれるのは、政府によるキャッシュレス推進と、2020年の東京五輪に向けたインバウンド対策が背景となっています。
政府によるキャッシュレス推進
政府は2025年までに、キャッシュレス比率を4割まで高める目標を掲げています。目標達成のために、2019年10月の増税と共に「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施中。中小・小規模事業者向けに決済端末の費用と設置を無料にし、決済手数料も3.25%以下にするなどの金銭的サポートを実施しています。
また、キャッシュレス決済についての根本的疑問をわかりやすく解決する説明会も行なっており、事業者の不安を解決するための施策も行なっているのです。
インバウンド対策としてのキャッシュレス
訪日外国人の方は、自分の国でもキャッシュレス決済を利用しています。各国のキャッシュレス決済普及率を見ると、韓国89.1%、中国で60%。カナダやイギリスで50%以上、スウェーデン、アメリカ、フランスでも40%前後と、世界でキャッシュレス化が進んでいるのがわかります。
訪日旅行での消費額を見ると、中国人旅行客は平均で20万円ほどと他の国と比べて多くのお金を日本で使っています。「爆買いブーム」は過ぎましたが、中国からの旅行客を取り込むためにも、QRコード決済は必須といえるでしょう。
【参照元】
・QRコード決済市場 2023年に8兆円規模に:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000035568.html
・経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」
2.主要QRコード決済サービスの特徴とシェア率
MMD研究所が18歳~69歳の男女30,000人を対象に実施した「2019年7月QRコード決済利用動向調査(※1)」によれば、現在、日本で一番多く使われている支払い方法は、93.0%で「現金」です。しかし、QRコード決済を認知している人は8割近く存在しています。ここからは各QRコード決済について、同社の「QRコード決済の利用経験」を参考に紹介します。
PayPay:利用率43.2%
ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合併によって、2018年10月からサービスを開始したPayPay。「100億円あげちゃうキャンペーン」で話題になり、QRコード決済のことを知らなくてもPayPayという名前を知っている人は多いでしょう。PayPayの利用率は、43.2%とQRコード決済の中で1位。サービスの開始が早かったこと、キャンペーンに魅力を感じる人が多いことから、多くの人に選ばれています。
LINE Pay:利用率35.3%
スマートフォンを持っている人であれば、ほとんどの人が使っているであろうLINE。新たに決済用のアプリをインストールしなても、LINEのアプリが入っていれば利用できるのがLINE Payの大きな特徴です。
LINE Payは、後払いではなく事前にチャージをしてから使う前払い式を採用しており、オートチャージや、コンビニでもチャージをすることができます。プリペイドカードでの決済も可能です。
楽天ペイ:利用率34.4%
チャージが不要で、クレジットカードのように後払いで使える楽天ペイ。アプリとクレジットカードを連携することにより、スピーディで、スマートなお買い物が可能です。
楽天ペイを導入しているお店はどんどん拡大しており、。大手コンビニやドラッグストアなど、様々なお店で使えます。また、楽天ペイを使うと楽天ポイントも貯められるので、楽天ユーザーにとって魅力的なQRコード決済です。
d払い:利用率19.8%
d払いは、NTTドコモの決済サービスです。そのため、決済代金を毎月の電話料金と合わせて支払うことが出来ます。
d払いはドコモユーザー限定の「ドコモ払い」とは違い、誰でも利用ができます。他の決済サービスよりもサービス内容がシンプルな分、初心者の方でも使いやすいでしょう。
【参照元】※1:MMD研究所「2019年7月 QRコード決済利用動向調査」:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1807.html
3.店舗のQRコード決済導入のメリット、気になる手数料は?
ここからは、実際に店舗にQRコード決済を導入したときのメリット、気になる各決済サービスの手数料などを紹介します。
キャッシュレスの中では初期費用が格段に安い
キャッシュレス決済の中でも、初期費用が格段に抑えられるがQRコード決済です。特に、2019年10月からは政府による「ポイント還元事業」がスタート。中小・小規模事業者の場合は端末導入代金、設置料が無料です。無料だからこそ、今まで踏み切れなかったキャッシュレス決済を気軽にはじめられるきっかけになりますよね。
会計ミスとつり銭の手間を削減
現金支払いがゼロになることはありませんが、QRコード決済を導入前と比べると、現金支払いの機会はグッと減るでしょう。会計時に釣銭を数える手間や時間がかからず、レジのミスなども抑制できます。レジ閉め作業の時間も短縮が見込めるので、人件費の削減にもつながるのです。
インバウンドを含めた集客効果
ユーザーは、自分にとって一番メリットがあると感じた決済サービスを使っています。使いたい決済サービスが導入されているお店を探して利用する場合もあるので、より多くの決済方法を取り入れることで、その分集客につながるでしょう。
また訪日外国人の方も、普段の自国の生活ではキャッシュレス決済を利用しています。日本でも同じようにキャッシュレス決済ができる店舗だと買い物がしやすくなり、購入機会の創出になります。
店舗側の手数料を比較
|
店舗のQRコード決済にかかる手数料 |
PayPay |
無料。 |
LINE Pay |
無料(Star Pay端末 : 3.45%) |
楽天ペイ |
3.24% 初期費用無料 |
d払い |
3.24% 初期費用・維持費用は無料 |
(各種サービスのウェブサイトを元に表を作成)
手数料を抑えたい店舗には、PayPayとLINE Payがおすすめといえます。楽天ペイとd払いは手数料はかかるものの、楽天ポイントやdポイントを普段から活用しているユーザーにとっては、ポイント獲得を目的とした集客が可能です。
各決済サービスのメリット・デメリットは一長一短。ユーザーにとっては、各サービスから得られるメリットは多岐に渡ります。そのため多くのQRコード決済に対応した店舗は、それだけの販売機会が増えることを意味します。しかし店舗でのQR決済導入は手数料や機器の導入、維持費など、複数のQR決済サービスに対応するには懸念点が多いことでしょう。そこで注目されているのがマルチQR決済ソリューションです。QRコードを読み取る専用端末を導入することで、複数の決済サービスに一括で対応できるのです。国内外問わず、幅広い決済に対応できれば、集客力の向上や業務効率化につながるでしょう。
【参照元】
・PayPay:https://paypay.ne.jp/
・LINE Pay:https://line.me/ja/pay
・楽天ペイ:https://pay.rakuten.co.jp/
・d払い:https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
4.消費税増税に伴った消費者への還元キャンペーンは?
QRコード決済サービス4社による、消費税増税に対するキャンペーンを紹介します。
※2019年10月時点のTIS調べによるものであり、実際の内容は各事業者宛にご確認ください。
PayPay:最大10%の還元
PayPayでは、10月1日〜10月31日の期間中、ポイント還元事業の中でも対象のポスターが貼ってある5%還元のお店で買い物をすると、さらに5%還元。合わせて10%のポイント還元が受けられるキャンペーンを実施中です。
LINE Pay:マイカラーと合わせて最大12%還元
LINE Payでは、前月の利用実績によって当月の還元額が変わる「マイカラー」特典を用意しています。マイカラー特典と、キャッシュレス・消費者還元制度を合わせると5.5%〜7%の還元になります。
また、10月18日〜10月31日の期間は「誰でも最大12%戻ってくる!LINE Pay生活応援祭」を実施予定。45社、約1万2250店の対象店舗で買い物をすると10%還元+マイカラー還元が受けられます。
楽天ペイ:対象店舗以外でも5%還元
楽天ペイは、10月1日〜12月2日の期間、全店舗対象で常に5%の還元が受けられるキャンペーンを実施中。楽天カードと連携をすることで、さらに1%プラス、合計6%の還元が受けられます。なお、このキャンペーンへの参加には、楽天カードと事前のエントリーが必要なので要注意。/p
d払い:10月14日まで20%還元キャンペーン
d払いでは、10月14日まで、決済金額の20%を還元するキャンペーンを実施中。また、金、土曜のみ還元率5%アップ、ドコモ回線の料金をdカードで支払うなど、条件をクリアすると最大7%の還元が受けられる「dポイントスーパー還元プログラム」も実施しています。
さらに、d払いと紐付けしているクレジットカードでポイントの二重取りが可能なので、ポイ活(ポイント活動)中の方におすすめです。
【参照元】
・PayPay:https://paypay.ne.jp/
・LINE Pay:https://line.me/ja/pay
・楽天ペイ:https://pay.rakuten.co.jp/
・d払い:https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
5.まとめ
QRコード決済は、訪日外国人の方もよく利用している、シンプルでスピーディーな決済方法です。店舗にとっては会計が楽になる、集客につながるなど複数のメリットがあり、ユーザーにとってもポイント還元が受けられるなどのメリットがあります。東京五輪を2020年に控え、今後、キャッシュレス化がさらに広まっていくでしょう。QRコード決済に興味を持った今、QRコード決済を取り入れてみてはいかがでしょうか?
【コード決済関連記事はこちら】
●乱立するQRコード決済。仕組みを理解し迅速に導入する方法とは?
●OMOとは? O2Oやオムニチャンネルとの違いを事例と共に解説
●コロナでキャッシュレスはどう変化していくのか? 現状と今後の予測!
●商業施設新聞掲載_アフターコロナで加速するキャッシュレス化について
QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。
※この記事が参考になった!面白かった! と思った方は是非「シェア」ボタンを押してください。