1 主要QRコード決済サービスを徹底比較。シェア率や手数料は?
2 QRコード決済市場と普及背景について
2-1 政府によるキャッシュレス推進
2-2 インバウンド対策としてのキャッシュレス
3 主要QRコード決済サービスの特徴とシェア率
3-1 PayPay:利用率66.3%
3-2 d払い:利用率27.5%
3-3 auPAY:利用率20.1%
3-4 楽天ペイ:利用率35.3%
4 各サービスのユーザー数と特徴
4-1 PayPay
4-2 d払い
4-3 au PAY
4-4 メルペイ
4-5 楽天ペイ
5 店舗のQRコード決済導入のメリット。気になる手数料は?
5-1 キャッシュレスの中では初期費用が格段に安い
5-2 会計ミスと釣銭の手間を削減
5-3 インバウンドを含めた集客効果
5-4 店舗側の手数料を比較
6 消費者への還元キャンペーンは?
6-1 PayPay:最大10%の還元
6-2 d払い:ネットショッピング5のつく日+20%還元キャンペーン
6-3 auPay:対象店舗で3~7%ポイント還元
6-4 楽天ペイ:はじめての方は期間中ずっと楽天ポイント10倍
7 まとめ
1 主要QRコード決済サービスを徹底比較。シェア率や手数料は?
2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%(126.7兆円)に達しました。政府は2025年までにキャッシュレス比率を4割にすることを目標にしていましたが、前倒しで達成する見込みです。特に近年QRコード決済は大きな伸びを見せており、2023年は利用金額10.9兆円にのぼりました。今回の記事では、キャッシュレス決済の中でも最近特に注目を集めている「QRコード決済」について、各決済サービスの違いやシェア率、ポイント還元キャンペーンなどを紹介します。
2 QRコード決済市場と普及背景について
キャッシュレス決済、QRコード決済とは、2016年より中国で急速に普及した決済の方法です。日本でもQRコード決済は急速に普及しており、決済市場で見ると2019年は6億円ほどだった市場規模が、2023年には10.9兆円に達しました。ここまでQRコード決済市場の成長したのは、政府によるキャッシュレス推進と、2020年の東京五輪でのインバウンド対策が背景となっています。
2-1 政府によるキャッシュレス推進
政府は2025年までに、キャッシュレス比率を4割まで高める目標を掲げています。目標達成のために、2019年10月の増税と共に「キャッシュレス・消費者還元事業」を実施しました。他にもマイナンバーカードを新規取得したり、保険証としての利用申し込みをしたりした人に対して、キャッシュレス決済で利用できるマイナポイントを付与するキャンペーンも行いました。
今後のキャッシュレス推進の取り組みとしては、2025年の大阪万博において、会場内のレストランや売店でキャッシュレス決済を本格導入することが発表されています。また、スマートフォンで参加できるオリジナル決済手段「EXPO 2025デジタルウォレット」も導入予定です。
2-2 インバウンド対策としてのキャッシュレス
訪日外国人の方は、母国でもキャッシュレス決済を利用しています。各国のキャッシュレス決済普及率を見ると、韓国89.1%、中国で60%。カナダやイギリスで50%以上、スウェーデン、アメリカ、フランスでも40%前後と、世界でキャッシュレス化が進んでいるのがわかります。訪日旅行での消費額を見ると、中国人旅行客は平均で20万円ほどと他の国と比べて多くのお金を日本で使っています。「爆買いブーム」は過ぎましたが、中国からの旅行客を取り込むためにも、QRコード決済は必須といえるでしょう。
3 主要QRコード決済サービスの特徴とシェア率
MMD研究所が18歳~69歳の男女25,000人を対象に実施した「2024年7月決済・金融サービスの利用動向調査(※1)」によれば、現在、日本で最も多く利用されている支払い方法は、「現金」であり、利用率は93.0%に達します。一方、QRコード決済の認知度は8割に達しており、普及が進んでいることがわかります。ここからは各QRコード決済について、同社の「QRコード決済の利用経験」を参考に紹介します。
3-1 PayPay:利用率66.3%
ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合併によって、2018年10月からサービスを開始したPayPayは、「100億円あげちゃうキャンペーン」で話題になり、QRコード決済のことを知らなくてもPayPayという名前を知っている人は多いでしょう。PayPayの利用率は66.3%とQRコード決済の中で1位。サービスの開始が早かったこと、キャンペーンに魅力を感じる人が多いことから、多くの人に選ばれています。
3-2 d払い:利用率27.5%
d払いは、NTTドコモが提供する決済サービスです。そのため、決済代金を毎月の電話料金と合わせて支払えるため、NTTドコモのモバイルユーザーを中心に利用者を拡大しています。2020年9月から1つのQRコードで「d払い」と「メルペイ」の2つのスマホ決済が利用できるようになりました。これにより、事業者は店頭に1つのQRコードを設置するだけでメルペイ利用者からの売上も期待できるようになりました。
3-3 auPAY:利用率20.1%
auPAYは通信会社KDDIが提供するスマホ決済サービスです。2020年からは国内有数の会員基盤を持つPontaポイントと統合され、ポイントが利用できるお店が増えました。また、豊富なキャンペーンを展開していることから、利用者が増加しています。
3-4 楽天ペイ:利用率35.3%
楽天ペイは、チャージが不要で、クレジットカードのように後払いできるQRコード決済です。アプリとクレジットカードを連携することにより、スピーディーで、スマートなお買い物が可能です。楽天ペイを導入しているお店はどんどん拡大しており、大手コンビニやドラッグストアなど、様々なお店で使えます。また、楽天ペイを使うと楽天ポイントも貯められるので、楽天ユーザーにとって魅力的な決済手段となっています。
※1MMD研究所「2024年7月 QRコード決済利用動向調査」
4 各サービスのユーザー数と特徴
QR決済各社におけるユーザー数の一覧は、以下の通りです。
QR決済各社 | ユーザー数 |
---|---|
PayPay | 6,500万人(2024年8月時点) |
d払い | 5,199万人 |
au PAY | 3,574万人 |
メルペイ | 1,624万人 |
楽天ペイ | 非公開 |
QR決済サービスという点は同じでも、事業者により具体的なサービス内容や貯められるポイントの種類は異なります。各サービスのユーザー数と特徴について、詳しく確認していきましょう。
4-1 PayPay
ユーザー数 | 6,500万人(2024年8月時点) |
ポイントの種類 | PayPayポイント |
PayPayは国内トップシェアを誇るQRコード決済サービスです。ユーザー数が多いことから、導入により多くの新規顧客の獲得が見込めます。PayPayでは、お客様にQRコードを読み取ってもらうユーザースキャン方式と、店舗側でQRコードを読み取るストアスキャン方式が選択できます。どちらでも初期費用は無料です。
また、ユーザースキャン方式にはプランが2つあります。「PayPayマイストア ライトプラン」を選ぶと、PayPayアプリ内でのクーポン配信やスタンプカードの発行ができ、集客効果が期待できます。
4-2 d払い
ユーザー数 | 5,199万人(2023年3月時点) |
ポイントの種類 | dポイント |
d払いは、NTTドコモが提供するQRコード決済サービスです。ドコモユーザーでなくてもdアカウントに登録していれば使えるため、多くの人に利用されています。d払いは、ユーザースキャン方式にもストアスキャン方式にも対応しています。ストアスキャン方式では専用端末の導入が必要な場合も多いですが、d払いでは既存のPOSレジやタブレット端末で対応可能です。初期費用が無料で、現在は最大6ヶ月間決済手数料が無料になるキャンペーンも実施中です。振込手数料は10,000円以上の場合は無料となるため、コスト負担を抑えられる点も魅力です。
4-3 au PAY
ユーザー数 | 約3,574万人(2024年9月時点) |
ポイントの種類 | Pontaポイント |
au PAYは、KDDIが提供するQRコード決済サービスです。au PAYで貯められるPontaポイントは加盟店が多く、日常的に利用する多くのお店やサービスで貯めたり使ったりでき、ユーザーにとって利便性が高いのが特徴です。
店舗側にとっても、導入費用・入金手数料が無料(2024/11時点)であることがメリットといえます。また、二重認証でセキュリティ対策もしっかりしており、管理画面から24時間質問もできるため、はじめてのQRコード決済導入でも安心です。店舗にQRコードを置いてお客様に読み取ってもらうユーザースキャン方式なので、店舗側で新たに専用端末を用意する必要もなく、スムーズに導入できます。
4-4 メルペイ
ユーザー数 | 1,624万人(2024年6月時点) |
ポイントの種類 | メルカリポイント |
メルペイは、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリによるQRコード決済サービスです。ユーザーはメルカリでの売上金を、そのままメルペイでの支払いに利用できるため、メルカリユーザーにとって便利な決済手段となっています。またポイント還元キャンペーンも多く行われており、利用者はお得感を感じやすいため、店舗にとっては客単価アップが期待できます。
店舗側はメルペイと先述のd払いを同時に導入することになるため、d払い利用者の獲得も見込める点がポイントです。QRコードはd払いのものと併用できるため、店舗側でいくつもQRコードを用意する必要はありません。また、ストアスキャン方式に関してはd払い同様、既存のPOSレジやタブレット端末で対応可能です。
4-5 楽天ペイ
ユーザー数 | 非公開 |
ポイントの種類 | 楽天ポイント |
楽天ペイは、楽天グループが提供するQRコード決済サービスです。楽天ポイントは「楽天カード」での支払いや楽天市場での買い物などでも貯められるため、効率よくポイントが貯まる点が人気です。楽天ペイの大きな特徴は、365日翌日自動入金です。多くのQRコード決済では、入金サイクルが月1回〜2回となっています。早期振込サービスで指定のタイミングでの入金が可能な場合もありますが、振込手数料が発生することが一般的です。
しかし、楽天ペイでは振込口座が楽天銀行に設定することで、振込手数料が無料で翌日入金ができます。キャッシュフローが滞りにくく、特に個人事業主が経営する小さな店舗でも安心して利用できます。
5 店舗のQRコード決済導入のメリット。気になる手数料は?
ここからは、実際に店舗にQRコード決済を導入したときのメリット、気になる各決済サービスの手数料などを紹介します。
5-1 キャッシュレスの中では初期費用が格段に安い
キャッシュレス決済の中でも、初期費用が格段に抑えられるのがQRコード決済です。例えばお客様にQRコードを読み取ってもらう「ユーザースキャン方式」なら、店舗側はQRコードを用意すれば良いだけなので、初期費用がほぼ発生しません。店舗側がQRコードを読み取る「ストアスキャン方式」でも、既存の端末で読み取りができます。また、専用端末を無料で提供してもらえる場合があります。
5-2 会計ミスと釣銭の手間を削減
現金支払いが完全になくなるわけではありませんが、QRコード決済を導入すると、現金支払いの機会はグッと減るでしょう。その結果、会計時に釣銭を数える手間や時間が不要となり、レジのミスを抑制できます。レジ閉め作業の時間も短縮が見込めるので、人件費の削減にもつながるのです。
5-3 インバウンドを含めた集客効果
ユーザーは、自分にとって一番メリットがあると感じる決済サービスを選んで利用しています。使いたい決済サービスが導入されているお店を探して利用する場合もあるので、より多くの決済方法を取り入れることで、その分だけ集客効果を高めることが可能です。また訪日外国人の方も、普段の生活ではキャッシュレス決済を利用しています。日本でも同じようにキャッシュレス決済ができる店舗だと買い物がしやすくなり、購入機会の創出につながります。
5-4 店舗側の手数料を比較
店舗のQRコード決済にかかる手数料 | |
---|---|
PayPay | 1.6%~3% 初期費用無料 |
d払い | 3.24% 初期費用・維持費用は無料 |
auPAY | 2.6% 初期費用無料 |
楽天ペイ | 3.24% 初期費用無料 |
(各種サービスのウェブサイトを元に表を作成)
手数料を抑えたい店舗には、PayPayがおすすめといえます。楽天ペイとd払いは手数料がかかるものの、楽天ポイントやdポイントを普段から活用しているユーザーにとっては、ポイント獲得を目的とした集客が可能です。各QRコード決済サービスにはメリット・デメリットがあり、一長一短です。ユーザーにとっては、各サービスから得られるメリットは多岐に渡ります。そのため多くのQRコード決済に対応した店舗は、それだけの販売機会が増えることを意味します。しかし店舗でのQR決済導入は手数料や機器の導入、維持費など、複数のQR決済サービスに対応するには懸念点が多いことでしょう。そこで注目されているのがマルチQR決済ソリューションです。QRコードを読み取る専用端末を導入することで、複数の決済サービスに一括で対応できるのです。国内外問わず、幅広い決済に対応できれば、集客力の向上や業務効率化につながるでしょう。
6 消費者への還元キャンペーンは?
QRコード決済サービス4社による、消費税増税に対するキャンペーンを紹介します。
※2024年11月時点のTIS調べによるものであり、実際の内容は各事業者宛にご確認ください。
6-1 PayPay:最大10%の還元
PayPayでは、2024年12月1日〜12月27日の期間中、ポイント還元事業の中でも対象のポスターが貼ってあるお店で買い物をすると、最大10%のポイント還元が受けられるキャンペーンを実施予定です。 その他にも、地域限定のプレミアム付きデジタル商品券の提供やCokeOnでPayPayポイントが毎週100円戻ってくるキャンペーンなど数多くのキャンペーンが実施されています。
6-2 d払い:ネットショッピング5のつく日+20%還元キャンペーン
d払いでは、2024年11月15日から(※終了予定未定)、毎月5日、15日、25日に対象店舗でのネットショッピングご利用で、決済金額の20%を還元するキャンペーンを実施中です。また、金、土曜のみ最大4%ポイント還元が受けられます。マクドナルドにて最大7倍のポイント還元やAmazonでd払いにて5000円以上のお買い物をすると抽選で+50%ポイント還元など豊富なキャンペーンが準備されています。さらに、d払いと紐付けしているクレジットカードでポイントの二重取りが可能なので、ポイ活(ポイント活動)中の方におすすめです。
6-3 auPay:対象店舗で3~7%ポイント還元
2024年11月15日から12月31日まではじめて「ふるさとチョイス」をご利用いただいた方に最大7%のポイント還元するキャンペーンを実施しています。こちらのキャンペーンの参加にはネット支払いのauPayで寄付すること、また専用ページよりエントリーが必要です。
他にも、期間中に高島屋でauPayコード支払いご利用するとポイント最大3%還元やキャンペーン期間中「キラキラせんばイチョウ祭の対象店舗」にてauPayコード支払いで決済するとポイント最大10%還元などお得なキャンペーンが盛りだくさんです。
6-4 楽天ペイ:はじめての方は期間中ずっと楽天ポイント10倍
楽天ペイは、2024年11月1日〜12月2日の期間、はじめてご利用(※2)の方は楽天ペイアプリ内のポイントカードの提示で期間中ずっとポイント10倍付与するキャンペーンを実施中です。なお、はじめてのご利用でない場合でも抽選でポイント10倍になるチャンスがあります。このキャンペーンへの参加には、事前のエントリーが必要なので要注意です。また、楽天ペイアプリでチャージ払い&条件達成でポイント2倍や期間中に東京都の対象店舗で楽天ペイのコード・QR払いで最大10%ポイント還元など多くのキャンペーンを実施中です。
【参照元】
※2「はじめての方」は2024年11月1日(金)9:59まで一度も楽天ペイアプリ内の楽天ポイントカードを提示してお買い物されていない方が対象です。
・PayPay:https://PayPay.ne.jp/
・d払い:https://service.smt.docomo.ne.jp/keitai_payment/
・auPay:https://aupay.wallet.auone.jp/campaign/
・楽天ペイ:https://pay.rakuten.co.jp/
7 まとめ
QRコード決済は、訪日外国人を含む多くの人々に利用されている、シンプルでスピーディーな決済方法です。店舗にとっては会計業務が効率化されるだけではなく、集客効果も期待できるなど、様々なメリットがあり、ユーザーにとってもポイント還元が受けられるなどのメリットがあります。今後、キャッシュレス化がさらに広まっていくでしょう。QRコード決済に興味を持った今、QRコード決済を取り入れてみてはいかがでしょうか?
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。
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