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BNPL(後払い決済)の市場調査でニーズを解明!若年層に好まれるワケは?

BNPL

BNPL(後払い決済)が消費者の購買行動に新たな風を吹き込もうとしています。BNPLはデビットカードのように銀行口座の準備や、プリペイドカードのように事前にチャージする必要がなく、審査が簡易的で利用上限も低く設定されているため、若年層を中心に普段使いでの利用が広がっています。

この記事では、TISが実施したBNPLに関する市場調査(※)の結果から分かる消費者のニーズを解説します。

※全国の18〜69歳の男女を対象としたアンケートで、合計2,000サンプルを母数とする。

1.BNPL(後払い)とは?

BNPLとは、後払いが可能なキャッシュレス決済です。主にECサイトなどのネットショップの新たな決済手段として利用されており、クレジットカードと違い審査も簡易的で、10〜20代の若者を中心に利用者が増加しています。
矢野経済研究所の調査によると、BNPL市場は2024年度には約2兆円規模にまで成長すると予想されています。

急速拡大するBNPLの動向について

BNPL市場へは、AmazonやPayPal、SMBCやGMOなど国内外の大手企業が参入。矢野経済研究所の調査では、市場は年間約40%の成長率を誇り、今後も拡大が期待されています。
特にECの大手企業であるアマゾンジャパンがAmazon Payでの支払いに後払い決済サービスであるPaidyを導入したことは、業界に大きなインパクトを与えました。Amazon.co.jpでの買い物だけでなく、Amazon Payを導入している他のサービスでも後払い決済が可能になり、シームレスな利用を実現しています。

6回までの分割払いなら手数料が不要なため、サービス利用のハードルも下がることでしょう。大手企業が後払い決済を導入したことで、従来の支払い手段の代替としてBNPLの利用が広がっていくとみられます。


ただし、急成長している市場である一方で消費者教育が進んでおらず、使いすぎなどによるリスクをもたらす側面があるとして、米国や日本では業者向けの規制の整備が急務となっています。

BNPLのメリットや解説、最新動向についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

BNPLとは? メリットや市場規模、最新動向を徹底解説! newwindow 

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2.BNPLのニーズが高い理由とは?

BNPLにはクレジットカードやデビットカードとは違った利便性があり、新たな決済方法としての利用が広がっています。

利用者がBNPLを選ぶ際に重視しているものとは

BNPLは事業者が利用者の審査を経て、一時的に支払いを立て替える仕組みのため、多くの利用者はお金をチャージせずに使える点を評価しています。また、ポイント還元率が高いことは他のサービスと共通して評価されています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

利用者がBNPLを利用する目的

BNPLの利用目的は主にネットショッピングで、衣類など実際に試してからお金を払いたい商品での利用が多くなっています。また、外食やコンビニ、ドラッグストア、スーパーでの利用実績も多く、普段使いの決済手段としても利用されています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

3.BNPLの利用実態

BNPLサービスの認知度

主な決済手段が現金・クレジットカード・デビットカード・プリペイドカード・QR決済・BNPLのいずれかの利用者にアンケート調査をした結果、QR決済を利用している人のBNPLの認知度は66.2%と最も高く、新しい決済手段の利用者の認知度が高い傾向にあります。また、現金を主な決済手段としている利用者以外は、過半数がサービスの中身についても理解しています。

年代別の認知度には、差はほとんどありません。10代でBNPLのことを認知しているのは全体の59.4%で、60代の認知度も59.6%と割合はほぼ同数です。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

決済方法別の利用年齢の割合

年代別の認知度には差はあまりみられませんが、実際に利用する決済方法は年代によって大きな差が見受けられます。クレジットカードについては、年代が上がるほど利用率が増加傾向にあり、一度使い始めると継続して利用する人が多いと言えるでしょう。デビットカードとプリペイドカードは若年層の占める割合が多く、BNPLも同様に若年層の割合が多くなっています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

主な決済手段と併用決済手段の割合

主な決済手段を年代別に比較すると、10代は現金とデビットカード、BNPLが同じ割合です。年代が上がるにつれてクレジットカードの割合が増え、BNPLの利用については10代が最も多い約22%で、20〜60代の利用は約14〜16%となっています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

また、併用決済手段を比べてみると、下図赤枠の部分から、主にデビットカードを利用する人のうち63.2%は、クレジットカードまたはBNPLの後払いを併用していることが分かります。このことは、「デビットカード×BNPL(後払い)」の需要があることを示唆しています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

BNPLサービスの利用頻度

BNPLの1回あたりの利用平均金額は10,000円未満が大半で、主に利用する決済手段別・世代別共に大きな差はありません。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

ただし、利用頻度については、どの年代でも40%以上の人が週に1回以上BNPLを利用している結果となりました。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

サービス利用後の精算方法

BNPLを利用した後の精算方法については、サービスごとに利用者に適した方法が選ばれており、その割合も異なります。「NP後払い」の場合はコンビニでの支払いの割合が圧倒的に多く、「メルペイスマート払い」であれば銀行口座からの引き落とし、「PayPayあと払い」はクレジットカードからの引き落としが割合として多い結果となりました。

サービスと親和性の高い精算方法が選ばれている一方で、サービス上利用できない方法への回答もあることから、サービスを十分に理解していない利用者がいることが分かります。正しい理解をいかに促すかが課題の1つであると言えるでしょう。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

BNPLのリボ払い利用率

BNPLのリボ払い利用実績を主な決済手段別に見てみると、デビットカード利用者のリボ払い利用が多いという結果が出ています。同じく即時払いとなる現金の利用者と比べても、2倍以上の利用割合となりました。また、世代別で見てみると、10代から30代へ進むにつれて、利用実績の割合は大きくなりますが、40代以降は少ない結果となりました。

BNPLのリボ払いを利用した理由については、一般的なメリットである「毎月の支払いを少額・定額にしたかったから」に回答が集まりました。現金とデビットカードの利用者は「一括で支払いできない金額の商品を購入したから」や「後からでも支払いを分割にすることが出来たから」という回答も多い傾向にあります。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

なお、BNPLのリボ払いを今後も利用したいかを問うアンケートでは、デビットカードとプリペイドカード、BNPLの主な利用者の利用意向が全体の利用意向よりも高い結果となりました。世代別で見ると、30代以下の利用意向が20%以上と高い割合となっています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

今後もBNPLを利用したいか

世代別に見ると、10〜20代の40%がBNPLの利用に前向きであることから、BNPLは若年層向きのサービスと言えるでしょう。また、主な利用決済別に見ると、BNPLの利用者を除いても20%以上に利用意向が見られます。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

また、BNPLを「とても利用したい」「やや利用したい」と回答した理由を主な利用決済別に見ると、デビットカードの利用者がクレジットカードの入会審査に課題感を持っていることが伺えます。ここまでのことから、BNPLは若年層やデビットカードの利用者にニーズがあると言えます。こうした層に上手く訴求することができれば、BNPLの普及の後押しになるでしょう。

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出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

なお、BNPLに対して抵抗感を持つ人の現在のイメージとしては、「お金を使いすぎてしまいそう」「支払いを忘れそう」などの意見が多く、支払いに対する不安を抱いています。利用ニーズはありますが、利用者を増やすためには、こうした不安を払拭するようなアプローチが必要です。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

BNPL未利用者が求める機能・シチュエーションについて

BNPL未利用の若年層がBNPLに求める点としては、審査が早く簡単で通りやすいことや使いやすいことなどがあります。また、他の決済手段と同様にポイント還元率の高さやキャッシュバックの多さを期待しています。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

BNPLを利用したいと思う場面としては、ネットショッピングを中心に外食、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなどを挙げており、普段使いを想定している人が多いことが分かります。既存のBNPLの利用者も普段の買い物に使う人が多く、BNPLの未利用者にも同じ場面での利用ニーズがあります。


出典:TIS株式会社「2022年度BNPL市場調査レポート」

4.まとめ

この記事では、BNPLの市場調査の結果から分かる消費者のニーズについて解説しました。BNPLの利用者を獲得するには、若年層に向けて利便性やメリットなどをアピールし、サービスを正しく理解してもらうことが足掛かりになりそうです。具体的な手段としては、下記があります。

 1.若年層への周知のために、SNSやYouTubeの広告に対応する、または教育機会を設ける。
 2.イメージとして最も多い「使いすぎ、支払い忘れ」が防止できる機能や「支払いシミュレーション」で不安を払拭する。

消費者の中には場面に応じて決済手段を使い分けている人が一定数いるため、効果的なサービス展開方法としては、1つのサービス内で複数の決済手段が利用できることが理想的です。新しい決済手段としてではなく、普段利用している手段の延長という形が好まれます。

また、BNPLはお得さよりも利便性を求める人向けのサービスであるため、既存サービスとの掛け合わせが効果的です。他の決済手段の利用者別にみる訴求ポイントとしては、下記があります。

 ①デビットカード利用者(クレジットカード非利用)
 ・一定数存在する後払いニーズを満たす手段として訴求する。
 ・カード番号の入力や携帯が不要である点を訴求する。
 ②QR・プリペイドカード・電子マネー利用者
 ・チャージが不要である点を訴求する。
 ・ポイント付与や他ポイントへ容易に交換できるサービスを行う。
 ③クレジットカード利用者
 ・普段使いのしやすさを訴求する。
 ・カード番号の入力や携帯が不要である点を訴求する。

ノウハウを持たない新規事業者でBNPLを導入したい場合は、スムーズにサービスを構築できる、「API型BNPLサービス」がおすすめです。自社の決済手段やデビット決済への後払い機能の追加が可能で、支払い方法の選択肢が増えるため、新規利用者の獲得にもつながります。

本コラムでご紹介した詳しい調査結果資料「2022年度BNPL市場調査レポート」は以下からダウンロードできます。

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