オンライン決済システムは、複数の決済方法を一括で導入でき、決済業務の負担を軽減できるなどのメリットから、ECサイト・Webサービスなどさまざまな事業者での導入が進んでいます。
オンライン決済システムとは、どのようなツールなのでしょうか。当ページでは、オンライン決済システムの基礎知識から導入メリット、選び方のポイントなどを詳しく解説しています。
1 オンライン決済システムとは?
1-1 決済システムの基礎知識
1-2 オンライン決済の流れ
2 オンライン決済システムの種類とは?
2-1 実店舗とオンライン両対応のシステム
2-2 オンライン決済向けのシステム(ECサイトなど)
2-3 Webサービス・アプリ向けのシステム(ECサイトなど)
3 オンライン決済システム導入のメリットとは?
3-1 複数の決済方法を一括で導入できる
3-2 決済方法の種類が増えることで売上アップが期待できる
3-3 決済業務の効率化・自動化ができる
3-4 決済リスクの軽減・顧客の安心感につながる
4 オンライン決済システムの選び方
4-1 自社のターゲット層に合った決済方法に対応しているか
4-2 サブスクリプション型の決済に対応しているか
4-3 初期費用・月額費用・決済手数料
4-4 売上金の入金サイクル
5 【業種別】決済システム選びのポイント
5-1 ECサイト
5-2 エステ・美容系
5-3 学習塾や習い事サービス系
5-4 チケットサービス系
5-5 旅行・宿泊サービス系
5-6 保険・金融系
5-7 デジタルコンテンツ系
6 まとめ
1 オンライン決済システムとは?
オンライン決済システムとは、ECサイトやWEBサービスでの決済をインターネット経由で行えるITシステムのことです。
近年ではクレジットカード決済やQRコード決済、キャリア決済などさまざまなキャッシュレス決済手段があり、顧客のニーズに応えるためにはできるだけ多く対応したいところです。とはいえ決済事業者との契約や設備の導入に多くの手間がかかるため、決済手段を増やすハードルが高いと感じる事業者も少なくありません。
この点オンライン決済システムを利用すれば、複数の支払い方法を一括で、手軽に導入することが可能です。
1-1 決済システムの基礎知識
オンライン決済システムをECサイトや実店舗に導入すると、クレジットカード払いをはじめ、さまざまなタイプの決済方法を購入者が選択できるようになります。
対応している決済方法はオンライン決済システムの提供会社によって異なりますが、例えば以下のような決済方法の導入に、オンライン決済システムを活用することが可能です。
決済方法の種類 | 具体例 |
---|---|
クレジットカード決済 | VISA,Mastercard,JCB |
ID決済 | Apple Pay, Google Pay, Amazon Pay, Alipay, PayPal, PayPay, 楽天ペイ,WeChat Pay |
キャリア決済 | d払い, auかんたん決済, ソフトバンクまとめて支払い |
電子マネー決済 | Suica, PASMO, 楽天Edy, QUICPay, iD, nanaco, WAON |
コンビニ・後払い決済 | |
代引き決済 | – |
口座振替 | – |
1-2 オンライン決済の流れ
オンライン決済システムを利用した決済の流れは以下の通りです。
購入者がECショップなどで決済を実行すると、オンライン決済システムが決済情報を取得します。取得した決済情報は、オンライン決済システムを運営する決済代行会社を通じて、対象の決済会社に送信されます。
売上金は決済代行会社に集約され、一本化して入金されるため、決済会社ごとに入金対応をする必要はありません。
このようにオンライン決済システムが決済にまつわる多くの業務を代行するため、ECショップなどの運営者側の業務負担を大幅に削減することが可能です。
2 オンライン決済システムの種類とは?
自社にマッチするオンライン決済システムを選ぶには、まずは種類の違いを把握しておく必要があります。基本的な種類は以下の3つです。
- 実店舗とオンライン両対応のシステム
- オンライン決済向けのシステム(ECサイトなど)
- Webサービス・アプリ向けのシステム
それぞれの違いを以下に詳しく解説します。
2-1 実店舗とオンライン両対応のシステム
1つは実店舗での決済に対応できるオンライン決済システムです。このタイプはECサイトでの決済だけでなく実店舗での決済も可能で、両方の決済情報・顧客情報を一元管理できます。
実店舗を運営する企業が新たにECサイトを立ち上げるケースはもちろん、既に運営しているECサイトと実店舗の決済情報を統合して一元化したい場合にも適したオンライン決済システムです。
実店舗での決済方法としては、タブレット端末に専用アプリをインストールするなど手軽な方法もあり、レジの買い替えなど大規模な設備投資をしなくても導入することが可能です。
2-2 オンライン決済向けのシステム(ECサイトなど)
ECサイトなどオンライン上の決済に特化した決済システムもあります。
決済方法は、ECサイトとのAPI接続や、決済用URLの発行、SMS送信などいくつかの方式があり、自社のニーズに合わせて柔軟に選択可能です。
このタイプは、主に物販など「1回の支払いで完結する決済」に適しています。毎月など継続的に発生するサブスクリプション型の決済には不向きな場合もあります。
サブスクリプション型の決済を行う場合には、次に紹介する「Webサービス・アプリ向けのシステム」を導入するのが一般的です。
2-3 Webサービス・アプリ向けのシステム
月額会員制のWebサービスや、有料プランのあるモバイルアプリなどの決済に適したシステムもあります。継続的な「サブスクリプション型」の決済を想定した機能が充実したタイプです。
プラン変更や、解約時の日割り計算による返金など、サブスクリプション型の決済に必要な機能に対応しています。
3 オンライン決済システム導入のメリットとは?
オンライン決済システムを導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?主に以下の3つを挙げることができます。
- 複数の決済方法を一括で導入できる
- 決済業務の効率化・自動化ができる
- 決済リスクの軽減・顧客の安心感につながる
それぞれ以下に詳しく解説します。
3-1 複数の決済方法を一括で導入できる
オンライン決済システムを利用すると、複数の決済方法を一括で導入できます。
通常の方法で新しい決済方法を導入するには、個々の決済会社ごとに契約のやり取りや、システム導入などが必要です。多くの決済方法を導入するには、それだけ多くの手間がかかります。
オンライン決済システムを利用すれば、個々の決済会社と直接契約のやり取りをすることなく、オンライン決済システム事業者と契約するだけで複数の決済方法を一括で導入することが可能です。
3-2 決済手段が増えることで売上アップが期待できる
オンライン決済システムを導入することで、顧客の利便性が向上し、売上アップが期待できます。
顧客が普段から使っている決済手段が利用できないと、不便さを感じて購入をためらってしまうケースがあります。例えば、ECサイトでのかご落ちの理由に、購入手続きの煩雑さが挙げられます。
オンライン決済システムを利用して顧客の使い慣れた支払い手段を提供することで購買促進につながります。
3-3 決済業務の効率化・自動化ができる
オンライン決済システムは決済業務の効率化・自動化につながり、スタッフの手間や人件費を削減する効果も期待できます。
レジ業務においては、キャッシュレス決済が増えることでレジスタッフが現金のやり取りをする手間を削減することが可能です。
請求書発行の業務を自動化できるタイプなら、バックオフィス業務の人件費削減も期待できます。
オンライン決済システムを導入することで、決済にまつわる業務の全体的な効率化・最適化を実現することが可能です。
3-4 決済リスクの軽減・顧客の安心感につながる
オンライン決済システムを通して決済を行うことは、事業者・顧客の双方にとって安心感につながります。
オンライン決済システムには、不正な決済を自動的に感知する機能など高度なセキュリティ機能があり、決済トラブルのリスク回避に役立ちます。
顧客側から見ても、決済のセキュリティ向上はメリットです。オンラインでクレジットカードなどの決済情報を入力することに抵抗を感じる人もいますが、セキュリティに配慮されたオンライン決済システムを導入することで安心感につながります。「セキュリティが不安だから購入をやめる」といったケースを減らす効果も期待できるでしょう。
4 オンライン決済システムの選び方
さまざまなタイプのオンライン決済システムがあり、どれを導入するべきか迷うかもしれません。オンライン決済システムを比較する際には、以下の4つのポイントをチェックしましょう。
- 自社のターゲット層に合った決済手段に対応しているかる
- サブスクリプション型の決済に対応しているか
- 初期費用・月額費用・決済手数料
- 売上金の入金サイクル
それぞれ詳しいチェック方法を以下に解説します。
4-1 自社のターゲット層に合った決済方法に対応しているか
オンライン決済システムの選び方でまず確認したいのが、対応している決済方法の種類です。種類の豊富さだけでなく、自社のターゲット層が利用しやすい決済方法に対応しているか確認しましょう。
例えば若年層などクレジットカードを持っていない層も利用する可能性があるなら、キャリア決済など、クレジットカード以外の決済方法の必要性が高いといえます。インバウンド向けビジネスなら、Alipay(アリペイ)やPayPal(ペイパル)など海外ユーザーの多い決済方法にも対応する必要があるでしょう。
自社のターゲット層のニーズを検討し、必要な決済方法を一括で導入できるオンライン決済システムを選ぶことが重要です。
4-2 サブスクリプション型の決済に対応しているか
月額会員制のサービスなどサブスクリプション型の決済が必要な場合、継続的な決済に対応しているか確認しましょう。
サブスクリプション型の決済向きに作られていないオンライン決済システムの場合、例えば解約時の日割り計算の仕組みがないなど、必要な機能が利用できない場合があります。
サブスクリプション型の決済では「Webサービス・アプリ向けのシステム」など、継続的な決済を想定したタイプを選びましょう。
4-3 初期費用・月額費用・決済手数料
コスト面では、初期費用・月額費用・決済手数料の3つを確認しましょう。
多くのオンライン決済システムは初期費用・月額費用いずれも無料で導入でき、決済金額の3%前後の決済手数料のみの負担で導入できます。
実店舗でも利用する場合、決済端末などの購入に初期費用がかかる場合もあります。サービスによっては大規模導入向けの月額プランを用意していることもあります。
またオンラインで利用する決済システムのため、インターネットの通信費の負担についても確認しておきましょう。
4-4 売上金の入金サイクル
決済が行われてから、どのぐらいのサイクルで入金されるのかも確認しましょう。
決済が行われてから入金までの期間が長いとキャッシュフローが悪化する恐れもあるので、入金サイクルを確認することは重要です。
月末締め・翌月入金が一般的ですが、決済日の翌日入金など短いサイクルでの入金ができるサービスもあります。会計管理のしやすさなども考慮して、適切な入金サイクルのオンライン決済システムを選ぶようにしましょう。
5 【業種別】決済システム選びのポイント
オンライン決済システムのチェックポイントは、業種によっても異なります。以下の7つの業種について、それぞれ選び方のポイントを見ていきましょう。
- ECサイト
- エステ・美容系
- 学習塾や習い事サービス系
- チケットサービス系
- 旅行・宿泊サービス系
- 保険・金融系
- デジタルコンテンツ系
5-1 ECサイト
ECサイトでは「クレジットカード決済」が一般的ですが、クレジットカードを持っていない人でも利用できる「代引き決済」「コンビニ・後払い決済」「キャリア決済」なども導入しておくと、幅広いユーザーのニーズを満たすことができます。
「ID決済」(QRコード決済)は実店舗で利用するイメージがあるかもしれませんが、ECサイトの決済にも導入できます。特に海外からの利用が想定される場合には、PayPal(ペイパル)など海外ユーザーが多いID決済を導入しておくと良いでしょう。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- キャリア決済
- ID決済(QRコード決済)
- コンビニ・後払い決済
- 代引き決済
5-2 エステ・美容系
エステサロンなど美容系ビジネスは、Webによる「事前予約」が一般的で、Web上で事前決済を受け付けることがあります。そのため基本的にはECサイトと同様に「クレジットカード決済」など、Webでよく利用される決済方法の導入は必須です。
また当日、店舗での決済を受け付ける場合には、「ID決済」(QRコード決済)や「電子マネー決済」など、実店舗で人気の決済方法を使えると良いでしょう。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- キャリア決済
- ID決済(QRコード決済)
- 電子マネー決済
5-3 学習塾や習い事サービス系
学習塾、オンライン講師など習い事サービス系のビジネスは月謝制が多いため、継続的なサブスクリプション型の決済に対応したオンライン決済システムを選ぶことが重要です。
決済方法としては「クレジットカード決済」だけでなく、クレジットカードを持っていない層のために「口座振替」などにも対応していると良いでしょう。
習い事サービス系の申込み方法はホームページ以外にもチラシ・メール・SNS・対面などさまざまなパターンが考えられるため、希望する申込フローに対応しているか確認することも重要です。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- 口座振替
5-4 チケットサービス系
イベント、ライブなどチケット販売のサービスも、Webでの購入が一般的なので「クレジットカード決済」の重要度が高いといえます。
イベントの種類によってはクレジットカードを持っていない若年層が多いことが予想されるので、「コンビニ・後払い決済」「キャリア決済」などクレジットカードを持っていない層でも利用できる決済方法を用意しておくことが重要です。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- キャリア決済
- コンビニ・後払い決済
5-5 旅行・宿泊サービス系
旅行・宿泊サービス系は、予約制が一般的で、予約時の事前決済では「クレジットカード決済」が適しています。
当日の決済を受け付ける場合には、「ID決済」(QRコード決済)や「電子マネー決済」なども利用できると良いでしょう。インバウンド層が多い場合は、Alipay(アリペイ)・PayPal(ペイパル)など海外ユーザーが多いID決済もおすすめです。
ただし「キャリア決済」は1万~10万円ほどの決済上限があり、旅行・宿泊サービス系に必要な決済額を扱えないことも多く、適さない場合があります。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- ID決済(QRコード決済)
- 電子マネー決済
5-6 保険・金融系
保険・金融系は毎月など継続的な決済が多いため、サブスクリプション型の決済に対応したオンライン決済システムが適しています。
決済方法としては「クレジットカード決済」や「口座振替」が一般的です。「キャリア決済」も毎月の携帯料金と一緒に支払われることから月額制の決済に向いているので、積極的に導入したいところです。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- 口座振替
- キャリア決済
5-7 デジタルコンテンツ系
動画、音楽、漫画、ゲームなどデジタルコンテンツ系は、Webでの購入が基本なので「クレジットカード決済」は必須です。若者でも利用しやすい「キャリア決済」や「コンビニ・後払い決済」も適しています。
海外からの利用も想定されるので、PayPal(ペイパル)など海外ユーザーが多いID決済にも対応できると良いでしょう。
【おすすめの決済方法】
- クレジットカード決済
- キャリア決済
- ID決済(QRコード決済)
- コンビニ・後払い決済
6 まとめ
オンライン決済システムは、ECサイトだけでなくWebサービスや実店舗など、さまざまなビジネスで活用できるツールです。
決済方法の種類が多い現代において、ユーザーのニーズに応えつつ社内の業務負担を軽減するための強力なツールとして、ビジネスを後押ししてくれます。
さまざまなタイプのオンライン決済システムがあるため、導入の際は「自社のターゲット層に合った決済方法に対応しているか」「サブスクリプション型の決済に対応しているか」など、必要な機能を満たしているか十分に確認しましょう。
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