コラム Column

TISが考えるUI/UX

はじめまして。昨年春からTISのデジタルトランスフォーメーションR&D部でUI/UXデザイナーをしている加藤です。今回は、私の仕事であるUI/UXデザインについてお話しします。UI/UXに限らずデザインの考え方については人によって異なる為、あくまで私の考えという事を前提で読んで頂けたら嬉しいです。

●UI/UXとは?

UIとはUser Interfaceの略で、製品やサービスとそれを使う人との間にある“境界面”のことです。UXとはUser Experienceの略で、製品やサービスを利用しているときに得られる“体験”のことを言います。

この2つは「UI/UX」とセットで語られることが多いのですが、それは切っても切り離せない関係だからです。別々に考えてはダメ!ってことですね。

そして大切なのは、UX(体験)を設計してから、UI(境界面)を設計しなければならないということ。なぜならUIから考えてしまうと、ユーザーから支持されない製品やサービスが出来上がってしまうことがあるからです。

ちょっと「自転車」で例えてみますね。

ちなみにUIってなんとなくスマホやPCの画面をイメージしがちですが、それは正しくありません。製品やサービスとユーザーとの境界面がUIなので、自転車にもUIがあります。ユーザーがモノに触れるところには、必ずインターフェイスがあると考えていいと思います。

自転車の見た目=アプリ画面の見た目、ユーザーが直接触れる/操作する自転車のサドル・ハンドル・ペダル = アプリのボタンと捉えるとイメージしやすいかもしれません。

では、そんなUIを備えている自転車がユーザーに提供するUXとは何でしょう?それは“便利さや快適さ“です。「自分で歩くより早く目的地に着く、歩くより疲れない!」だから移動手段として採用するんですよね。

ただ、この“便利さや快適さ“というのは機能的な価値です。客観性が強く、誰からみても価値があるとわかるもの。

でも自転車が持っているのは機能的な価値だけではありません。

例えば「風を感じられて気持ちがいい!」などは機能の話ではないですよね。こういった感情に訴えるもの、そして人によって感じ方が変わる主観性の強い価値を「情緒的価値」とか「意味的価値」と言ったりします。

サイクリングという趣味が存在するのも、この情緒的/意味的な価値をユーザーが感じているからです。目的地に早く楽に着くだけなら車や電車のほうが良いのに、わざわざ自転車に乗るわけですから、そこには “意味” があるということですね。

そしてこうした価値は、サドルの座りやすさやハンドルの操作感、ペダルの漕ぎやすさなどに支えられています。UXを妨げないよう、あるいはより良いものとなるようUIが設計されているはずです。

これが逆に見た目のカッコよさ(審美的なUI)を重視した結果、ユーザーの体に馴染まないものになってしまったらどうでしょう。

見た目がカッコいいので一度は試してみるかもしれませんが、結局乗りづらかったら選ばれません。

審美的に優れているものに人は惹かれるので、見た目を整えることはとても大切です。しかしそれは “体験を支える、体験をより良いものにする” という考えがベースにあってのことだと思います。

これが、私の考えるUI/UXです。

● デザインは、チャレンジ

上段でUI/UXについてお話はしましたが、優れたUXと優れたUIを両立させることは容易ではありません。

色々な人たちと関わり合いながら、ときには部署や会社を越えて製品やサービスを作っていくわけですし、技術的な難しさやコストの問題で実現できないこともたくさんあるでしょう。

そして、“そもそものコンセプトがユーザーから受け入れられなかった。”ということも当たり前のようにあります。

デザインへの理解が遥かに進んでいる欧米企業からリリースされるプロダクトやアプリケーションでさえ、「今度の新製品は、イケてない!」
「アップデートしたら使いづらくなった!」といった厳しい声が寄せられたりするのですから、ユーザーに体験をデザインするということは、本当にチャレンジそのものだと思います。

しかし今は、何が売れるか、何が求められているのかが分からない時代です。だからこそ、既存の枠に囚われないチャレンジが必要です。

この気持ちを常に持ちながら、私は様々なプロジェクトにUI/UXデザイナーとして参画しています。

従来のSIerから脱却し、社会に常に新しい価値を提供し続けていける企業である為、技術力だけでなく、デザイン分野にも注力しているTISに今後も是非ご期待ください!

業務紹介

「八重山MaaS」 UI/UXデザイン

「八重山におけるMaaSは、島々の美しさと人との出会いを作るもの、つなげるもの。」という意味付けをし、世界観を構築。景勝地のレコメンドや島の天候情報の表示、トイレの場所の検索、決済時に竹富島への寄付をできるようにするなど、単なる利便性の高い交通手段にとどまらない独自の機能をチームメンバートと共に作り上げていった。

決済アプリ「会津財布」のUIデザイン

「会津の人々の生活に溶け込む決済アプリを作りたい。」という企画・開発陣の想いに応えるべく、会津の文化や人々に触れながらインターフェイスをデザイン。会津らしさとモダンな雰囲気との調和を目指した。

*紹介画面はいずれも筆者が提案したコンセプトであり、実際の製品とは一部異なります。