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デジタル給与払いの対応に、人事給与システムが備えるべきこととは?

デジタル給与払いの対応に、人事給与システムが備えるべきこととは

デジタル給与払いが解禁された今、「デジタル給与払いに対応する必要があるのか」「どのように備えることが必要なのか」多くの疑問を抱えていることでしょう。本コラムでは、デジタル給与払いの基本やニーズをご紹介し、連携が必要となる人事給与システムの課題点について解説していきます。また既存の人事給与システムに、デジタル給与払いを対応させるためのサービスについても合わせてご紹介いたします。デジタル給与払いの導入を検討されている企業をはじめ、人事給与システム事業者の方にも参考にしていただけます。

1.デジタル給与払いとは?

デジタル給与払いとは?

デジタル給与払いについてご紹介します。

1-1.概要と仕組み

デジタル給与払いとは、従業員に支払う給与をスマホ決済アプリやプリペイドカード、電子マネーなどを利用してデジタルマネーで支払うことです。企業側は給与を銀行口座でなく、厚生労働省の指定登録を受けた「資金移動業者」を経由することで、従業員が普段使いしているデジタルマネーで受け取れる仕組みになります。
「資金移動業者」とは、通貨をデジタルマネーに変換して、資金の移動を行う「au PAY」などの業者のことです。この「資金移動業者」のうち、厚生労働省に指定登録を申請し、一定の安全性の基準をクリアした事業者のみデジタル給与払いが可能な資金移動業者として指定登録されます。反対に指定登録を受けなければデジタル給与払いに対応できません。現在はこの「指定登録」の申請が始まっており、2023年夏以降にデジタル給与払いが可能な事業者が登録される見込みです。

1-2.いつから解禁?

デジタル給与払いの制度は、2023年4月に解禁になりました。給与の支払い方法は、労働基準法や厚生労働省令によって定められており、従来の労働基準法では、「賃金は通貨で払う必要がある」とされています。例外として、労働者の同意を得た場合は銀行口座への入金が認められているため、銀行口座に給料が支払われるということが一般的となりましたが、現金を原則とすることは変わっていません。
デジタル給与払い制度が解禁されたことで、銀行等の金融機関の口座のほか、厚生労働省の指定登録を受けた「資金移動業者」を介し、デジタルマネーに給料が支払われることが可能となります。

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2.デジタル給与払いのニーズは?

デジタル給与払いのニーズは?

キャッシュレス決済のサービスが一般的に普及しており、デジタル給与払いに関してもニーズが見込まれています。

2-1.従業員のニーズ

銀行振込での給与払いに不便さを感じている方も多くいます。銀行口座に給与が振り込まれた場合、給与を引き出すために、ATMや窓口で引き出す必要があり、その手続きにはATMや銀行の営業時間といった制限があります。
また引き出しや送金には手数料が必要です。さらにキャッシュレス決済が普及していることで、銀行口座からチャージする手間なども発生します。そのため、給与の全額または一部がデジタルマネーとして受け取れることは、潜在的なニーズがあるといえます。

2-2.企業のニーズ

デジタル給与払いは、企業にとってもニーズがあるはずです。従業員への対応や採用に課題を感じている企業にとって「従業員の利便性を向上させ満足度につなげたい」「非正規社員の採用に優位性を持ちたい」といった、課題解決の一助になるでしょう。

3.デジタル給与払いを導入するメリット

デジタル給与払いを導入することでのメリットについてご紹介します。

3-1.従業員の利便性向上

デジタル給与払いを導入することで、従業員の利便性が向上します。
たとえば、給与の一部だけをデジタル給与払いにすれば、これまで必要だったチャージなども不要となります。またデジタルマネーは個人間の送金も簡単に行えるため、小銭に崩すなどの手間も不要となり便利な使い方ができます。窓口やATMでの手続きで、手数料や営業時間を気にしなければならないといったことに、特に不便を感じていなかった従業員でも、デジタル給与払いの便利さに気づけば、満足に感じる従業員がさらに増えることになります。

3-2.多様化するニーズに対応できる

企業にとってもデジタル給与払いを導入することは、多様化するニーズに対応できメリットにつながるといえます。
近年、人材確保に課題を抱えている企業が増えています。デジタル給与払いを導入するということは、法令に則って支払い手法への対応を行い、現代の多様化されるニーズに適応できた取り組みだといえます。従業員にとっても、「従業員の福利厚生に対応してくれている」「最新の動向に適応できる企業である」といった前向きな企業イメージを感じとれます。

デジタル給与払いを導入するメリットについて詳細はこちらをご覧ください。
デジタル給与払いに対応するメリットと必要な準備について解説

4.デジタル給与払いの今後の可能性

デジタル給与払いの今後の可能性

現状の給与支払いでは不便に感じている従業員も一定数いると考えられ、企業はデジタル給与払いを導入することで、従業員のニーズに応えられるようになります。
今後、キャッシュレス決済がますます普及することで、デジタル給与払いのニーズも高まっていくことが予想されます。人材確保に課題を抱えている企業にとっては、福利厚生が充実することはひとつの強みになります。そのためデジタル給与払いに対応する企業が増え、給与支払い方法の選択肢の一つとなっていくでしょう。

4-1.デジタル給与払いに対応しない場合とどうなる?

上述したとおり、デジタル給与払いのニーズは高まっていき、徐々にデジタル給与払いを導入する企業も増えてくる可能性があります。そのため、従業員の利便性を向上できる仕組みを導入していなければ、会社側に対して不満を抱く従業員が出ることも考えられます。
また、求職者の企業選定では福利厚生の充実はひとつの志望動機につながるため、採用活動が競合他社より不利になることも考えられます。そのような中、デジタル給与払いへのニーズやメリットがあるとはいえ、導入には課題もあり足踏みしている企業も多いと考えられます。導入するためには、人事給与システムに互換性をもたせる必要があり、人事給与システム事業者の対応が重要になってきます。

5.人事給与システム事業者の対応が求められる

デジタル給与払いを実現するには、人事給与システム事業者にも対応が求められます。現在、多くの人事給与システムは、銀行口座振込を前提とした業務フローに合わせたシステムになっています。そのため、デジタルマネー口座へも送金ができるよう、企業と資金移動業者を繋ぐ人事給与システムの役割が重要となります。
本章では、デジタル給与払いへの対応を進めるために、人事給与システムに関する課題について詳しく紹介します。

5-1.各資金移動業者との連携が必要

デジタル給与払いには、企業の人事給与システムと資金移動業者のシステムを連携させる必要があります。企業と資金移動業者とのあいだに立つ、人事給与システムの構築や運用業務を請け負うシステム事業者が、互換性をもたせるシステム改修を行う必要があります。

5-2.システム改修やセキュリティ面での懸念

人事給与システム事業者と資金移動業者を直接介す方法では、システムの改修が必要となり、改修費用がかかってきます。さらにデジタル給与払いに対応するためのデジタルマネー口座(アカウントID)登録や振込処理、口座確認といった作業工程が必要になり、セキュリティ面での課題も生じます。

5-3.口座番号の体系が異なる

デジタルマネー口座(アカウントID)の番号体系は、銀行口座番号の体系と異なります。さらに資金移動業者ごとにも異なります。

5-4.チャージ仕様が異なる

デジタルマネーにチャージをするための仕様は、銀行振込の仕様とは異なります。さらに資金移動業者ごとにも異なります。資金移動業者ごとのチャージ仕様に合わせるために、人事給与システムの改修が必要になり、そのための時間やコストがかかります。例えば、デジタルマネーへのチャージでも銀行同様に名義確認をするために、資金移動業者ごとに合わせて名義情報を連携できるようにシステム改修する必要があります。

これらの課題を解決できるのが、TISのデジタルマネー払いゲートウェイサービスです。
人事給与システム事業者と資金移動業者との間に、「ゲートウェイ(以下:GW)」を導入することで、課題を解決に導けるのです。

6.TISのデジタルマネー払いゲートウェイサービスとは?

TISのデジタルマネー払いゲートウェイサービスとは?

デジタルマネー払いゲートウェイサービスについてご紹介いたします。

6-1.各資金移動業者との個別接続が不要

GWを介すことによって、各資金移動業者のシステムと人事給与システムとの個別接続は不要となります。これにともなって、システム改修やその費用、セキュリティ面の課題を解決できます。

6-2.銀行口座番号と同じ体系の口座番号を使用

GWによって、資金移動業者ごとのアカウントIDを銀行口座番号と同じ体系のGW口座番号に変換させます。そのため、既存の人事給与システムに、銀行口座と同じ体系で登録が可能となります。

6-3.銀行振込と同じ仕様でチャージができる

当GWを介すことで、銀行振込で使用しているデータフォーマットを変えることなく、デジタルマネーでのチャージデータを資金移動業者へ連携することができます。そのため、人事給与システムは資金移動業者ごとに仕様を変えることなく、従来の銀行振込と同じ仕様で従業員にチャージすることが可能です。

6-4.チャージ前に名義確認ができる

銀行振込のように、チャージ前に名義確認や口座の有効性を確認するため、万が一のミス防止につながります。

既に導入している人事給与システムが、本サービスに対応していることで、企業はこれまでの銀行振込と同じように、従業員にデジタル給与払いが可能です。
そのため大きく業務フローを変更する必要がありません。また、本サービスに対応するために人事給与システムは、システムの改修が全く不要、もしくは軽微な改修のみですみます。
人事給与システム事業者にとっても、本サービスとの連携によって、既に導入している企業が新たな人事給与システムへ乗り換えるというリスクを回避できます。
また、今後、デジタル給与へ対応しようとする企業が、人事給与システムを選択する際の条件になることも考えられます。

7.まとめ

キャッシュレス決済の推進が加速化しており、デジタル給与払いを導入する企業も増えてくるでしょう。デジタル給与払いは、従業員の利便性向上と多様化するニーズに応えるため、企業にとっては必要な対応です。
しかしデジタル給与払いを導入するには、システム改修やセキュリティ面などの課題を解決する必要があります。

TISのデジタルマネー払いゲートウェイサービス は、既存の人事給与システムに資金移動業者を連携させる際の課題を解決できます。システム改修が不要となるため、コストカットも可能で、スムーズに運用できます。
デジタル給与払いを検討されている企業、人事給与システム事業者各社の一助になれば幸いです。

実際に対応しているシステムやチャージ可能なデジタルマネー一覧は、以下のページよりご覧ください。デジタル給与の導入をご検討の際は、ぜひご相談ください。

デジタル給与サービスページ

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