キャッシュレス決済の一環として利用者が増えているQRコード決済。しかし、導入を検討している店舗側からすると、手数料が気になるのではないでしょうか。
そこで今回は、QRコード決済の手数料の内訳や、事業者別の手数料を解説します。導入時の参考にしてみてください。
1 QRコード決済とは?
2 QRコード決済の導入コスト
2-1 初期費用
2-2 決済手数料
2-3 振込手数料
2-4 QRコード決済の手数料は誰が支払う?
3 メルペイ導入のメリット
3-1 PayPay
3-2 楽天ペイ
3-3 d払い
3-4 メルペイ
3-5 Alipay(支付宝)
3-6 ウィーチャットペイ(微信払付)
3-7 au PAY
4 まとめ
1 QRコード決済とは?
QRコード決済とは、現金による支払いではなく、QRコードやバーコードを読み取ることで支払いを完了させる決済方法です。
QRコード決済には以下の2種類があります。
- ユーザースキャン方式
- ストアスキャン方式
店舗側がQRコードを用意し、顧客がそれを読み取ることで決済を完了させる方式。
顧客がアプリなどを開いてQRコードを表示し、店舗側がそれを読み取ることで決済を完了させる方式。
QRコード決済を導入することで店舗側が得られるメリットとして、「レジ業務を効率化できる」点があります。
また、QRコード決済を利用する人の割合は年々増えており、新規顧客獲得のためにもQRコード決済の活用は重要です。
2 QRコード決済の導入コスト
QRコード決済の導入コストには、主に以下の3点があります。
- 初期費用
- 決済手数料
- 振込手数料
その他、POSと連動させるためのシステム開発費や端末料金、通信費など、導入方法によって別途費用がかかるケースもあります。それぞれについて詳しく解説します
2-1 初期費用
QRコード決済を導入する際の初期費用は、ユーザースキャン方式ならほぼ必要ありません。
用意が必要なのはQRコードを印刷したPOPですが、これは決済事業者から無料で送られてくることが多いからです。
一方、ストアスキャン方式の場合は、以下の費用が初期費用として発生します。
- QRコードを読み取るためのスマートフォン・タブレット端末の購入費
- Wi-Fiの整備費用
- 通信費
ただし、QRコードの読み取り端末を無料で提供してもらえるケースや、既に自店舗で使っているPOSレジ・端末を使えるケースもあります。また、元々通信環境の整った店舗であれば、Wi-Fiの整備費用や通信費が改めて発生することはありません。
2-2 決済手数料
決済手数料とは、QRコードを使って決済するごとに発生する手数料です。
QRコード決済の手数料は売り上げの1〜3%が相場ですが、決済事業者によっては期間限定のキャンペーン等で手数料が無料になる場合もあります。
決済手数料はクレジットカード決済や電子マネー決済でも発生しますが、そうした他のキャッシュレス決済に比べ、QRコード決済の手数料は低い傾向にあります。
決済方法 | 手数料の目安 |
---|---|
クレジットカード決済 | 4〜7%程度 |
電子マネー決済 | 3〜4%程度 |
QRコード決済 | 1〜3%程度 |
例えば同じ1,000円のランチを提供した場合でも、クレジットカード決済や電子マネー決済なら決済手数料は30〜70円です。それに対してQRコード決済なら、決済手数料は30〜40円に抑えられます。
2-3 振込手数料
振込手数料とは、「決済手数料を差し引いた売り上げ」が決済事業者から振り込まれる際にかかる費用です。
つまり、QRコード決済を利用した場合に店舗に入る売り上げは以下の計算式で求められます。
「(商品・サービスの価格)−(決済手数料+振込手数料)」
振込手数料は数百円と少額であることが多いですが、振込回数が多くなると額は膨らんでしまいます。
振込回数は決済事業者により異なりますが、月1〜2回が多く、店舗側から希望を出せることもあります。なるべく振込回数を抑えると振込手数料の節約になるでしょう。
また、以下の場合には振込手数料が無料となる決済事業者もあるので、事業者選定の際には意識的にチェックしてみてください。
- 振込口座を決済事業者が指定するものにする
- 決済事業者側が指定する入金サイクルに従う
2-4 QRコード決済の手数料は誰が支払う?
QRコード決済の手数料を負担し、支払うのは店舗側です。
決済手数料を商品やサービスの料金に上乗せして顧客に負担してもらうことは、規約上できません。つまり、店舗側が売り上げの中から決済手数料を負担しなければならないのです。顧客に決済手数料を負担させていたことが発覚すると、加盟店から除外され、QRコード決済の利用ができなくなることがあります。
ただし、先述の通りQRコード決済は、その他のキャッシュレス決済に比べて決済手数料が低い傾向にあります。また、QRコード決済を利用する人は増えており、導入により新規顧客獲得も期待できるので、決済手数料の負担が店舗側にとってマイナスになるとは限りません。
3 QRコード決済事業者の手数料一覧
QRコード決済で発生する手数料は、決済事業者によってもさまざまです。そこでここからは、以下の決済事業者と直接契約を結ぶ場合の手数料一覧を紹介します。
- PayPay
- 楽天Pay
- d払い
- メルペイ
- Alipay
- ウィーチャットペイ
- au PAY
3-1 PayPay
PayPayの手数料は、以下の通りです。
【ユーザースキャン方式(PayPayマイストア制限プラン)】
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 1.98% |
振込手数料 | 無料 |
振込手数料は月1回が基本ですが、早期振込サービスも利用可能です。
ただし、この場合は都度振込利用料が0.38%、振込手数料が20〜200円発生します。
【ストアスキャン方式】
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 1,980円〜 |
決済手数料 | 2.80% |
振込手数料 | 無料 |
ストアスキャン方式では、カード決済やPayPay以外のQRコード決済、電子マネー決済にも対応できます。
決済手数料はユーザースキャン方式よりも高いですが、カード決済時の手数料が安くなるため、カード決済も合わせて導入するならストアスキャン方式の方がお得な場合があります。
参考:PayPayについて
3-2 楽天ペイ
楽天ペイの手数料一覧は、ユーザースキャン方式でもストアスキャン方式でも、次の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.95% |
振込手数料 | 楽天銀行:無料 その他の銀行:税込330円 |
なお、ストアスキャン方式で初期費用が無料になるのは、新規申込店舗限定の「楽天ペイターミナル 導入0円キャンペーン」を利用した場合です。
このキャンペーンを利用すると、税込38,280円の専用端末を無料で導入できます。キャンペーンは2024年5月に始まったもので、終了日は未定です。
また、振込口座を楽天銀行にすると、振込手数料が無料になるだけでなく1年中翌日自動振り込みが可能になります。売り上げをすぐに回収できるため、キャッシュレス決済でキャッシュフローが滞ることを防げて安心です。
参考:楽天ペイについて
3-3 d払い
d払いの手数料一覧は、次の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% |
振込手数料 | 1万円未満:税込200円 1万円以上:無料 |
d払いはユーザースキャン方式とストアスキャン方式の両方に対応しています。
ユーザースキャン方式で使うQRコードのシールや台紙はスターターセットとして無料で提供されます。ストアスキャン方式では顧客のQRコードを読み取る端末が必要ですが、d払いでは既に店舗にあるPOSレジやタブレットで対応可能です。新たに専用端末を用意しなくて良いため、初期費用は発生しません。
なお、決済手数料は通常2.6%ですが、新規導入店に適用されるキャンペーンを利用すると、ユーザースキャン方式なら6ヶ月間手数料が無料になります。キャンペーンの終了日は未定ですが、決定した場合は告知されます。
参考:d払いについて
3-4 メルペイ
メルペイの手数料一覧は、次の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% |
振込手数料 | 1万円未満:税込200円 1万円以上:無料 |
先述の通り、メルペイはd払いとの同時申込となり、初期費用や月額費用、振込手数料はd払いと同じです。ただし、d払いはキャンペーン適用で6ヶ月間決済手数料が無料になりますが、メルペイについてはキャンペーン中も2.6%の手数料がかかるためご注意ください。
決済方法もd払い同様、ユーザースキャン方式もストアスキャン方式も可能です。入金サイクルはメルペイでもd払いでも、月1回または2回から選べます。また、「自動おまとめ設定」もあり、わざわざ確認しなくても振込手数料が無料になるタイミングで振り込まれるようにもできます。
参考:メルペイについて
3-5 Alipay(支付宝)
Alipayは、中国のアリババグループが提供するQRコード決済サービスで、東南アジアを中心に12億人以上が利用しています。「免税額従量型 / 無料型(顧客負担)プラン」の場合、手数料一覧は以下の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 1.5%〜3.5% |
プランによっては以下の手数料がかかることもあります。
- 月次定額プラン:月額固定費用 3,000〜9,000円/端末
- パッケージ型プラン:購入費用 420,000円
Alipayなら海外からの観光客でもスムーズに支払いができ、スムーズな免税処理も可能です。また、円建てで支払われるため為替変動リスクがない点も安心です。
ただし、Alipayは代理店経由で導入するケースが多く、代理店によっても手数料が異なる場合があります。
3-6 ウィーチャットペイ(微信払付)
ウィーチャットペイとは、中国におけるLINEのようなサービス「WeChat(微信)」が提供するQRコード決済サービスです。
日本のLINE Payに類似したサービスです。ウィーチャットペイの手数料一覧は以下の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 1.5%〜3.5% |
ただし、Alipayと同様に代理店経由での加盟が多く、代理店によって手数料が異なることがあります。
ウィーチャットペイの特徴は、WeChatを活用した顧客へのアプローチができる点です。ウィーチャットペイで支払いをした顧客のWeChatに、店舗の公式アカウントからクーポンや情報の配信ができ、リピーター獲得にも効果的です。
3-7 au PAY
au PAYの手数料一覧は、次の通りです。
初期費用 | 無料 |
月額費用 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% |
振込手数料 | 無料 |
au PAYは、顧客にQRコードを読み取ってもらうユーザースキャン方式のみの対応となっているため、端末などの用意は必要ありません。auユーザー以外でもau IDを取得していれば、利用可能で、2024年時点での会員数は3,574万人です。au PAYの入金サイクルには、月1回、月2回、早期振込サービスの3種類があります。早期振込サービスを利用する場合は税込210円の振込手数料が発生しますが、現時点では有料化の開始時期を未定とするとされています。有料化開始される場合は、6ヶ月前に告知が行われる予定です。
参考:au PAYについて
4 まとめ
QRコード決済の導入する際には、初期費用や決済手数料、振込手数料が発生します。
しかし、決済手数料が他のキャッシュレス決済に比べて低い傾向にあることを考えると、QRコード決済導入のメリットは大きいです。
さらに、TISの「加盟店向けQR決済ゲートウェイサービス」を利用すれば、複数社のQRコード決済を導入可能で、一部ブランドはTISとまとめて契約することで、コストを抑えて導入することが可能です。決済手数料や導入方法についてお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
複数社のQRコード決済を導入すればその分、より多くのQR決済利用者にアプローチしやすくなります。QRコード決済導入の際にはぜひご検討ください。
【コード決済関連記事はこちら】
●Alipay(アリペイ)を日本の店舗に導入する方法を紹介!
※この記事が参考になった!面白かった! と思った方は是非「シェア」ボタンを押してください。